軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19話 ライトvsヒロ6

「オマエは地上にあげるわけにはいかない。何より僕は言ったよな? 『貴様は絶対に許さない。貴様だけは地獄が生ぬるい地獄以上の地獄を味わわせてやる!』と」

「あははははは! 未だにボクに勝てると考えているのかい!? ライトくんはやはりあの土人村の住人だね! 状況を把握する知能もないなんて!」

ヒロは挑発のため彼が滅ぼした僕の故郷について触れた。

そのまま再び『 光撃(こうげき) 』を開始!

鏡に乱反射して、僕を削り殺すように攻撃をしかけてくる。

ヒロは自分が優位に立っていると考えているにもかかわらず、油断せず慎重に僕を殺害するため行動していた。

(狂ったように笑ったのも僕を油断させるための演技の可能性もあるな)

先程のように回避に動かず棒立ちで、ついそんなことを考えてしまう。

別に抵抗を諦めて、楽に殺害されようと考えているわけではない。

この程度の逆境、正直、僕にとってはピンチの内にも入らないため焦る必要がないのだ。

僕は新しいカードを一枚取り出す。

「言ったはずだ――『無限ガチャ』の 対応能力(可能性) は無限大だ、と。『UR 次元伸縮爆発』、解放」

僕を中心に次元が歪む。

刹那――歪んだ次元が元に戻ろうとする膨大な超エネルギーが解放。

僕を中心に膨大なエネルギーがメイ、ナズナ、ヒロ関係なく叩き付けられる。

当然、鏡張りの部屋など耐えきれない。

鏡は粉々に砕け散る。

『UR 次元伸縮爆発』――次元を歪め、戻る際の膨大な爆発力によって敵に大ダメージを与える。欠点として、使用者を中心に膨大なエネルギーが放出されるため、敵味方問わずダメージを与えてしまう。

メイ、ナズナは咄嗟に防御。

ヒロも膨大なエネルギーに耐えきれず、動き回ることはできず壁に叩き付けられる。

光人化の影響でダメージはないが、大きく隙が生まれる。

『UR 次元伸縮爆発』の爆発に耐えきれず、部屋中の鏡が粉々に砕け散り、舞い上がった。

キラキラと輝く鏡片の中を僕は、壁に叩き付けられたヒロへと突撃。

「く、来るなぁぁぁぁぁぁあッ!」

ヒロは壁を背に突撃してくる僕へと向けて両腕を突き出し拒絶。

両腕から光剣が発射するように発生する。

僕は構わず『 神葬(しんそう) グングニール』を叩き付ける!

『 神葬(しんそう) グングニール』の穂先が、光剣に正面衝突!

