軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アマテラスオオカミ 3

そして時は、アマテラスオオカミの合体完了をイラコが目撃し、「なんやて!?」した場面に戻る……。

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「な……あ……」

知らなかった……。

俺の口って、こんなに大きく開くものなんだ……。

頭のどこかで謎の感動を覚えつつも、俺はあらん限りに口を開いていた。

いやもう、こんなもん他にどんなリアクションすればいいんだという話である。

無論、頭の中では様々な考えとツッコミが渦を巻いていた。

一体、なんのつもりでこんなギミックを仕込んだのか?

つーか、ベース艦の何をどういじってこんな風に改造したのか?

それを実行するにあたって、資金はどこからどう捻出したのか?

何もかもが――謎。

ただ一つ明らかとなったのは、我が腹違いの妹こと第四皇女エステ・ジーゲルは、そのいずれをも可能にする天才的頭脳と人脈、資金源を有しているということである。

何それ怖い。

いつも俺の膝に座ってるあの娘こそ、最も次期銀河皇帝に近い女なのではないだろうか?

と、驚いている場合ではない。

「合体なんぞしたところで、どう戦うんだ?

確かに、チョーカッコイイとは思うけど!」

そこだけは、ありのまま真実の感想を述べておく。

何しろ元が二隻の戦艦であるため、全体的に四角いブロックを繋ぎ合わせたようなシルエットであるわけだが……。

その無骨さが――イイ。

また、マスク着用者を思わせる頭部の面構えに関しても、レトロチックなメカらしさは残しつつ、どれだけ時代をまたごうとも決して色褪せないヒロイックさが感じられる。

そして、両腕はクシナダのマシンアームをそのまま転じさせているため、マニピュレーターなしで電磁シールドが装着されているわけだが……。

だからこそ――変形合体ロボット。

ここまで大がかりな変形機構を入れている以上、その気になればどこかに五指を仕込むこともできただろう。

しかし、あえてそれはしない! 食材の良さを活かす!

腕利きの包丁人がごとき、あっぱれな心構えよ!

というわけで、俺の中のジュニアスクール男児は大はしゃぎであるわけだが、ここは戦場だ。

格好良さなど、一ミリも戦局に影響しない。

ゆえに、呆然としつつもつっこんだわけだが……。

それには、操舵手のメケーロ爺ちゃんが答えたのである。

『なあに。

お前さんが、その旧式でやったのと同じことよ。

せっかく、人型になったんだ。

手と足で戦えばいいってな……!』

モニター内の通信用ウィンドウに映し出されたメケーロ爺ちゃんが浮かべているのは、なんとも無邪気で楽しそうな笑み……。

危険な笑顔だ。

普段、顔の左半分を覆っている長い茶髪も巻き上げられて、稲妻のような古傷が露わとなっているし。

完全に伝説の傭兵――サンダーアイモードであった。

「いや、そりゃ俺も格闘戦でどうにかしたけどさ……。

タイゴンの手足には、人なんか乗ってないわけで――」

『――問題ない。

末端部となる手足は、元々人がいない部分を持ってきている』

割り込んで通信ウィンドウに顔を出して……いや、出せてないな。

銀髪ツインテの頂点部分のみが、新たな通信ウィンドウの中に出現する。

どうやら、エステでは背が足りなかったらしい。

『それに、普通に戦ったところで、火力がないこちら側の特性を思えば、相手が撤退するのを待つ我慢比べになってしまいますから。

イラコ殿下のタイゴンに頑張ってもらうとしても、M2の火力で艦艇級のシールドを貫くのは困難ですし……。

何より、お爺ちゃんがこう言ってる時は、必ずやり遂げてくれます』

そのツインテウィンドウに、長い黒髪をなびかせながらマミヤちゃんが顔を入れてくる。

拳は「むん」という感じで握られ、翡翠の瞳は何やら興奮気味の輝き。

よく分からないけど、テンション上がっているらしい。

まあ、確かに……俺がパッと思いついていた方法は、こんなところ。

1.クシナダ相手に光子魚雷を発射しようとしたところで、発射口に粒子小銃を連射する。

2.なんとなく一機だけ生かしてある敵機を叩きつけつつ、そのリアクターに狙撃して爆弾とする。

どっちも敵のレーザー機銃による弾幕をすり抜けなきゃいけないから、結構な難業である。しかも、後者はちょっと外道寄りな発想だ。

それを思えば、せっかく合体完了したアマテラスオオカミを、せっかくやる気出してる元伝説の傭兵に操ってもらいなんとかしてもらうのは、スマートと言えばスマートなのかもしれなかった。

