軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

別話19 港街モタンペ防衛戦 終局

港町モタンペでは未だ戦いが続いていた。

無数の魔物の死体を乗り越えて、新たな魔物がやってくる。

それでもサローナ達が、この町に住む者達が、諦める事は無い。

頭を使い、手を動かし、仲間を信じ、目の前の魔物達を葬っていく。

それでも、魔物達は次から次へと現れた……

“港町モタンペ・東門”

「はあああああっ!!」

サローナは細剣で魔物を切り刻みながら、時に身を包み、時に切り刻み、時に仲間を守る壁として、自身が最も得意とする風の魔法を行使していた。

その細い体のどこにそれだけの力が宿っているのか、透き通るような銀の髪をたなびかせ、舞うように戦う姿は、共に戦っている騎士達の心を魅了した。

美の女神と言われても信じてしまいそうになるその姿に、騎士達は今、共に戦えている事を誇りに思い、勢いを増していく。

「傷ついた方は後方へ!!回復魔法の使い手の方々が癒してくれます!!私の結界魔法で誘導しますから、無理せず下がって下さい!!」

タタが戦場に響き渡るような大きな声でそう告げる。

そして、その言葉を証明するように、タタは目に入った負傷者に向けて結界魔法を施し、後方へと下がるまで、その結界を維持していく。

だが、そんなタタへ向け魔物が襲いかかろうものなら、ワズ曰く聖剣並の切れ味がある包丁で返り討ちにした。

最早、彼女に戦いに対する恐怖心は無い。

ワズに戦えるように体を鍛えられ、戦女神に心構えを教わり、その2つが今の自分を支えている事を感じながら、タタは自分に出来る、自分だけの戦いをこなしていく。

「まだだ!!こんなものか!!私を殺したいのなら、この倍は用意しないと無理だぞ!!」

マオは双剣を強く握り締め、勇猛果敢に先陣をきり、魔物達を斬り伏せていく。

この場に居る誰よりも前に出て、誰よりも魔物を滅していく。

少しでも他の者達の負担が減る様に、魔物達の中へと進んでいく。

けれど、だからといって周りが見えていない訳ではない。騎士達に危ない場面があれば、即座にその場から飛び出し、加勢していく。

その行動に騎士達は心の中で、まるで守り神のようだと思いながらも、自分達も負けてられないと、更に士気を高めていった。

“港町モタンペ・西門”

「総員!!結界の中へ!!」

ナミニッサの言葉が辺りに響き、それに応じるように戦場へと出ていた騎士達が結界内へと戻ってくる。

全員が戻って来た事を確認したナミニッサは目の前に広がる、海のように大地を埋め尽くす魔物達の頭上に巨大な結界を展開し、落とす。

そして魔物達は結界に押し潰され、その命をなくした。

しかし、即座に押し潰された箇所へと、再び魔物達が埋め尽くしていき、それを確認した騎士達は、少しでもナミニッサを休ませ、負担を軽くしようと結界の外へと飛び出して、魔物達と戦い続けた。

「全員、無理をするな!!大切なのは生き残る事!!無駄に命を散らす事は私が許さんぞ!!」

ナレリナが共に戦う騎士達に向け、声を掛ける。

その言葉に騎士達は頷き合い、互いのフォローをするように動いていく。

その動きを見て、ナレリナは全身鎧の中で小さく笑みを浮かべながら、手に持つ炎に包まれた大剣を振り、時には傷ついた騎士達を結界の中へと戻すために自らが先頭に立ち、道を作っていた。

決して誰も死なせる事はせず、また自分も愛する人のために必ず生き残ると誓って……

“港町モタンペ・様々な場所”

「……しっかり掴んで、離しちゃダメだよ」

「キュイッ!!」

ハオスイとメアルは遊撃に徹していた。

現状、ワズを除けば間違いなく最強であるハオスイは、大型の魔物を優先して仕留め回っていた。メアルを頭に乗せたまま、魔物達の海を駆け抜け、1太刀で斬り伏せていく。

ハオスイがその歩みを止める事は無い。魔物達は決して彼女の障害にはなりえない。

心に宿るのは愛する人と、大切な新たな家族達。

彼女はその皆を守るためだけに突き進む……

“港町モタンペ・港”

「これから大魔法の準備に入ります。少しの間だけお願いします!!」

カガネのその言葉に周りに居たこの町の漁師達は「任せろ、譲ちゃん!!」と手に持つ銛や槍を強く握り締める。

その姿を確認したカガネは歌う様に魔法の詠唱に入った。

当初、港はカガネ1人が守っていたのだが、いつの間にかこの町の漁師達が武器を手に持ち、戦いに参加した。

「ここは俺達が生きていく場所!!魔物なんかに屈してたまるか!!」と、次々に集まって来た。

その光景にカガネは笑みを浮かべ、この展開に更に燃えた。

そしてカガネの詠唱が終わり、海すら蒸発させる程の巨大な火球が魔物達を一掃する……

それでも魔物達の数が減っているようには見えない。

確実に葬っていっているし、数は減っているのだが、未だ新たに魔物達は現れた。

この町の戦える者達は、大きく呼吸を乱し、戦う意志はあるのだが、それに体がついていかない。

そして、ハーレムメンバー達でさえも、少し呼吸が乱れ始める。

そんな時、それ等は天より舞い降りた。

「グワアアアァァァッ!!お前等!!ウチの可愛い可愛いメアルを傷つけようとしておるな!!そんなもの到底許されぬ!!我の怒りを思いしれぃ!!」

「はいはい、アナタ、少しは落ち着きましょうね。メアルはハオスイちゃんが守ってくれてるからね」

「全く……その怒れる姿は龍王としてどうなんじゃ……だが、父親としては正しい姿かもしれんの……なら私も孫のために頑張るかの」

黒龍と2頭の白龍が天より舞い降り、上空から巨大な怒れる炎のブレスを魔物達へとお見舞いする。

そのまま龍王ラグニールは西門から中央までの魔物達を、その怒りの赴くまま蹂躙していき、白龍メラルは東門へと飛び、サローナ達に加勢し、老白龍メギルは海の魔物達をなぎ払っていった。

彼等がここに居るのはワズが洞窟へと向かう前にわざわざ遠回りし、この町の状況を伝え、出来れば加勢して欲しいと懇願したからだ。

元々、ワズにそう言われては行くつもりだったのだが、そのような危険な場所にメアルが居るとわかるやいなや、邪神の事はお前に任せるとラグニールが飛び出し、メラルとメギルもその後を追った。メギルはワズとすれ違う際に「必ず生きて帰るんだよ……メアルを泣かしたら、承知しないからね!!」と声を掛けた。

そして現在、龍王達の加勢によって一気に戦況を傾き、魔物達は瞬く間にその数を減らしていった。

ハーレムメンバーも騎士達もこの町に住む戦える者達も、この好機に最後の力を振り絞り、魔物達を駆逐していく……

そして其々の場所で最後の魔物が命を失った瞬間、至る所で勝鬨が上がる。

騎士達や戦える者達は皆、笑顔を浮かべ、互いの生存と町を守りきった大きな勝利を喜んだ。

しかし、ハーレムメンバーとラグニール達は未だ勝利を笑みを浮かべない……心配するような……祈りを捧げるような……そんな表情を浮かべながら、全員の視線はある一点のみを凝視していた。

いつの間にか怪しい雰囲気に包まれている大陸中央の巨大な山の頂へと―――