軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

21話 エピローグ

竜人帝国側『ますたー』達の『P・A』――『プロジェクト・アーク』、この星からの脱出を阻止してから数日後。

エリーから、ヒロ達の記憶情報を引き抜いたことを知らされた。

執務室に僕が座り、その前にメイ、エリーが立つ。

アオユキは彼女の切り札『眷属徴収』の反動でダウン中。

ナズナはユメと遊んでいる。

僕は椅子に座りながら、緊張した面持ちでエリーからの報告を耳にした。

ある意味、僕がこの復讐を始めた切っ掛け、原因、全てを知ることになるからだ。

「――以上が、ヒロさん達の記憶、 黒(ヘイ) さんからはメイさんと協力して口頭説明で得た情報になりますわ」

エリーの分かりやすい説明を受けつつ、会議前にメイから渡された資料に目を通しながら話を聞き終えた。

まずヒロ達が言う『C』とは?

彼はどう認識しているのか?

『C』が人種として存在しているのは認識している。

そして、旧文明を滅ぼした邪神(当時は『魔王』とも呼ばれていた)を操る存在が『C』。

『C』が邪神の上に立ち、旧文明を滅ぼし回っていたのをヒロ、ゴウだけではなく、黒、カイザーも目撃している。

『C』が邪神(魔王)を好きなように操っていたのと、彼女自身が『自分はこの世界の神』を自称していた。

そのためヒロは『もっとも、ボクが全力を出してもこの世界の支配者である「C」を殺せる可能性はほぼ0でしたけどね。本当に嫌になりますよね?』と口にしたようだ。

また『C』は旧文明でも人種に混じり生活していたらしい。

邪神の上で指揮していた姿が、見た目から一目で人種だったとのことだ。

恐らく『C』は人種。

故に『C』は人種からしか生まれないと彼らは考えて居たようだ。

僕は資料の該当ページを改めて確認しながら、『女神教』の物語を思い出す。

「……『女神教』が広げている女神の物語に『世界を創り出した女神が、気まぐれで地上を見て回るため自身の一部を人種に変えて、大地に下りる』という童話があったね」

人種に姿を変えて下りた女神様は楽しく地上を見て回るが、そのあまりの美しさに男性なら誰もが一目惚れし、求婚してしまう。

人種だけではない。

エルフ、ドワーフ、獣人、魔人、竜人種――種を問わず人種女神様の美しさに惚れて求婚するのだ。

困った女神様は、求婚してきた男性達に無理難題を要求する。

当然、無理難題のため、誰も達成できず、最後は女神様が天へと帰る――という子供に聞かせる童話だ。

種によって女神様の姿が変わる。

また話によっては、誠実に無理難題を達成した者と約束通り夫婦となり、『仲良く地上で暮らしました』というオチがつく場合もあった。

「もしかしたら、この童話も事実を元に作ったのかもしれないね……」

「ライト様の仰る通り、その可能性はありそうですね」

他にも気になる点として、

「『邪神』、『魔王』と呼ばれる怪物は、伝承では勇者達の手によって倒されたとされているが、ヒロ、ゴウは勇者の存在を知らなかった。黒さんの証言曰く、『前世、カイザーを殺害したのが聖剣の勇者だった』と。しかも、勇者達は種の味方所か『しー』側、むしろ敵だったらしいね」

『女神教』の教えでは勇者×4+聖女によって、 邪神(魔王) が倒されたことになっている。

「こうなってくると聖女も胡散臭い存在になるね。むしろ『しー』とは聖女のことを指すのかな? もしくは『しー』、『聖女』、『女神』、この3つは全て同一人物と考えてもいいかもしれないね」

「その可能性は高いと思いますわ。勇者が種を裏切った以上、聖女、女神も『しー』側と考えるのが自然ですもの」

エリーが僕の独り言に同意してくれた。

『C』と『邪神』から無事に生き残ったヒロ達は、過去の出来事を考えると、未だ地上が滅びず存在していることに気持ち悪い違和感を覚える。

過去を知る彼らからすれば、再び世界を滅ぼす準備をどこかで『C』がしていると考えてしまうのは必然だ。

故に邪神を操る『C』は、また一般人種に紛れて生活しているはず。なので、力に目覚める前に殺害することを決意する。しかし相手はこの世界の神的存在。殺せる可能性は低い。

