軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

文化祭20 三者面談する前にスペイサイドの発表が・・・

「お待たせしました。本当ならすぐに戻るつもりでしたが、まさかこんなに時間がかかるとは……申し訳ありません」

発表を見ながら待っていたティスの下へ向かい、開口一番に時間が掛かったことを謝ると、とても恐縮したような態度で首を左右に振る。

「い、いえ、気にしていません」

遠慮したのか、ティスはそんなことを言った。そんなティスに再度頭を下げる。

「重ね重ね申し訳ありません。それで、ラムゼイさんが思いのほか手強かったので、次の発表の時間が近づいていて……ご相談は、その発表の後でもよろしいですか? もし、夕方では厳しいようなら、明日にも時間をとりますが」

「……あの、ブッシュミルズの番人を手強かった程度ですか……いえ、何でもありません。時間はありますので、発表後で大丈夫です」

「ありがとうございます。それでは、ちょっと行って参ります。あ、次の発表はとても見ごたえがあると思いますので、是非ご覧ください」

「え? 今の発表以上ですか? それはちょっと怖いのですが……」

そんなやり取りをしてから、私はスペイサイドの下へと向かった。

広場の奥では、私が用意した機器を並べて腕を組むスペイサイドの姿がある。

「おお、アオイ先生。助かりました。どう配置したものか、助言をいただきたかったのです」

そう言われて、広場を見回した。広さは十分にある。ただ、当たり前だが真っ平の会場だ。

「それでは、最初に土の魔術で凹凸を作りましょう。その窪んだ部分に照明を設置すれば効果的だと思います。私はそれ以外の舞台準備をしましょう」

「分かりました。それでは、よろしくお願いします」

簡単な打ち合わせを行うと、まるでそれを合図にしたかのように鐘の音が鳴った。

広場に集まった観衆の前で、スペイサイドが美しい所作で一礼をする。元々芝居がかった動きをするところがあるが、今はそれが発表の場ということもあり、とても美しく見える。

皆の視線を集めて、スペイサイドは笑顔で口を開く。

「お集りの皆さま。フィディック学院で水の魔術を教えております。スペイサイド・オードと申します。この発表では、とても繊細な魔力操作を用いた魔術を披露いたします。是非、細かな部分まで意識してご覧ください」

と、スペイサイドは朗々とした語り口で口上を述べた。どうもプレゼンテーションが得意な性格らしい。普段の会話時よりも堂々として見える。

感心しながらスペイサイドを見ていると、また微笑みを浮かべて皆を見回し、口を開いた。

「まずは、舞台を整えましょう」

そう前置きして、土の魔術の詠唱を始める。土が所々で盛り上がっていき、広場に小さな山が幾つも出来上がっていく。その中心にはスペイサイドが立っているが、きちんと自分が見えるように会場を作り上げていた。

地面の形が決まったのを確認して、次は風の魔術を行使する。

「 風の運び手(エアレイド) 」

魔術名を口にすると、事前に準備していた色のついたガラスが空中をひらりと舞いながら会場中に設置された。

「さぁ、それではいよいよ水の魔術を披露しましょう。皆さま、出来るだけまばたきはしないようにお願いします」

悪戯っぽい微笑を浮かべてスペイサイドがそう言うと、黄色い歓声が上がった。若干イラっとしたが、まぁ、仕方がない。

「 一時の夜(マジックナイト) 」

見栄えが良くなるように補助の魔術を行使する。魔術が発現した瞬間、広場が影になるように上空に厚い雲が出来上がっていく。雲は地上から数十メートルという極端に近い距離に出来た為、影が夜のように広場を暗くした。

そんな中、スペイサイドの魔術が完成する。水がスペイサイドの周囲に噴水のように次々と噴き出し、細い水の柱を幾つも作り出す。

それを確認して、私は火と水の魔術を複合して、光を生み出す魔術を発動した。

「 光の帯(ラインライト) 」

魔術名を口にすると、設置した各色ガラスから光が放出され、スペイサイドの作り出した噴水を美しく彩っていく。

その幻想的な光景に、観衆からは歓声よりも感動の溜め息の方が多く聞こえた。

観客の反応に気を良くしたのか、美しい噴水ショーは数分間行われ、最後は水浸しになったスペイサイドが一流のショーマンのように堂に入ったポーズで一礼し、幕を閉じた。

とても良いショーであり、水の魔術としても複数の水柱の位置調整、水量の強弱などはとても繊細で難しいものだっただろう。観衆からの評判はこれまでで一番良い発表となったと後で聞いたのだった。