軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

村が変わった 44

新たな武器を手にしたということもあり、村の戦力は一気に上がった。狩りでの戦闘訓練も随時実施しており、基本は戦士と弓使いで四人に盗賊を一人加える形の編成だ。本当なら聖職者や魔術師、商人も編成に加えたいが、五人での編成では難しかった。

なので、一日一回、通常の五名編成に二人から三人加えた形でレベリングをさせてもらっている。更に、ある程度レベルと熟練度が上がったらスキル取得の特訓だ。

そういったストイックな生活を二ヶ月行った結果、明らかに戦力は増強された。

「二連斬り!」

その森の中に凛とした女性の声が響き、連続で金属音がする。アルマジロみたいな小型の魔獣は、その一撃で仕留められてしまう。

更に、奥から突進してくる十体近い魔獣達には、二人の弓使いが対応した。

「貫通矢!」

「三連射」

二人の男の声がしたと思ったら、一気に六体の魔獣が矢を受けてその場に転がる。ちゃんとした弓と鉄の矢の力だ。

残った魔獣を真剣な目で見つめ、魔術師の少女が口を開いた。

「 炎の矢(フレイムアロー) !」

詠唱に時間は掛かったが、発動した魔術は十分な効果を発揮した。一つの炎の矢。しかし、サイズが大きい。なんなら僕が横向きに寝たくらいのサイズはある。

矢というよりは投げナイフのような形をした炎が、弾丸のような速度で魔獣に飛来した。その威力は詠唱時間を考慮しても破格だ。

着弾と同時に炎が弾け、中心地から半径二メートルほどを燃やし尽くす。残った魔獣もこの一撃で仕留めた。

「お、おぉ……」

魔術を行使した本人が一番驚いている。

「ちょっと地面抉れてないか?」

「凄い威力だな」

他の皆も集まって現場検証みたいな感じになった。

「ラーシュ君。これでも弓使いが一番攻撃力を出せるの?」

呆れたような顔で戦士のお姉さんから質問される。皆には日々教育をしている為、各職業適性の最終的な姿についても教えていた。だが、目の前で魔術一発の威力を見て、疑問を持ったのだろう。

そんな質問に軽く頷いて答える。

「うん。一撃の威力に目を奪われちゃうかもしれないけど、物理的な面で考えると連続でバンバン攻撃できる弓使いの方が火力は出るよ。ただし、範囲攻撃。一度に大勢を相手にするなら魔術師かな?」

「そうなんだ」

一度で理解できたのかは分からないが、お姉さんは細身の片刃剣を片手に首肯する。あの後、もう一度魔獣の素材を売って武器を仕入れたのだが、少し安い軽い剣しか仕入れることができなかった。

予算の関係で盗賊の皆も大きめのナイフを装備している。比較的安いからね。

「戦士ってあんまり強くない感じがする」

片刃の剣を二度三度と振ってから、お姉さんが不満そうにそう呟いた。しかし、それは否だ。

「そんなことないよ。戦士は一人でも強いし、隊列を組んでも強い。それに常時発動型のスキルを習得してるアーベルさんは強いでしょ?」

「村長は……まぁ、確かにそうね。私もあんな動きができるようになるのかな?」

「なるよ」

そう答えると、お姉さんは「そっか」と呟き、嬉しそうに微笑んだ。

よし、メンタルケアできたか。やはり、ギルドを運営するなら皆の士気が重要だ。ゲームの頃はメンタルケアを好んでするメンバーが何人かいたが、ここでは僕しかいないのだ。皆が楽しくレベルアップできるかは僕に掛かっていると言っても過言ではない。

そんなこんなで戦い続ける日々だったが、突然事態は急変した。

なんと、十人もの来客が訪れたのだ。

獣人の村は魔獣だらけの森の中である。こんなところを旅する者はいない筈だ。

そう思ったが、意外とアーベル達は疑問を持たなかった。

現れたのが獣人の傭兵達だったからだ。彼らは魔獣を狩って収入を得ようとし、森の中で魔獣に追われて遭難したらしい。

迷子だ。あれ? どこかで聞いた話だな。

そう思いつつ、そんなに都合よく村まで辿り着けるのかと疑念を持ち、様子を覗った。

獣人達はこんな森の中で生活できるのかと驚きつつ、村で一泊して出て行った。案内人としてミケルとロルフが立候補した為、二人が森から出るまでサポートすることとなった。

何かあるんじゃないかと思ったが、五日後には二人とも戻ってきた。めっちゃ早いやんけ。

「何も無かった?」

尋ねると、二人は笑みを浮かべて両刃の長剣を二本持った。

「お礼に剣をもらったぞ!」

「好きなものをって言うから、上物二本だ」

「おぉ、ありがとう。これで武器が補充されたね」

二人の報告に笑顔で頷き、剣を押収する。

「あ!」

「俺の剣……!」

「はいはい。二人は立派な弓矢を持ってるでしょ? 戦士の人達はまだ足りないから、使いまわしてるんだよ?」

「……へい」

「……分かったよ」

理由を告げると、二人は悲しそうな顔をしながらも素直に従う。

うむ。偉いぞ。

「しかし、それにしても、本当に偶然ここに辿り着いたのかな?」

どうも気になるラーシュ君だった。