だが手をこまねくわけにもいかず、『C』っぽい、神っぽい存在、人種を探して殺害することを計画。また自分達のような存在、仲間を集めて戦力強化を狙った。

結果、 恩恵(力) は持っているが、自分達のように前世を持たない『偽ますたー』は殺害することにした。

疑わしいため、『C』の可能性があるためだ。

村人を皆殺ししたのも、『偽ますたー』を生み出す土壌があるなら、今後、『C』が生まれる可能性がある。だから、殲滅した。

そして確実に殺害するため、ヒロ自ら足を運んだ。

「以上が現在分かっている情報か……」

結論を言えば、ヒロ達が、『C』という存在を恐れ、始末するため僕のような『偽ますたー』達を殺害して回っていた。

全ては自分達が助かるため……。

たまたま僕は運良く生き延び、元『種族の集い』への復讐、自分が殺されそうになった真実を知るために動き出した。

そして、復讐を終えて、真実を知ることが出来たわけだが……。

復讐はともかく、『これが両親、村人殺害、故郷破壊の真実です』と言われても、腑に落ちなかった。

なぜか納得できないのだ。

(どうして納得できないんだ? ヒロ達当事者から直接取り出した情報のはず……)

なのに腑に落ちない。

引っかかっている理由の一つとして、

(ルカンが最後自爆したのは……『しー』と連絡が取れて、自分が死亡しても『しー』、『邪神』が最終的に僕達を殺すと確信していたからじゃないか?)

だから、捕らえられて情報を抜き出されるより、自爆自死を選んだのでは?

そう考えると筋は通るのだが……。

(あの時のルカンに死ぬことの恐怖は一切なかった。『しー』に対する狂信から死を恐れていないというより、再び自分が僕達の前に姿を現し、『雪辱を果たす』という感じだった)

ヒロ達を捕らえられたお陰で、色々と真実を得ることが出来たが、『ルカン』という存在が異質過ぎて腑に落ちないのかもしれない。

実際、『ルカン』についてヒロ達の情報を漁ってもらったが……。

『C』のスパイだったとはヒロ達自身、一切知らなかった。

ミキ、カイザー、黒達のように前世で『邪神』、『C』に殺害された側。

故にヒロ達、竜人帝国側についてこの星から脱出するために動いていた。

アークがある海底ダンジョンを発見したのもルカンだ。

ヒロ達のレベル上げを海中で手伝いもしていた。

それ故、彼がスパイなどとは一切考えていなかったようだ。

回収した頭部からエリーが記憶を読み取ろうとしたが、流石に無理だった。

僕は暫し押し黙り、メイ、エリーに口を開く。

「メイ、エリー、調査ご苦労様。色々、真実を知ることができて僕は満足したよ」

「お褒めに頂き、ありがとうございます」

「ライト神様が満足して頂けたのなら、これに勝る喜びはありませんの」

二人は僕の褒め言葉に嬉しそうに口を開き、一礼してきた。

続けて口を開く。

「この件は満足しているけど、僕が戦った『ルカン』についてはまだ懸念があるんだ……。もしかしたら、彼の仲間……最悪『しー』が『邪神』を連れて僕達に襲いかかってくるかもしれない。過去文明を滅ぼした時のように」

「『しー』と内通していた竜人帝国側『ますたー』の裏切り者ですね」

「ライト神様と戦い最後、意味深な台詞と共に自爆したお方ですわね。では、早急に対『しー』、『邪神』対策を検討させて頂きますわ!」

「二人とも頼むよ」

僕は2人に対『C』、『邪神』対策を立てるよう指示を出した。

杞憂に終わればそれでいいのだが……。

2人が退出するのを見送りつつ、僕は胸中で妙にぬぐえない危機感を覚える。

(どうしてだろう……なぜか嫌な予感がぬぐえない。これは本当に『しー』や『邪神』が攻めてくるかもしれないという不吉な予感なのか?)

僕やメイ、アオユキ、エリー、ナズナ、他『奈落』最下層の皆がいれば、過去文明を滅ぼした『C』、『邪神』が相手でも簡単に負けるとは考えられない。

にもかかわらず、僕は嫌な予感を止めることができなかったのだった。

☆ ☆ ☆

――とある深海遺跡。

年齢は15歳前後。

髪は緩やかなパーマを描き、肩にやや触れる程度の長さで、以前は全裸だったが、現在は衣服に袖を通していた。

背中にマントをたなびかせ、短いスカートの下にはタイツを履いている。

彼女はセミロングの髪を華麗にたなびかせると、乱杭歯の巨大生物の上に立ち、高々と1人宣言する。

「『C・U』様のため! 『 Einqru(シングル) AI(エーアイ) 』、アイが物語を正規に戻すため、あの黒髪の少年、『巨塔の魔女』、その他諸々! 邪魔する蟲共は全て叩き潰してやりますわ!」

竜人帝国側『マスター』の1人で、裏切り者だったルカンの同機個体、『 Einqru(シングル) AI(エーアイ) 』のアイがライト、『巨塔の魔女』エリー、他関係者達を皆殺しにすると宣言。

彼女達は宣言を実行するため、深海遺跡から外へと動き出すのだった。