軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第152話 もっと魔力を!

イデアさんとラブラブな毎日を過ごしているライト兄さんの工房に行って急遽作成を依頼したのが、今のスタイリッシュな魔力供給魔道具ではなく、武骨な大型魔石タンクの大容量魔力供給魔道具である。

森の民の集落にて、普通の古代のドワーフ族が作ったと思われる、よく見る魔合金の装飾品とは一味違った獣の腕輪なるマジックアイテムを、

『今までのマジックアイテムの魔合金より色味が複雑だし、なんか知らない金属とか使ってるのかも…』

などと、思いながらもリペアの魔法で直した際に修復には成功したが僕本人は魔力切れでぶっ倒れてしまった。

しかし、それは見方を変えれば、

『もっと魔力を使えば、今まで修復出来なかった普通より素材的に複雑で強力なマジックでも魔力でゴリ押す事で直せるかも!?』

という確信にも似た手応えが有ったとも言え、ライト兄さんに、

「ミスリル製のマジックアイテムでもギフトの熟練度的には直せると思うから、兎に角魔力だけ補強して欲しいんだ」

と無理を言って作って貰ったのが、腕からではなく頭部からストーンバレットを打ち出すように変更して現在は使わなくなった初期型の試作型ゴーレムの片腕のフレームとゴーレム用の魔石タンクを流用した設置型の魔力供給装置である。

持ち運びこそマジックバッグでもないと難しいが、魔力供給魔道具と同じ理屈で使え、他の魔法ギフトの方々が杖の先から魔法を放つ時の様に自分の魔法を発動させる場所を魔力供給装置の回路の先…つまりスクラップとなったゴーレムの腕フレームの先端に意識を集中させて発動させる必要がある。

しかし、体から離れた位置に魔法を発動させる為の意識を留め続ける集中力さえあれば、今まで魔力不足で手応えどころかウンともスンとも出来なかった壊れたマジックアイテムでもどうにか出来る可能性が有るというだけで試してみる価値はあるはずである。

そして、ライト兄さんは僕からの注文を聞くと、

「そんな事なら任せてくれ」

とバラッドさんの工房まで移動しバラッドさんと二人で資材置場の隅でスクラップなどを使いチャチャっと回路を繋いで僕からの依頼の品を完成させたのだが、兄さんは、

「そうだ、前にジョンが言ってた王都で見た新型のゴーレムが魔道具の杖の代わりにマジックアイテムの杖を組み込んでいるって話を聞いてバラッドさんと試してみたいって話してたんだよ」

と言って、急造の魔力供給装置をポンポンと叩くバラッドさんからも、

「コイツでマジックアイテムの杖が直せたら幾つか回してくれないか? ジョンの旦那の新型に組み込んでみるから」

とお願いされたので、僕は、

「未だ直せると決まった訳じゃないけど、最悪直せなくても今持っている水撃の杖とか先に渡しておきますよ」

と、マジックバッグから水撃の杖を取り出してバラッドさんに預けると、バラッドさんは、

「おっ、コイツはどんな効果の杖なんだい?」

と聞くのだが、そこはその杖を手に入れた時に一緒に居たライト兄さんが、一度見た物は鮮明に思い出せるギフトにより、

「あぁ、それなら俺が知ってますよ」

と、前に僕と一緒に行ったダンジョンにて、入り口のギルドの資料で見た水撃の杖の詳細な情報をバラッドさんに伝えると、

「へぇ~、使い手の魔力の質によって普通は水を打ち出すところ、光の魔力なら聖水を打ち出したり土の魔力なら泥水なんかを出すのか…」

と驚きながらもバラッドさんはライト兄さんに、

「ならライトの旦那ぁ、コックピットからゴーレムコアへ魔力を充填させる回路には土属性の魔力に変換する物があるんだろ? ならマジックアイテムの杖へ流す魔力を今まで通り無属性の魔力で無くて属性魔力に変えれないかな?」

と質問すると、ライト兄さんもノリノリで、

「ならマジックアイテムに流す魔力の属性を何種類か切り替える装置を作りましょう!」

などと楽しそうに語りはじめたので僕は、

「では、僕は作業小屋の方で魔力供給装置を試してみますね」

とマジックバッグを押し当てて魔力供給装置をにゅるんとカバンに仕舞うと、バラッドさんは、

「いや、勿論見に行くよ」

と言い、ライト兄さんも、

「微調整とかあるかも知れないだろ? 本当にジョンはせっかちだな…そんなんじゃモテないぞ」

と、イデアさんと結婚出来たのを良い事に、まるで自分がモテていたような口調で僕に注意をしてくる。

その後、僕は妻子持ちのバラッドさんと新婚のライト兄さんから、

『モテる男とは…』

みたいな若干イラッとするマウントに耐えながらもチャレンジした魔力供給装置でのマジックアイテムの修復であるが、購入時にエルバート師匠の鑑定により効果が判明している壊れたマジックアイテムの中で、

