軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

女神揃う

港町モタンペを出た俺は、そのままフロイドの後をついていく。

視線をフロイドよりも先へと伸ばせば、そこにあったのは

「……大陸中央の山か」

「はい。山の火口付近にある洞窟に邪神を封印しております。この世界に住む者であれば、人族だろうと、獣人族だろうと、どの種族であろうとも、誰も近付く事も気付かれる事も無いようにしていたのですが、向こうに闇の女神がいる以上、そこも発見され、彼等もそこに居るでしょう……」

そんな場所があったのか。

確かに山で過ごしていた時期の俺は普通に人族だったし、その場所が分からなかったのも当然か。

俺は走りながら後方へと視線を向ける。

そこには既に豆粒のような大きさでしか見えない港町モタンペがある。

「……心配ですか?」

俺の様子に気付いたのか、フロイドが顔を前に向けたまま、そう問うてきた。

俺は再びフロイドへと視線を戻し、見えてはいないだろうが、ふるふると頭を振った。

「いや、皆を信じる……大丈夫、皆無事に生き残るさ。だから俺も邪神をさっさとぶっ飛ばして、皆の所に帰らないとな……いきなり未亡人にはしたくないし」

「まだ、ご結婚はされておりませんが?」

「気分の問題だよ!!」

そのままフロイドと軽口を交わしながら、俺達は山の火口にある洞窟を目指した……

途中、モタンペへと向かう魔物の集団が見えたので、とりあえず1撃で葬っておいた。これで少しでも皆の助けになればいいんだけど……

そのまま目に入る魔物を駆逐しながら山を登り、少しだけ寄り道というか、遠回りをしてから火口付近まで到達すると、フロイドが指し示す方向に洞窟が見えた。

尋常ではない速度で進んでいたので、遠回りしようが、そのまま向かおうが、時間的にはそう変わらなかった。

一応、念には念をいれておかないとね!!

このまま中へ突入しようとすると、俺の懐が輝きだす。

その輝きは5つの光球となって空中へと舞い、人型へと変わり、そこに現れたのは4柱の女神と、その中の海の女神様が抱える様に持っている小柄な少女へと変わった。

「……とうとうこの時が来ましたか」

光の女神様が神妙な顔つきでそう言う。

よく見ると、他の女神様達も真剣な顔つきだ。

今まで見た事もないその表情に事の深刻さが現れている。まぁ普段の馬鹿やってる状態しか知らないから、ちょっと戸惑ってしまう。

「お久し振りですね、皆さん」

フロイドが執事としての態度を崩さず、女神様達に向け優雅に一礼した。

その態度に女神様達は苦笑いを浮かべる。

「……何か気持ち悪い」

「うふふ……どなたでしたっけ?」

「お久し振りです、創造神様」

「私の目の前から消えて欲しいわぁ……」

「……Zzz」

おぉい!!フロイドさんや、お前女神様達にもそんな態度取られるんかいっ!!

お前、神だった頃も色々と迷惑な行動を起こしてたんじゃないのか?

というか戦女神様、あなたやっぱり良心の塊だったんですか?今も他の女神様達の態度に驚いてオロオロしてますけど、何も気にしなくていいんですよ!!

そんな態度、このフロイドには勿体ないです!!ぺっと唾を吐いて、胡散臭い者でも見るかのような視線を送れば、それで充分ですよ!!

あぁ、でもそんな戦女神様は見たくない!!

くぅ~、このジレンマ!!今回の件が片付いたらフロイドは一発殴らせろ!!

そして戦女神様以外の女神様達は、フロイドにそういう態度を取る前に自分達の行動も振り返れと言いたい。

「相変わらず手厳しいですねぇ~」

女神様達の態度はいつもの事なのか、フロイドはどこ吹く風だ。

その間に女神様達は俺の方へと視線を向ける。

「こうしてこの場に居るという事は邪神と戦う覚悟を持っているいう事……まずはその事に感謝致します」

「言うなればこれは神々同士の問題……出来ればこのような事でお手を煩わせるのは心苦しいのですが……」

「協力してくれる事、素直に嬉しいよ……ありがとう。私達も出来る限りの手助けをするから」

「本当にありがとう……闇の女神の事は私達に任せてくれ!!ボッコボコにして、あの腐った性根を叩き直してやるよ!!」

「……Zzz」

其々が俺に感謝の言葉を送っているのだろうけど……何故だろう?

戦女神様の言葉は素直に入ってくるのだが、他の女神様の言葉は受け入れがたいというか、何か裏があるんじゃないかと疑ってしまう……

「……うん、まぁそれは分かったけど……海の女神様が抱えているのは誰ですか?というか、さっきからずっと寝てますけど、起きないんでしょうか?」

俺はそう言って海の女神様が抱えている人?を指差し、まじまじと観察する。

晴天のような薄い水色の髪に、目を閉じているので瞳の色は分からないが、幼い人形のような顔立ちが見事に整っており、その小柄な体躯と合っていた。そのまんまの見た目でいけば、ハオスイやカガネよりも下に見えた。

「名前は聞いた事ありませんか?この子は“空の女神”です」

そう言って海の女神様が、その少女の顔を俺の方へと向けてきた。

まぁ、女神様達と一緒に居るし、そうじゃないかなぁとは思ってたけど……

闇の女神が言っていたように本当に寝てばっかりみたいだな。

俺は興味本意で寝ている空の女神様の頬をつんつんと突いてみるが、当の空の女神様はそれがこそばゆかったのか「……ふみゅ」と一言だけ吐いて、そのまま寝ていた。

やだっ!!何この可愛いの!!

も、もう1度突いてみようかなぁ……

「ワズ様?そろそろ向かいませんと……」

うるっせぇ、フロイド!!俺の邪魔すんじゃねぇよ!!

……ふぅ、落ち着こう……

なんというか、ここにきて分かった事がある。

メアルもそうなのだが、なんというか俺は小さいモノに弱いらしい……

くっ!!ここにきてこんな弱点が……

もし邪神が小さくて可愛いモノだったら……俺にやれるのだろうか……

「ワズ様……邪神は高身長の男ですよ」

だからフロイド、俺の思考を読むんじゃねぇよ!!

だが、その情報はありがとう。これで心おきなく邪神をぶっ倒せる!!

俺はふぅ~っと息を吐くと、フロイドと女神様達を連れだって洞窟の中へと入って行った……