軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

108話 戦士達は大陸へ到着する

とある部屋へと訪問する。

「どうぞデス」

ドアを開ければモニカがいた。

すっかりはつらつとした雰囲気である。

栄養不足と脱水状態が改善されたおかげだろう。

「助けていただいたばかりか、自室まで与えていただけるなんて恐縮デース。一族秘伝の感謝術を披露するデース」

「いや、あの、そういうのはいらないかな」

「そうなのデスか。非常に残念デース」

適当な椅子に座りため息をつく。

よく分からん子だ。

未だにどう扱って良いのか悩む。

それはそうと、ここへ来たのは話を聞きたかったからだ。

「モニカのいた場所以外にも、陸地はあるのか」

「あるのは知っていますデース、でも、行って戻ってきた人達はいないのデース。噂では伝説の島があるそうデース」

「伝説の島??」

「有名な話デース。神に等しき種族が初めてこの世界に現れた島、そこには多くの遺跡と遺物が眠っているそうデース。いつか行ってみたいデース」

神に等しき種族、恐らく龍人のことだろう。

伝説の島か、俺も行ってみたい。

そんな話を聞くとワクワクしてしまう。

それはそうと、やはり造船技術はこっちも向こうも同程度のようだ。

外海を渡る術があるなら、とっくに島に来ているはずだからな。

少なくとも大陸では稼働している遺跡船がない、と判断できそうだ。

「国へ帰す件なんだが、しばらく俺達と一緒に行動してもらえないだろうか。こちらの都合で悪いんだが、直接この船で送り届けることはできないんだ」

「どのようなことでも従いますデス。私は命を助けていただいた身なのデース」

モニカはにっこり微笑んだ。

ざざざ、船が進む。

甲板に出れば強い潮風が吹いていた。

「とうとう見えましたね」

「航海を始めてもう二週間か」

水平線に陸地のようなものが見える。

あれこそが目的地である大陸。

カエデの故郷があり、母さんが生まれ育った場所だ。

「ぱくぱく」

船と並んでサメ子が泳いでいる。

最近は刻印から出したまま放置しているのだ。

サメ子も満喫しているようで、以前よりも表情が明るい……気がする。

『トール様、管理室までお越しください』

船長からの呼び出しだ。

俺達は彼の元へと向かう。

「沖で船を停泊し、調査団は上陸可能な砂浜から荷物を運び、拠点を作ります。そこでトール様には最初に上陸していただき、危険な生き物が近づかないように、森を警戒していただきたい」

地図を見ながら説明する船長に頷く。

俺達は大陸の端にある、森林に覆われた人のいない場所から上陸する予定だ。

なぜそのようになったのかは簡単だ。

我々だけが知る、安全な侵入ルートを確保する為。

俺達にとって大陸は未知の世界、完全なよそ者だ。

排除の対象になる可能性も、考慮しておかなければならない。

「いよいよ上陸か。まずは水源の確保と食糧調達を最優先にしなければな」

「ルブエ様、この地図によれば、上陸地点の近くには川があるようです。まずはこの辺りから探索を始めるのがよろしいかと」

「なるほど。だとしたら水は思ったよりも早く手に入りそうだ。でかしたぞ副リーダー」

「一週間前にもまったく同じ会話をいたしましたので」

ルブエは顔を赤くしてふるふる震えた。

確かに一週間前にも、同じメンバーで同じ話をした。

彼女は小さな声で「い、いまのは、みんなを試しただけだ」と涙目になる。

たまに思うのだが、副リーダーはルブエに恨みでもあるのだろうか。

甲斐甲斐しく世話を焼いているように見えるが、二人の関係はよくわからん。

「船長、上陸地点に到着いたしました」

船員からの報告のあと、船は航行を停止した。

砂浜に足を下ろす。

沖ではルオリク号が留まっており、船員達が小舟へ荷物を下ろしていた。

「なんだか普通ね」

「きゅう」

パン太に乗ったフラウが、砂浜の先にある森をしげしげと見つめる。

確かに普通だ。

ただ、外の世界の景色と思うと、感慨深くはある。

ロー助には周辺の危険な魔物の排除を、サメ子には、渡ってくる船員を守るように指示を出した。

「どうしたカエデ」

カエデがぼーっとしていることに気が付く。

「いえ、生まれ育ったはずの大地なのに、実感が湧かなくて」

「故郷から出たことがなかったんだろ。そう思うのも仕方がないさ」

「かもしれません。ご主人様はどうですか」

「そうだな、ここから母さんがやってきた、なんて今でも信じられない気分だ」

お?

スライム?

森から数匹のスライムが飛び出した。

生息する魔物は、俺の住んでいた場所とそこまで変わらないようだ。

「ご主人様、ここのスライム、レベルが」

「どうした?」

「レベルが、100です」

俺はカエデが何を言ったのか、すぐには理解できなかった。

「レベル100のスライム!?」

「はい、鑑定にそう出ています」

スライムは子供でも倒せる雑魚だ。

基礎能力は魔物の中でも最底辺。

たとえ100だろうと、警戒には値しない。

問題はスライムすらレベル100、と言う点だ。

他の魔物が低レベル、なんてことはあり得ない。

「どうやらここは高レベル帯のようですね。人がいない土地をあえて選んで上陸しましたが、裏目に出てしまったようです」

「今からでも上陸場所を変更するべきか」

「ですが、他に適した場所に移動するとなると、数日を要しますし、もしそこも同様の場所だとしたら……」

いつまで経っても上陸できないな。

こうなれば仕方がない。

俺の力で調査団をレベルアップさせるか。

調査は長くても一年。

まともに戦えなくてはあっという間に全滅だ。

不測の事態に備えて、力を付けさせておくべきだろう。

決まりだ。

早急にルブエと話をしよう。

「あるじさまー、すごいものをみつけたー」

「きゅうー」

フラウが森から戻ってくる。

なんだ、すごいものって。

というかパン太がやけに薄汚れているのだが。

フラウはパン太から飛び降り、砂浜を走って足下へと来た。

「建物を見つけたわよ!」

「森でか?」

「そう、川の近くに城塞みたいな古びた建物があったのよ。それで、中に入って調べようと思ったんだけど、扉が閉まってて開かないの。たぶんあれ、使えるんじゃない」

フラウは『お手柄でしょ』とばかりに、エヘンと胸を張る。

人が住んでいないのなら、拠点として利用できるかもしれない。

そうなればいちいち切り開いて建設する必要もない。

「よく見つけてくれた」

「えへぇ、もっと褒めて、もっとなでなでして」

頭を撫でれば、フラウはだらしない顔となった。