軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

移動に足は基本です

ほい!!ほい!!ほい!!

ブチッ!!ブチッ!!ブチッ!!

んん~~~!!んん~~~!!

編み込み……編み込み……

ぐ~る……ぐ~る……

そして最後に

打ちつけ……打ちつけ……と

俺はこの海上街シーランスを構成している船と船を繋いでいる鎖を引き千切り、それを伸ばしたり、ぐるぐるまいて補強したりしながら即席の巨大な檻を作ると、最後にそれを中央の巨大船の船首に出来ている海賊達の山を囲むようにして打ちつけた。

俺は作業でついた埃を落とす為に手を叩きながら、出来あがった檻を見て1つ頷く。

「……うん、まぁこれで大丈夫だろう」

俺の言葉に隣に居る騎士達は唖然としていた。そんな驚くような事ですか?そうですね、こんな巨大な檻をものの数分で作るのは驚きですよね。でも、こうもうちょっと素材があればもっといい出来に出来たんですよ?だけど、中の海賊達が壊せるような、動かせるような代物ではないので安心して下さい。

「では、念のため見張りをお願いします。もし目が覚めて騒ぐようなら呼んで下さい……黙らせますから」

俺は海賊達の見張りに立つ騎士達に一礼してから、その場を後にし、ナヴィリオとオーランドが居るこの巨大船の船長室へと向かう。

「俺です。失礼しま~す」

ノックをして声を掛けながら船長室へと入ると、ナヴィリオとオーランドがソファーに座って寛いでいた。その様子から思っていた以上に、疲れていたというのがわかった。2人は俺が入って来たのが分かると、立ち上がろうとしたのだが、手振りだけどいいから座っておけと指示を出し、俺は2人へと近付いていき声を掛ける。

「だいぶお疲れのようだな」

「あぁ……さすがにまいったよ……」

「本当に危なかった……助かったよ」

「一体何があったんだ?」

2人から聞いたここまでの経緯は予想した通りの事だった。

最初の無人島に海賊を討伐しに向かって、見事その場に居た海賊達は捕らえる事が出来たのだが、その直後大多数の海賊達が援護として現れ、逆に捕まったそうだ。質ならナヴィリオ達の方が上なのだが、量で押されたそうだ。そのままここまで連れ去られ、とうとう処刑か?という時に俺が現れたんだそうな……いやいや、ほんと急いで良かったよ……これで間に合ってなければ、エリス姫様は元より、ナミニッサ、ナレリナにも合わせる顔がなくなる所だった……

俺が密かに安堵していると、今度は逆にナヴィリオから質問された。

「それでワズはどうしてここへ?妹達とはまだ会えていないのか?」

そうか、まだちゃんと伝えてなかったな。

俺はナヴィリオにエリス姫様の事と邪神の事を省いた内容でここまでの事を教える。

それを聞いたナヴィリオの第一声が―――

「……ふむ……つまりワズが私の義弟になるという事か……これは義兄として恥ずかしい所は見せられないないな……とりあえず、私の事はナヴィリオ義兄と呼んでくれて構わないよ」

……お前もかナヴィリオ……これはあれか?家系なのか?まぁ呼んでもいいけど、そういうのはナミニッサ、ナレリナとちゃんと結ばれてからでお願いします。

「それで?妹達と無事に会えたのはわかったが、どうして1人で行動しているんだ?私を探していたというのは、それと関係があるのか?」

……さてと、ここからが本題だ。まぁ決断はナヴィリオに任せるという事で、俺はそのままありのままを伝えよう。

そうして次はエリス姫様の事を伝える。もちろん、ちゃんと本人の意思で連れて来た事も言っておかないと……これ重要。

「……という訳で、エリス姫様がナヴィリオと結婚したいんだってさ。というか、エリス姫様ってわかる?覚えてる?」

「……確かイスコア王に面会した時にお会いしたな……そうだな、結婚の話は置いておいて、まずはエリス姫様本人の事を知らないとなんとも言えない……まぁ両親もエリス姫様の事を嫌っている訳ではないのだろう?」

「まぁ……そんな様子は見えなかったな」

「なら後は私の意思しだいという事だな……両親が反対していない以上、良縁だとは思うがな」

そう言ってナヴィリオは口角を少し上げ、小さな笑みを浮かべる。様になるのでやめて下さい。これだから顔が整っている人は……まぁ義兄なのでむしろ自慢ですが。

「しかし、私に嫁ぎたいとは……これはオーランドに続く流れなのかな?」

そう言ってナヴィリオは悪戯をした子供のような目をオーランドへと向ける。その目を向けられたオーランドは苦笑いを浮かべながら頭を掻いた。え?どゆ事?オーランドに続く流れって……まさか!!

