軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

36 少し奥へ

「みなさん、こんにちはショーゴです。今日は少し奥まで進んでみようかと思います」

モンスターの数を稼ごうとすれば入口に近いところを周回するに限る。

移動時間の無駄が減るからだ。

ただ、それではただの周回映像の配信。

絶対に飽きられてしまう。

飽きられないためには変化が必要だ。

配信を始めてから、俺も少しは勉強した。

脳筋だけでは生き残っていけない。

登録者が100万を超える人気のシーカーの配信をみたりもした。

ただ、正直ランクも違うしイベント目白押しで参考にならなかった。

ダンジョン内でパーティでワチャワチャやっていたりもしたけど、ソロの俺には無縁。

将来俺もパーティを組めることがあれば参考にしたい。

モンスターの種類がどんどん変わればそれに越したことはない。

ただ、同じ場所を周回している人気シーカーは皆無だった。

基本みんなダンジョンを進んでいた。

なのでこのタイミングで俺も奥へと進むことにする。

戦いにも慣れたし、レベルアップした今、このダンジョンで想定外な事が起きたとしてもある程度対応できる気がする。

「ここからは、初めてのエリアですね。気を引き締めていきたいと思います」

“お~っ、気を付けて頑張れよ”

“いや、ちょっと奥行くくらいじゃかわらんて”

“未知への挑戦”

もう一カ月を超えて配信しているからだろう。

俺の何でもない言葉にも反応してくれる視聴者さんが増えてきた。

このやりとりが何気に楽しい。

ソロだけどソロじゃないような感覚。

部屋の中では味わうことの出来なかったこの感じが楽しくてテンション上がる。

「やあっ!」

オークを斬り伏せる。

正直、斬る時に声はあっても無くてもいい。

ただ、人気配信者はもれなく声をあげていた。

もっと激しい声だけど。

「どりゃあああ」

こんな感じの声を発している人が多かった。

確かに無言で斬りつけるより、臨場感が出る。

視聴者目線だと俺の配信には効果音が少ないのは間違いない。

モンスターを斬っても、そこまで大きな音が発せられるわけではない。

可能なら自分の声で解説しながら進むとなお良だが、配信1ヶ月ちょっとの今の俺にそこまでの技量はない。

余裕がないというよりも知識が足りない。

ダンジョンやモンスターにそこまで詳しくない。

むしろ視聴者さんの方が詳しいくらいだ。

コメントにもあったけど、ちょっと奥に来たくらいじゃ今のところ特に変化はない。

奥に行けば行くほどモンスターが溢れ出てくるという事もない。

いや、変化もあるにはあった。

何組かのシーカーグループとすれ違った。

これは今までにはなかったことだ。

やはり不人気のFランクダンジョンとは違いEランクダンジョンともなればそれなにり潜っているシーカーもいるようだ。

ただひとつ。

俺以外はみんなソロではない。

2~5人程度のグループを形成している。

少し羨ましい気持ちはある。

ハーレムパーティか! と突っ込みたくなる構成のパーティもいた。

まあ、確かにそのパーティの男性の顔は整っていた。

悔しいが、俺には出せないモテ男のオーラがにじみ出てはいた。

ただ、経験値やお金を人数割りすることを考えると、Eランクダンジョンでは結構厳しい気はする。

「くそっ」

「零士、右だ」

「いや左も」

「なんだよこれ」

「踏んだんだろ」

「俺じゃねえよ」

「美香お前だろ」

「私じゃないって」

なんだ?

少し距離はあるけどステータスの上がった俺の耳に聞こえてきた声。

基本静かなダンジョンで異質な喧騒。

なにやら揉めているというか、焦っているのか?

それも複数人数の声だ。