軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

いざ出発!!

皆の武具を作るのはいいとして1つ問題がある。自分が着る服なら縫うだけだし、特に出来とかは気にしないから陽気に作れるのだが、皆の物となると緊張してしまう。出来が悪い物を渡したくはない。というかそれ以前に武具を作る道具が無いし、製造方法もわからない。困った。なので俺はグレイブさんに頼んで街に居る鍛冶職人を紹介してもらい、その場へと向かう。紹介された鍛冶職人はドワーフの武骨な人だった。そのドワーフさんの鍛冶の様子を見させてもらう。迂闊に俺が物を作ってDEXが作用するといけないので様子見だけで最初から最後まで鍛冶の流れを確認し終わると、感謝の言葉を伝えてその場を後にした。

……うん。作れるな。高いDEXの影響か、何をどうしたらいいのかが分かる。山の魔物のランクが高すぎる以上、普通の槌や窯では駄目だ。その辺りも魔物の素材で代用しないとまともな物が作れない。道具も山で用意するしかないみたいだな。

これで俺の準備は終わった。元々俺の荷物に関しては全部メアルの時空間魔法の中に入っているので問題ない。後は皆の準備が整い次第この国から出る事になる。俺はこの国を忘れないように、景観を見ながら少し遠回りして、城へと戻った。

数日後、皆の支度が整ったので俺達は山経由で王都へと向かう。皆の荷物もメアルの時空間魔法の中に入れてもらったので身軽である。そして俺達の周りにはグレイブさんと奥さん達の他に、デイズやギオ王様にマーラオと、カガネの商会の人達が居り、皆思い思いに言葉を交わし、一時の別れを惜しんでいる。俺もグレイブさんと別れの言葉を交わし、出発の言葉を送る。

「じゃ~な!!また会おう!!いつでもこの国に来いよ!!」

「えぇ、グレイブさんもお元気で!!お子さんが生まれたら必ず来ますよ!!」

グレイブさんと握手を交わし、皆も別れの挨拶が済み、俺達はグレイブさん達に見送られながらこの国を出た。

グレイブさんの国から山の麓までは直線距離を馬車で進んでも大体3週間程はかかるのだが、おそらく1週間と少しぐらいで辿り着けるだろう。俺は元からサローナ達の速度に合わせるつもりだったのだが、今の鍛えたサローナ達の速度は前よりも遥かに早く、持久力も上がっているので馬車で進むよりも断然早く着く事が出来る。タタもかなり身体能力が向上し、このメンバーに入ったばかりのマオと速度ではいい勝負をしていた。マオはその事に「こんなに自分よりも強い者ばかり!!燃えるっ!!」と何やら燃えていた……それと皆からの提案で断れる事もなく、1日毎に俺はサローナ達の誰を抱きあげて走る事になった。いいんだけどさ。それに不思議なのがフロイドも普通に涼しい顔で着いてきている事だ。お前は本当に一体何なんだと言いたいが「執事ですので」で切り返されるわかっているので放置しておく。

この道程も勿論野宿なのだが、朝起きると何故か皆俺の所に集まって寝ている事と、近くに川が流れていれば水浴びをするのだが、毎回サローナ達は俺を同席させようと実力行使をしてきた事には困った。まぁ、知覚出来ない速度で逃げたけど。

そんな事を繰り返しながら進み、3日程経ったお昼頃、メアルの時空間魔法から昼食を取りだし、食していると俺達の前に2人組の盗賊が現れた。

「へっへっへっ……」

「こんな所で俺達に会うとは運の尽きだな」

ぼさぼさ髪の無精髭を生やし、うす汚れた軽装の鎧に剣を腰にぶら下げている、いかにもといった感じの盗賊達で片一方はガリガリにやせ細り、もう片一方は丸々と太っていた。もぐもぐ……

「って!!何普通に飯食ってんだよ!!」

「盗賊!!俺達、盗賊だぞ!!」

……もぐもぐ……いや、自ら盗賊と名乗らなくても、その格好でわかりますよ。マオが戦いか?と目を輝かせながら立ち上がろうとしたので、俺はそれを手で制し、ゆっくりと立ち上がって盗賊達と対峙する。サローナ達は普通に食事中だ。

「……ごくん。えっと、何か御用でしょうか?」

「いやいやいや、普通わかるでしょ?」

「もちろん、コレだよコレ!!」

といって、丸々が親指と人差し指をくっつけて輪っかを作り、俺へと見せてくる。

「ドーナツですか?」

確か元々カガネの居た地球?のデザートらしいけど、カガネがそれを再現して商会で売り出した所、爆発的に売れたんだっけ?

「そうそう、あの甘くておいしいやつ」

「でも直に触ると油が指についちゃって!!その指で何かを触ろうとすると怒られちゃう」

「「って、違うわ!!」」

おぉ、ノリがいいな。この人達。

「じゃあ、輪ゴムですか?」

これもカガネが以下略。

「そうそう、こうやってミョーンと伸びて、こう人に向けると」

「や~め~ろ~よ~って言いたくなる」

「「って違うわ!!」

「じゃあ、円月輪?」

「あれね。ほんとどうやって投げるのか」

「というか、投げて終わりなのにあの大きさはないよな」

「「って違うわ!!どう考えても金だろうがよ!!」

盗賊達がハァハァと呼吸を乱す。うん。わかってましたよ。じゃあ、そろそろ食後の運動でもしますか。

「もちろんわかってましたよ。というか、盗賊に渡す金はありません」

俺がそういうと盗賊達は下卑た笑みで腰にぶら下げている剣の柄に手をかける。

「まぁ、そうだろうなぁ……なら、お前を殺して金をもらってやるよ!!」

ガリガリが剣を抜いた。

「……」

「……」

「……」

抜いた剣の刀身は竹で出来ていた。

「はああぁぁ!!なんで俺の剣が竹になってんだよ?」

「そういやお前、前に賭けに負けて剣を質に入れてたじゃねぇかよ!!」

「そうだったぁ~~~!!」

そういってガリガリは持っている竹製の剣を地面へと投げつける。

「たく、しょうがねぇなぁ。なら俺がアイツから金を巻き上げてやるよ」

丸々が剣を抜く。

「……」

「……」

「……」

抜いた剣に刀身は無かった。

「えええぇぇぇっ!!なして?」

「……前に飯食いすぎて、そこの店主に代金分として取られたって言ってなかったか?」

「そうだったぁぁ~~!!」

丸々が柄だけの剣を地面に投げつける。

……うん。こいつら何しに来たの?俺達を笑わしに来たのかな?というか、サローナ達も食事が終わったみたいで既に片付けをしている。じゃあ、そろそろ出発かな?

なのでこの盗賊達にはそろそろ退場して頂こうと思い、一歩前に足を出すと、それに反応して盗賊達は一歩後ろに下がる。さらに一歩前に行くと、一歩後ろに下がられた。何なのコレ!!

「あぁっ!!そうだった!!今日はダチと賭けカードの約束があったんだった!!」

「そういや俺も、ダチから飲みに誘われてたんだった!!」

「「じゃっ!!」」

綺麗に右手を上げ、盗賊達はこの場から走っていった。

……なんだったんだろうか……俺はため息を吐くと、サローナ達の片付けの手伝いに向かった。