「結婚したのか?オーランド」

「いや……まぁ……結婚しました」

オーランドが頬を少し赤くしながら恥ずかしそうに、そう俺に言った……ちっ、これだから顔が整っている奴は……いちいち様になって……まぁオーランドは親友なので、むしろ自慢ですが。

「それはおめでとう!!」

「あぁ、ありがとう!!」

俺は素直に親友の吉報を喜び、祝福の言葉をかけるとオーランドは破顔して嬉しそうに喜びを顔に表した。

「それで相手はどんな人なんだ?」

「お前も知っている人だよ」

「え?……誰だ?」

「メイドのクミアだよ」

「……クミア?」

それってあの2重人格のメイドさん?確かクミア・クムアだっけ?嘘でしょ?いつの間にそんな事になったの!!あれですか?1粒で2度おいしいみたいな感じですか?冗談です、ごめんなさい……

その後はオーランドととの馴れ初め話をナヴィリオと共に問い詰めながら、そのまま船で1泊した。かなり盛り上がりました。

翌日、甲板で俺とナヴィリオ、オーランド、他の騎士達は顔を合わせる。船首の檻の中の海賊達の中には既に目覚めた者が居るのか、「殺すぞ!!」「ここから出せ!!」と連呼されてちょっと煩い。

「それで、これから帰る訳だが……この人数でこの船を動かせるだろうか……海賊達をこのままここに放置する訳にもいかないし……」

ナヴィリオがそう言うと、オーランドも他の騎士達も何も言わず考え込んでいるようだ。まぁ普通に考えれば無理だろうな。どうみてもこの人数で運航できる船とは思えない。なのでここは俺に任せてもらおう。

「どんな考えだ?」

「そうだな……とりあえず、ナヴィリオ達はどこか飛ばない様に体を固定してくれないか?」

『?』

ナヴィリオ達は不思議そうな顔をしながらも、俺の言う通りに動いてくれた。そんな全幅の信頼を向けられても困るんですが……まぁ今この場の期待には応えますが。

ナヴィリオ達が自身の体を固定している内に俺は一睨みで海賊達を黙らせると、船首に頑丈な縄を10本近く縛りつける。そうしている内にナヴィリオ達が体を固定したと声を掛けてきたので、俺はそれに頷きで答えると縄を持ち、海に向かって飛び降りる。

海に着水する寸前に俺は足を動かして、そのまま走りだした……巨大船を引っ張って……

そのまま港町モタンペの港へど~ん!!とする訳にはいかないので、きちんと最後には速度を緩め、勢いそのままの巨大船は俺がきちんと止めました。その時の衝撃で海賊達は檻に思いっきり自分の体を押し付けられて苦しんでいたけど、まぁいいか。

その時に港に居た人達は騒然としたが、俺の事を知っている騎士が居たのと、甲板からナヴィリオ達が顔を出した事で、そのまま歓喜へと変わりました。信頼あるね、ナヴィリオ達。

この場はオーランドと騎士達に任せ、俺とナヴィリオはマーンボンド家へと向かう。騎士達からはしきりに感謝され、オーランドとも後でご飯でも食べに行く事を約束した。そして、マーンボンド家の前では連絡がいっていたのか、ギヴィリオお義父さん、ミレリナお義母さんとエリス姫様が待っていて、ナヴィリオの無事な帰還を喜んだ。

ギヴィリオお義父さん、ミレリナお義母さんから感謝の言葉を貰い、エリス姫様に関しては後はナヴィリオが決める事なので、俺はサローナ達の所へと向かった。

サローナ達は2階にある部屋に居るようで、俺はそのままその部屋の扉を開けると―――

何故かそこにアリア含む見知らぬ数人と、それと対峙するようにサローナ達が居り、そこから感じる雰囲気は今から殺し合いでも始まるかのような殺伐とした殺気が満ち満ちていた……

そっと扉を閉めた。