軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大抵皆引っかかる

殴り飛ばして空いた門から俺達は城の中へと入って行く。外から見えた感じだと、そう広くはないように思える。中央に下から大、中、小と3階立ての円柱型の建物に、その脇を固める様に、中央の部分より高い塔が建っている。そして、その塔と中央の建物から、わらわらと兵士達が獣人達を引き連れて、次々と現れた。

「おいおい、なんだよ。久々の戦闘かと思えば、ガキと女の少人数だけかよ」

「だが、女達は滅多に見れないレベルだぜ。こりゃ、後で俺達の慰み専用にしようぜ」

「あぁ、それがいい。ほら、獣人共。さっさと行ってガキを殺してこい」

そんな事を言いながら、兵士達は隷属首輪を嵌めている獣人達を俺達へとけしかける。獣人達の表情は嫌々ながらも、隷属首輪の影響で逆らう事が出来ないのか、剣や槍等を手に取り、こちらへと歩み寄ってくる。

「皆、わかってるとは思うけど……獣人達を傷つけないようにね」

「「「「「「わかってます!!」」」」」」

俺への返事と共に皆が飛び出していく。

まずはさすがと言うべきか、サローナ、ナレリナ、ハオスイは瞬時に獣人達を1撃で気絶させていき、縦に横にと戦場を駆けまわっている。タタ、ナミニッサは結界魔法を駆使して、獣人達の動きを阻害してサローナ達の補佐をしていた。少し前の獣人の兵士達との戦いの時もそうしていたのだろう。凄く自然な動きだったので驚いた。サローナ、ナミニッサ、ナレリナ、ハオスイは実際戦っている場面を見ているので問題ないと思ったが、タタがここまで動けている事に、本当に鍛えているんだなぁ……と、少しタタに注目していた。

「あの……あんまり見られると、その……嬉しいですけど、恥ずかしいので戦いに集中出来ないのですが……」

俺が見ている事に気付いたのか、タタが恥ずかしそうに顔を真っ赤にして、そう俺に言ってきた。失礼。俺がタタから視線を外すと……

サローナ達の動きが激しくなっていた。アクロバティックな動きを所々に入れている。多分、自分に注目して欲しいからそんな動きをしているんだろうけど、もう少し戦いに集中して下さい。そこで、ふとカガネの姿が見えなかったので辺りに視線を向けると、カガネは俺の横でのん気に戦いを傍観していた。

「……カガネはいかないのか?」

「……なんか出遅れちゃって」

「わかるわ……俺も何かそんな感じ」

「皆お兄ちゃんにいい所を見せたいんだね」

「その気持ちは素直に嬉しいけど……俺の出番は?」

「まぁまぁ、きっとこの後に出番があるよ!!」

……この後?あるのかな?そう思っていると、カガネがスッと俺の前に出て膨大な魔力をその身に纏う。それを見た瞬間、カガネが魔法を唱えた。

「 流星(シューティングスター) 」

カガネが持っている杖を天に向かって突き上げると、杖の先から金色に輝く光の玉が飛び出し、空中で弾けるとその星型の欠片が高速で、獣人達の後ろで傍観している兵士達全ての頭上に降り注いだ。

「「ぎゃあああぁぁぁっ!!」」

その魔法の一撃で兵士達は全員その場に倒れた。その頃にはサローナ達によって獣人達も全員が気絶していた。カガネの魔法の発動があれだけの言葉だけなの?あれがチートって言ってたヤツなのか?というか、あれ?俺の出番は?

「……えっと……カガネは何したのかな?」

「どう?お兄ちゃん。私、凄いでしょ?」

こちらへと振り向いたカガネがえっへんとでも言いたげに胸を反らす。いやいやいやいや、ほんと俺の出番は?え?あれ?というか、サローナ達も獣人達をきちんと鎮圧してるよね?俺……役立たずじゃね?

俺が茫然としていると、いつの間にかサローナ達は俺の傍まで戻ってきていた。というか、目を輝かせて何かを待っているかのように、俺へと視線を注目させている。えっと……もしかして、俺が何か言うのを待ってるのかな……

「……凄かったです」

「「「「「「それじゃないっ!!」」」」」」

え~……

「じゃあ、カッコよかったです」

「「「「「「違うっ!!」」」」」」

違うの?

「素敵でした?」

「「「「「「もう一声っ!!」」」」」」

……もう一声って何?

「……惚れ直しました」

「「「「「「えへへ~」」」」」」

その言葉にサローナ達全員が嬉しそうに顔を綻ばせて、それぞれが照れを隠すように体を左右に小刻みに動かしている。いやこれ、無理矢理言わせてるよね?まぁ、あながち嘘でもないけどさ……皆、凄かったし、素敵だったよ。

そして俺達は城の中へと入って行く。どうやら、表に出て来た兵士達で全員だったようで、俺達の進行の邪魔をしてくる者は居なかった。メイドさんは居ないみたいだ。まぁ、普通こんな国に仕えようなんて思わないか。そうして俺達は人の気配を探りながらぐんぐん先へと進んでいく内に、とうとう最上階、おそらくこの国の王が居るであろう部屋の前まで辿り着いた。荘厳な扉の向こうには確かに人の気配を感じる事が出来る。俺達は1つ頷くと扉を勢いよく開いた。

扉の先にある部屋は、いくつもの柱に王が居る場所に相応しいような全体的に厳格な造りをしていた。床には高級そうな絨毯が玉座へと続いている。その玉座には年若い男が座ってこちらを見ていた。耳が隠れる程度の金髪に、切れ長の目、鼻筋の通った顔立ちの精悍な顔つきに、衣服は白を基調にした貴族服に赤いマントをはおっている。そしてその玉座を挟むように、2名の男女が玉座に座る男を守る様に立っていた。男の方は白い仮面を被っているので顔はわからないが、高身長で全身黒ずくめの衣装に身の丈程の大剣を背負い、腰には長剣を差している。女の方は腰ほどまで届く緑のくるくるぼさぼさしている髪に、半眼に丸い眼鏡をかけている。小柄な身長で白衣を身に纏い、手にはその女の身長よりも長い杖を持っていた。

玉座の男は勝ち誇ったような笑みを、仮面の男はわからないが、女の方は楽しげな笑みを俺達へと向けている。

「アンタが獣人達を攫っているこの国の王か?」

俺がそう尋ねると、玉座の男はその表情を崩さないまま答える。

「本来なら平民に語る言葉等持ち合わせていないが、ここまで辿り着いた事を褒める意味を込めて答えてやろう。愚民をどう使おうが私の勝手だ。何故なら私はこの世界の王になる者なのだからな」

世界の王?馬鹿なのか、コイツ?

「むしろ愚民は愚民らしく、この私に使い潰される事を感謝して欲しいものだな」

あっ、馬鹿なんだなコイツ。もういいや、さっさとぶっ飛ばして終わらせよう。

俺は一歩進んで部屋の中へと入る。

すると立っている場所の床が抜け、俺はその床が抜けて出来た穴の中へと落ちた。

あれ?