「絶対直したい!」

と何度かチャレンジしたが全く手応えの無かった【回復の杖】という回復魔法が放てる杖と、【禁忌の剣】なる呪われそうな名前であるが、その能力は火属性の中級魔法であるフレイムによる炎の斬撃が飛ばせる剣である。

このミスリルの魔法の剣を作ったと言われる古のエルフ族だが、森で暮らすエルフにとって森の木々を燃やしかねない強い火属性の魔法は禁忌という扱いであり、エルフの国から追放されたエルフが故郷の森ではない土地で知らない魔物と戦う為にエルフとしての禁忌をおかして作り出したマジックアイテムというのがこの禁忌の剣なのだそうだ。

そんな名前からして厨二心をくすぐる剣を、

『何としても…』

と狙っていたのであるが、流石に魔力供給装置を使って一発目から試すのは不安なので、お試しとして、

「このストーンウォールが出せるらしい大地のハンマーから直してみますね」

と、地下倉庫の中で目についた柄が曲がってルーン文字が変形したハンマーをズルズルと引っ張りだして、作業小屋の前に取り出した魔力供給装置の前に置くと、装置の魔石タンクにジャラジャラと魔石用のマジックバッグから魔石を充填しながら、

「えっ、まだまだ入るよ!」

と驚き、

「遠征で使いきった魔石を補填するのに大量に必要だからアル君達に買い付けて貰って来たけど、この分だと王都に出発前に無くなりそうだな…」

などとボヤきつつも、見学者の二人の自称モテ男に、

「もしもが有るから離れて見てください」

と、モテ話をこれ以上されない為にも僕から離れてもらい作業に集中できる環境を整備した。

やっと落ち着いて集中できる僕は、

『この装置を体の延長だと思って…』

と、魔力供給魔道具の練習の時にやった魔力操作のコツを思い出しながら、慎重に自分の魔力を装置の先にある壊れたハンマーに集中させると、同じ場所に魔石から取り出され回路で光属性に変換された魔力が装置からも集まり出したのを感じた僕は、

『これはイケる!』

との手応えを感じつつ、

「リペア」

と唱えたのであった。

すると装置の先のハンマーは壊れた時の逆再生をするようにゆっくりとだがグニャりと曲がった柄が真っ直ぐに戻ると、見学者から、

「おぉ!」

という歓声があがった。

すると修復作業が無事に終わったと判断した二人はハンマーに近づき見回した後に、次に装置をチェックしはじめバラッドさんは、

「よし、フレームとかに異常はないな」

と満足そうに装置をポンポンと叩きながら、

「有り合わせで作ったにしては上出来だ!」

と笑い、ライト兄さんは魔石タンクを開けて、

「おい、ジョン! 一回でタンクの半分近く無くなってるぞ」

と呆れているのだった。

一仕事終えた僕が、

「大型タンクの半分もか…まぁ、制御する為の魔力だけで自前の魔力はかなりセーブしたから仕方ないかな?」

と装置を使用した感想を二人に話し、そして、

「でも、曲がっただけでもハンマーぐらいの質量のミスリル製品を修復するのにはいつもの魔力供給魔道具の魔石入れでは全く足りなかったのはこれで判明したよ」

と言ってはみたが、慣れていない離れた位置での魔法発動にかなり疲れてしまい、

「魔力を発動させてからならゴーレムぐらいの大きさに魔力を流すのは楽だけど、発動させる位置をズラすのはキツイな…これは魔力より集中力が続かないかも…」

と弱音を吐いているとバラッドさんとライト兄さんは僕の事など気にしていない様子で、

「これ、一回使ってみないか?」

などと大地のハンマーを担いで作業小屋の横に移動し、

「デニス坊やダグの旦那の魔法の練習やら弓の練習の的にもなるからここいら辺に石の壁を出してみるか?」

など楽しげに語りながらも、

『ゼルエルガさん達が使ってたストーンウォールだろ…魔力が足りるかな?』

と若干不安を覚えた二人が、

「ライトの旦那が…」

とか、

「いやいや、ハンマーはバラッドさんが得意でしょうし…」

などと魔力切れで気絶するのを怖れて譲りあっているのを、

『僕はまだまだ魔力が有るけど、ハンマーは重いからヤ~ラナイ』

と眺めているのであった。