軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

27話 情報収集のための対価

『奈落』最下層、執務室。

「どうやら上手くディアブロへ圧力をかけられているようだね」

「はい、報告では魔人国第一王子も、ディアブロが『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』を使い自身の命を狙っているという欺瞞情報を耳にし、激昂しているとか」

僕の言葉にメイが報告書に書かれた内容を口にして補足する。

恐らくディアブロが『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』を使い僕――ダークの命を狙ってきた。

結果、 処刑人(ブロー) の幹部である『 死剣(モルテ・スパーダ) 』の5人を返り討ち。

その『 死剣(モルテ・スパーダ) 』を使って、ディアブロへの新しい嫌がらせを思い付く。

『 死剣(モルテ・スパーダ) 』は、『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』だけあり、後ろ暗い仕事を多数こなし続けていた。

そんな彼らの記憶を抜き取り、魔人国首都の目立つ場所に悪行について記した看板を立てて放置。

『 死剣(モルテ・スパーダ) 』から僕達の記憶を奪うため、エリー曰く『脳の力を丸ごと破壊』したらしい。

これで僕達に関する情報が外部に漏れ出ることはなくなった。

看板には彼らが今までおこなってきた詳細を書く――その中に一つだけ嘘を混ぜ込んだ。

『ディアブロがヴォロス第一王子の命を狙っている』と。

看板には『 死剣(モルテ・スパーダ) 』から抜き取った真実しか書かれていないため、その中に混ぜ込まれた嘘『ディアブロがヴォロス第一王子の命を狙っている』も真実と同等の説得力を持ってしまう。

いくらディアブロが否定しても、実際に『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』へ暗殺仕事を依頼した事実も、真実としての力を強めた。

「今頃ディアブロは、『第一王子に対してどういう言い訳をするか』について苦しみながら頭を悩ませているんだろうね」

「恐らく、間違いないかと」

僕はディアブロが苦しんでいる姿を想像し、再び笑みを零してしまう。

だが、彼の苦しむさまを想像し、破滅へと進んでいることを楽しんでばかりもいられない。

今回の一件で、完全に僕達は『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』と敵対することになる。

あれだけ『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』のメンツを汚したのだ。

黙っているなど考えられない。

「新しい情報を得るためにも魔人国の『ますたー』らしき彼らのボスを確保したいから、僕達――恐らく『ダーク』の首を狙ってくれるのはありがたいぐらいだけど」

「念のためライト様の冒険者仮名『ダーク』と親しい者達に手を出されないよう、問題が解決するまでは遠くから護衛をお付けすることになります」

「うん、よろしく頼むよ」

隠密に長けた者を護衛として派遣する予定だ。

とはいえまだ『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』のボスをどうやって釣り上げるか作戦は決まっていないが……。

「とりあえず『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』のボス、ギラを確実に捕らえるためにも、まずは彼に関する情報を集めないと」

エリーが『 死剣(モルテ・スパーダ) 』から抜き取った情報では容姿、大凡のレベル、性格などは判明しているが……どのような『能力』、『攻撃方法』、『戦闘をするのか』などはまったく分かっていない。

「ライト様のお命を狙ったお笑い集団――失礼しました。『 死剣(モルテ・スパーダ) 』の記憶からではいくらエリーといえど、それらの情報を得るのは難しいかと」

メイの中ですら『 死剣(モルテ・スパーダ) 』は『お笑い集団』の扱いとなっているようだ。

(ネムムが激怒するほど拙かったからな。メイの中でそんな扱いになるのも当然だよね……)

僕自身、まったく同意見だった。

だが『 死剣(モルテ・スパーダ) 』の記憶から、これ以上情報が得られないのであれば他の情報源を探るしかない。

僕は軽く溜息を突きつつ、片手でこめかみをぐりぐりと押す。

「気は進まないけど、彼女に会うしかないか……。またスズには迷惑をかけるな……」

「…………」

さすがのメイも否定出来ず、僕同様に変化は極僅かだが苦い顔をする。

恐らく長い付き合いの僕でなければ気付くことが出来ないだろう。

メイにこんな顔をさせる『彼女』にある意味感心しつつ、指示を出す。

「メイ、悪いけどスズを呼んでくれ。一緒に訓練場に拘束した状態の彼女を連れてくるように。準備が終わったら声をかけてくれ」

「畏まりました」

メイはお手本のように一礼し、僕の指示に従い動き出した。

☆ ☆ ☆

魔人国『ますたー』を知るための情報源――同じく元『ますたー』のミキと再び僕は対峙する。

彼女は椅子に座り手足を拘束され、首には僕の 恩恵(ギフト) 『無限ガチャ』カードから出た『SSSR 呪いの首輪』を嵌めている。

さらにエリーによって 戦略級(ストラテジー・クラス) 、 茨の束縛(ドルン・フェッセルン) で拘束。

上位のレベルでも、まず脱出は不可能な拘束を受けている。

だが、最悪の場合に備えて、戦闘が発生しても被害が一番少ない『奈落』最下層訓練場へとミキを移動させたのだ。

「『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』のボス、ギラの情報が欲しい? なら、対価は分かっているわよねぇ?」

ミキは一見すると罪人のように右頬に蜂の入れ墨のようなモノが刻まれているが、外見は非常に整っている美少女だ。

虜囚生活を過ごしているにも拘わらず肌は綺麗で、金色の髪の毛も絹糸のように艶やかさがあり、運動をする場がないせいか以前と比べるとやや肉付きが良くなっている気がするが、それだって以前は痩せ過ぎなほど細かったため、男性視点からすると逆に魅力を増したと思うほどだ。

地上で男性にミキの容姿を尋ねれば全員が全員『美少女』だと断言するだろう。

むしろ『嫁に欲しい』と多数の人々から騒がれるであろうほどだ。

……にも関わらず美少女の筈のミキは、成金の脂っぽい太った中年男性が処女の女性を金の力で買うような『にちゃぁ』という粘っこい笑みを浮かべる。

彼女の笑みは僕の背後に控えるスズへと向けられていた。

僕は胸中で申し訳ない気持ちになりつつも、溜息混じりに返答する。

「分かっているよ。以前、約束した通りそちらが欲しいモノを融通する代わりに、僕達側は情報を得る。でもそっちもちゃんと覚えているかい? 僕はスズが望まないことは絶対にやらないからね」

「もちろん、分かってるわよぉ。むしろ、こうして生スズちゃんを拝めるだけで、眼福だけどぉ」

「……ッ!?」

ミキは僕の背後に控えるスズを文字通り舐めるように視姦。

そのナメクジが這い回るような視線にスズはロックをギュッと抱きしめつつ、怯えて僕の陰に隠れてしまうほどだ。

(ミキは本当に分かっているのかな……)

不安を抱えつつも、いつまでもこうして居るわけにもいかず尋ねる。

「それで情報の対価に何を求めるんだい?」

「そうね……なら今回は――」