軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

父親として認めたくない気持ち

サローナ達に俺が造った武具を渡してからの数日間、俺はだらけていた。自分の服もまったく同じ物を新しく何着か造り、武具の製作中はほぼ常に神格化をしていた状態だったので、少し体が疲れたからだ。長い時間神格化状態で今まで居た事がないので、おそらく体がそれに合わせようとしている感じがする。今俺の種族%はどうなってるのだろうかと気にはなったのだが、まぁ気にしたら負けだと思うし考えないようにしている。それに、それでサローナ達の安全を守れる武具が出来たと思えば、まぁやってよかったと思うしな。

なので俺はほぼ部屋から出る事は無く、ベッドの上でごろごろ~ごろごろ~としていたり、サローナ達が作ったご飯を食べさせて貰ったりした。全員が俺が自分で食べられると言っても頑として譲らず、食事を俺の口へと運んできた。俺を餌付けさせようとしているのだろうか。まぁいつもよりは美味しく感じたけどね。もちろん寝る時はメアルを抱き締めて安眠する。メアルを抱き締めるのは気持ちがいいなぁ~……スベスベで、ちょっとひんやりとしてて……

そうしてメアルとのんびり過ごしていると、メアルの母・メラルに呼び出された。メアルを頭の上に乗せ、メラルの後を着いて行くと謁見の間へと案内される。そこには俺に向かって殺気の籠った眼を向けるラグニールとその横で呆れ顔をラグニールに向けているメギルが居た。

「よぉ!!ラグニールはもう正座から解放されたのか?」

「まぁねぇ……本当にずっと正座してたし、その執念に免じて許してやったよ……次は無いがねぇ……」

メギルのその言葉にラグニールは一瞬びくっと震えるが、再び俺へと殺意を向けてくる。

「……はぁ……それで、ラグニールはどうして俺にそんな眼を向けてくるんだ?友達だと思ってたのに……」

「貴様の胸に聞いてみろ?」

俺は胸に手を当てて、ゆっくりと考える……

「……いや、特に思い当たらないが?」

「貴様の罪は2つ……まずは極悪龍に我を擁護する言葉を投げかけなかった事……そのせいで凄まじい時間拘束されてしまった……我は悪くないのに……」

おい、何の怒りかわからないが口が滑ってるぞ。横見ろ、横。メギルがものすんげぇ怒ってるぞ……頼むから俺を巻き込まないでくれ……

「そしてもう1つが最も大きい怒りだ……貴様は 禁忌(タブー) を犯した……」

「禁忌?」

「……可愛い可愛い娘の夫になるだとっ!!!!!そんなもの父親として絶対にゆるさぁ~~~~~っん!!!!!メアルは小さい頃、パパのお嫁さんになるぅ~って言ってくれたんだぞ!!それを貴様がぁ!!貴様がぁ~!!」

おい、それは小さい頃特有の事で、お父さんはいつか娘離れをしなきゃいけないだろ……ふとメギルと視線が合うと、メギルはラグニールを顎で指し示すと、親指で首を切る仕草を俺へと見せる。ちょっと待って……殺れって事?俺に殺れって言ってんの?

「……いやいや、とりあえずラグニールには横を向けと言いたいね」

「あぁ?」

俺の言葉に従ってラグニールが横を向くと、そこにはにっこりと微笑むメギルが居た。今その笑顔が怖い……ラグニールはそこで自分の横にメギルが居る事を思い出したのか、やっちまった的な感じで空を仰ぐと、つぅ~っと一筋の水が流れた。大丈夫……きっと生きてまた会えるよ……だから泣かないで……ごめん、それは涙じゃないよね……ただのしょっぱい水だよね……そんな事を思いながらラグニールを見ていると、ギギギと言いそうな感じでゆっくりと顔を下ろして俺の方へと向けてくる。その眼には既に涙は無かったのだが、頬に痕が……

「……ごほんっ……と、とりあえず、最初のはいい……だが、メアルとの婚姻等、我は認めんぞ!!認めて欲しくば、我を倒してみせよっ!!」

と、いう訳で何故か俺とラグニールが戦う事になった。今は城の外にある平原でお互いを見合っている。メアル、メラル、メギルは何故かこの戦いを観戦するような位置に居り、食料と酒も用意して……うん、完全に観客だね。そんなメアル達は俺達に向け、応援の声を掛けてくる。

「キュイキュイ~!!」

「メアルもワズ頑張れ~っと言ってますし、ワズはメアルの将来のために頑張って下さいね~」

「殺れっ!!ワズよ、その馬鹿な龍を殺っちまいなっ!!」

……ごめん、俺達じゃなかったわ……俺だけに激励を飛ばしてるわ……まぁ若干1体は殺しを希望されてるが……誰かラグニールを応援してやれよ……見るからに落ち込んでるぞ、ラグニール……

「……負けん……我は負けんぞぉ~!!」

ラグニールが咆哮と共に俺へと一気に疾走すると、その勢いのままその強靭な龍爪を振り下ろした。その龍爪を後方へと下がる事で回避したのだが、俺が元々居た場所は龍爪によって大地に大きな爪の痕を残す。

「……おいラグニール……結構本気に思えるんだが……」

「当たり前だぁ~!!娘は渡さん!!」

その後もラグニールは本気の攻撃を何度も繰り出してきて俺は回避に専念した。まぁ当たっても傷を負うとは思えないが。火炎のブレスを吐いてきた時は、折角造った服を燃やされてはかなわないので、腕の横振りで大風を発生させ避ける。そんな事を繰り返している内にサローナに確か前に俺に絡んできたハイ・エルフがにじり寄っていたので牽制しに飛んで行ったりした。もし、指1本でもサローナに触れていたらぶっ殺してたけどな……

そのまましばらく攻防?と続けていると、とうとうラグニールの大きく呼吸しだし、息が乱れてきた。

「……くっ……はぁ……はぁ……ぶはぁ……」

「おぉ~い!!もう満足したかぁ?」

「まだ……まだぁ~……」

はぁ……もういいか……いつまでもこのままじゃいつまで経っても終わらないしな……

そのまま俺は一瞬でラグニールとの距離を詰めると、殺さないように手加減した拳1発で沈黙させた。

翌日、俺は再び呼び出されて謁見の間へと向かう。もちろんメアルは俺の頭の上だ。謁見の間へと辿り着くと、ラグニール、メラル、メギルが勢揃いしており、俺へとラグニールが声を掛けてくる。

「我はワズに負けた……なら認めねばなるまい……メアルの父親として言いたい……どうかメアルの事を幸せにしてやってくれ……」

「………………わかった……メアルの事はちゃんと大切にするよ」

俺がラグニールの言葉に応えると、メアルは俺の頭から飛び上がり、俺の頬に嬉しそうに口を付ける。メアルの愛情表現を受け、俺はメアルの頭を撫でると、満足したのか再び俺の頭の上に戻る。

「それで、いつ旅立つんだい?」

メギルが俺へと尋ねてくる。

「そうだな……服も武具も造ったし、メアルもたっぷりメラルに甘えたみたいだし、皆とも相談しないといけないが、明日か明後日には旅立とうと思う」

「そうかい……いつでも戻ってきていいからね。メアルの夫である以上、ここはアンタの家でもあるんだから」

「あぁ、また来させて貰うよ」

それだけ言うと俺はサローナ達と出発の日を相談するために謁見の間から出る。

あえて触れなかったが、ラグニールはずっと正座してた上に何やら膝に巨大な石の重しを乗せられていた……頑張れラグニール……きっと君の明日は輝いているよ……多分……