『それに、どことなく驚いていた風な先方も、もう動き出していますよ?』

また開いた通信ウィンドウに映し出されたのは、モリー婆ちゃんのかわいらしいお顔。

彼女がのんびりふんわりと告げたように、ビビリ倒していたのがバリッバリに伝わってくる敵隠密艦も、いよいよ覚悟を決めたようだ。

白地に青いラインの入った流線形ボディが、アマテラスオオカミ相手に光子魚雷の発射機動を行おうとしている。

なお、ここまでビビッて手を出せずにいた件は、責めないであげよう。

誰だって、目の前で戦艦二隻がいきなり変形合体したら、驚いて何もできなくなると思う。少なくとも、俺はそうなる自信があった。

『それじゃあ、行くぜ!

――おほっ!

こいつぁ、ご機嫌だな!』

多分、共通規格のブリッジにも細工がされていたのだろう。

操舵手用のステアリングではなく、どこからか生えてきたらしいコントロールスティックを握ってるっぽいメケーロ爺ちゃんは、ウィンドウ内でかかと笑う。

彼が言う通り、アマテラスオオカミが見せた機動力は――抜群。

軽いマニューバを試しただけのようだが、正式名称アマテラスオオカミ・サンダーの名に相応しく、各所から放った余剰エネルギーのスパークを残滓としながら、遥か直上へと舞い上がる。

「高速艦並の機動力……マジかよ。

てか、どっからそんな出力が湧いてるんだ?

クシナダはどーだか知らんが、アマテラス側のリアクターは普通のやつだろ?」

『デュッフッフフフ……。

その質問には、拙者がお答えしますぞ』

巨大な機影が見せた超パワーに驚いていると、また新たなウィンドウがモニターへ出現する。

そこに現れたのは、こう……四角い感じの顔立ちをした黒髪の眼鏡男だ。

……うん。

「……誰ぇ?」

『オウフ。

ずっと出番を待っていたクシナダの副長ですぞ』

「ああ、うん……そういや、クシナダにも乗員はいるもんな」

『デュフフ、お見知りおきくだされ。

さておき、解説しますぞ。

確かに、アマテラスのリアクターは通常仕様。

しかし、エステちゃまの指揮に従い、拙者ら技術者がこっそり調整を施していたのです。

そう! こんなことも……。

こんなことも……!

こんなことも、あろうかと……!』

「ああ、うん、その台詞言いたかったんだな?

で、どんな風に調整したの?」

なんかちょっと気持ち悪いので、バレないようこっそり音声のみにして尋ねた。

『デュフ――』

『――クシナダのリアクターは、ベルトルトが高速艦スクルドに搭載したのと同じ最新型。

そして、アマテラスのリアクターと同調して、互いに通常以上の出力を出せるよう設計してある。

いわば、かけ算。

合体したのは、伊達じゃない』

キャプテンシートの上で立ち上がったのか、マミヤちゃんと共にどうにかウィンドウへ収まったエステが、むふーと鼻息荒く言葉を引き継ぐ。

うんうん。自分で顔出して言いたかったんだな?

『と、いうわけでだ。

銀河史上最強出力のスーパーロボット、まかり通らせてもらうぜ!』

ちょっと面白い&かわいかったのでスクショしていると、メケーロ爺ちゃんがとっても楽しそうな声を上げる。

かくして……。

銀河において全く前例なき戦いの火蓋が、切って落とされたのだ。