吹き出す光と闇が拮抗する。

「ぐうぅうぅ……ッ!」

「…………」

最初こそ拮抗していたが、『 神葬(しんそう) グングニール』から吹き出す闇が光を浸食。

ジリジリとヒロに向かって近づいていく。

ヒロ自身、圧力に耐えきれず壁を背にしていたが、どんどん押されて床へと下がっていく。

僕は一切の表情を変えず、右手を『 神葬(しんそう) グングニール』で灼かれながら、穂先をヒロへと押していく。

「ぐうぅうぅ……ッ!」

「……どうした、もう終わりか? 僕を殺して心臓を食べて恩恵を得るんじゃないのか?」

「ぐぞおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉっ……ッ!!!」

ヒロは叫び、抗おうとするが耐えるどころか、押し込まれることに逆らうことができない。そのまま地面へと尻餅を突けてしまう。

故郷を滅ぼされ、両親、村人を殺害された憎悪、怒り、負の感情を汲み取るように『 神葬(しんそう) グングニール』から黒い霧が無限に溢れ出て止まらない。

ヒロから溢れ出る光をどんどん浸食していく。

「あぁあぁぁぁぁあッ! いだい! 痛い! いだだぃいいいいぃぃッ!」

ついに穂先がヒロの両手を突き破り、胸を刺し貫く。

彼は悲鳴を上げて抜こうと『 神葬(しんそう) グングニール』を掴む。だが、その掴んだ先から、黒い霧のようなものに浸食され悶え苦しむ。

一般人なら触れただけで即死。

並の高レベルでも、刺されて内部から灼かれた時点で死亡しているだろう。

とはいえヒロは一応レベル9999。

この程度ではまだまだ死なない。

死なず、未だ抗う力があるため、僕は『 神葬(しんそう) グングニール』を突き刺し、ぐりぐりと抉り弱らせる手を止めない。

手を動かすたび、ヒロは心底苦しげな悲鳴を上げる。

「痛い! いだだぃいいいいぃッ! だすげでぇぇええぇぇえぇッ!」

「誰も貴様を助けない。そして、すぐには殺さない」

僕は座り込み見上げる形になっているヒロの目を覗き込み、淡々と告げる。

「貴様は絶対に許さない。とーちゃん、かーちゃん、村の人々が味わった痛み、地獄以上の地獄を味わわせてやる。絶対に死なせずにだ」

「ぎぎぎぃいいぃぃいいぃッ!!!」

ヒロが両目から涙を流し、口から唾液を撒き散らして苦痛の悲鳴を上げた。

ある一点を越えると彼の体から力が抜け落ち、『 神葬(しんそう) グングニール』の穂先を掴んで抜こうとしていた両手もずるりと抜け落ちる。

どうやら抗う力を完全に失ったようだ。

彼は心底怯えた瞳で僕を見上げ、最後の力を振り絞り告げる。

「ば、ばけもの……ふくしゅうに、とりつかれた……ばけ、も……」

ヒロは完全に意識を失った。

これ以上、『 神葬(しんそう) グングニール』で刺し貫いていたら、いくらレベル9999でも命を落としてしまう。

僕は彼を見下ろしながら、『 神葬(しんそう) グングニール』を抜く。

ヒロの最後の捨て台詞は、僕の心に一切響かない。

弱いまま『奈落』の最下層で、ドラゴ、ガルー、サーシャ、ナーノ、ディアブロへ復讐できず、世界の真実も知らず、破壊された故郷、とーちゃん、かーちゃん、村の皆の敵も取れず、モンスターに食い殺されるのが正しかったのなら、そんなものクソ食らえだ。

復讐を遂げられない、真実を知らないよりずっとマシだ。

気絶したヒロを見下ろし、断言する。

「……復讐を遂げられるなら、僕は化け物でもいい。喜んで化け物にでもなってやるよ」

「ご主人様は化け物なんかじゃない!」

「な、ナズナ!?」

メイを振り切って、ナズナが僕へ一直線に駆け出し抱きつく。

彼女に抱きつかれた勢いで若干よろけてしまった。

抱きついてきたナズナは涙を流し、声を上げて先程の僕の台詞を否定する。

「化け物は仲間の心臓を喰ったあいつだ! だから、ご主人様も自分を化け物なんて言うな! そういうことを言っていると本当に化け物になっちゃうぞ! あたいはご主人様があんな奴のようになるのは嫌だ!」

「……そうだね、ごめん。もう二度と言わないよ」

僕は右手に『 神葬(しんそう) グングニール』を握りしめたまま、僕の胸で泣くナズナの頭を左手で撫でた。

メイはそんな僕達に歩み寄り、僕と一緒に泣き続けるナズナを愛おしげに撫でた。

そうだ。僕は確かに復讐に囚われていたが、化け物ではない。

なぜなら、僕にはメイ、ナズナ、アオユキ、エリー、他にも大勢の仲間達が居るんだ。

もし一人で復讐を歩んでいたら、ヒロの言葉通り『復讐の化け物』になっていただろう。

だが、皆が居るから、こうして、『復讐の化け物』にならずに済んでいるのだ。

「……僕の復讐はこれでお終いだ。帰ろう、皆のところへ」