軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

罪の意識を感じる

「ハックションッ!!」

この国の城へと向かっている最中、急に震えがきて俺はくしゃみをした。

「まぁ、ワズ様お風邪ですか?」

ナミニッサが俺の体調を心配するように声を掛けてきた。

「いや、何か急に悪寒が……」

「これから城へ殴り込みに向かいますのに、体調が崩れてはいけません。皆さんでワズ様にくっ付いて体温を上げましょう」

「「「「「そうしよう」」」」」

「大丈夫だから!!」

俺は声を出し、手振り身振りでお断りを示した。こんな周りに人が居る街中でそんな恥ずかしい事出来ません。いや、人が居なければいいという事でもないけど……

というか、皆これから城に殴り込みをかけるのに、緊張感がないなぁ……

「お兄ちゃんが居るからね!!」

「……え?何が?」

「あれ?違った?なんかお兄ちゃんの顔が「なんで皆そんなにいつも通りで緊張感がないんだろうなぁ……」みたいな顔してたから、その理由を答えてみたんだけど?」

なんでわかるの!!俺顔に出してたかな?いや、もしかして心読まれてる!!訳な……

「お兄ちゃん、心なんて読める訳ないじゃん」

……読んでるよ!!絶対読まれてるよ!!何これ、怖い……俺は疑心暗鬼にかられながら、カガネをジト目で見る。

「本当に読んでないから!!私はお兄ちゃんの妹なんだよ?生まれてからお兄ちゃんが居なくなるまでずっと傍に居たんだよ?それぐらいわかるようになるって!!」

本当かなぁ……

「本当だって!!まぁ、言うなれば兄妹の固い絆とお兄ちゃんへの愛の2つが揃ってる私だからこそ出来る技とでも言っておこうかなぁ」

そう言ってカガネが自慢するように胸をそらしたのだが、サローナ達はそんなカガネを羨ましそうに見ている。その様子から推測出来るのは、サローナ達はまだ俺の表情で判断は出来ないという事かな。まぁ、カガネだけにバレるぐらいならいっか……俺は一息ついたのだが、ふと、もし皆にバレるようになったらどうしようと、少し先が怖くなった……

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。皆基本的にお兄ちゃんの事は全肯定だから!!」

だから、読んじゃ駄目ぇ~!!

俺達はそんなやり取りをしながら、城を目指して街の中を進んでいく。所々で兵士達が獣人達だけでなく、住民にも危害を加えている光景があったのだが、俺達の目的は城の元凶を叩く事なので先を急いだ。ただ、少し離れた所で俺は一瞬の動きで石を拾い、兵士に向かって投擲する。死なない程度には手加減してるので大丈夫だろう。軽く骨は折れてると思うけど。早く、グレイブさん達がどうにかしてくれる事を祈っておいた。そんな事をしながら進んでいくと、俺の動きに気付いたのか、ハオスイも俺の真似をして石を投擲したり、カガネはボソっと呟いて魔法を発動していた。もっとやっておしまいなさい。

そうして俺達は、城の門が見える位置へと辿り着くと、一旦足を止める。

「さて、これから城に入る訳だけど、どうする?」

「どうするとは?」

サローナが俺へと質問の意図を尋ねてくる。

「今と同じようにこそこそしながら元凶を探すか、もう我慢出来ないから一気に力技でボッコボコにするか?」

「「「「「「ボッコボコで」」」」」」

うん。そう言うと思った。俺もここに来るまでの街中の様子にかなり怒ってるからね。

「となると、もう正面突破で一気に王が居るであろう場所まで向かうんだけど……心配なのが、俺達に気付いて逃げないかって事なんだよね……」

「逃げられてもいいんじゃない?」

「いいの?」

「だって、逃げられてもとりあえず攫われた獣人達とこの国の住民達を救う事は出来るんだし、大量の鉱石を使ってやってる事もわかるだろうし、その後の対応をきちんとすれば問題なくない?」

「……そうだな」

「いきなり全部解決しようとして、何か失敗する方が問題だよ。まずは一番の目的として、獣人達と住民を救う事だけ考えて動けばいいんじゃないかな?まぁ、それで全部解決したとしても、それはそういう結果になったっていう事でいいんじゃない?あんまりアレもコレも難しく考える必要は今の段階だとないと私は思うよ」

「それもそっか。なら、一気に攻め込むか」

俺とカガネの言葉にサローナ達が頷く。

「じゃあ、今から城に殴り込みに行くけど……」

そう言って俺は改めて皆を見る。俺は特に武器とか必要ないのだが、サローナは細剣、ナレリナは長剣、カガネは宝石の付いた杖を所持しており、タタ、ナミニッサ、ハオスイは何も持っていない。

「タタとナミニッサとハオスイは素手だけど、それでいいのか?」

「私は結界魔法がありますし、タタにも私が結界魔法を教えておりますので、問題ありません」

「え?タタは魔法が使えるの?」

「はい。ナミニッサの話によると、どうやら私にも結界魔法の素質があるようでして、以前から教わっております。まだナミニッサのようにはいきませんが、自分の身の安全は守る事が出来ると思います」

「そっか、タタも強くなってるんだな」

そっか……タタは魔法が使えるのか……俺は神格化しないと使えないのに……羨ましくなんか……羨ましい……と、なると、後はハオスイなんだが……俺はハオスイへと視線を向ける。俺の視線を受けてハオスイが答えてくれた。

「……私の武器は旦那様との戦いで折れた。だから今は素手で戦う。素手でも問題ない」

そう言ってハオスイはぐっと握った拳を俺へと向けてくる。申し訳ない。そう言えば俺が破壊しちゃってたな……今度ハオスイの武器探しでもやろうと俺は心に留めておいた。まぁ、ハオスイのステータスなら問題ないとは思うけど、早めにそれはどうにかしてやりたい……ちょっと罪の意識が……

「……よし。なら行くか」

念のため、タタにはナレリナが短剣を渡していた。

そうして、俺達は城へと向かう。閉じられた大きな門があったのだが俺にはそんなもの関係ない。門の前に兵士は居なかった。兵士の質を考えれば多分サボってんだろうなぁ……俺は門の前で拳を握り、大きく振りかぶり、その拳を門へと殴りつける。

バッコォォォ~~~ンッ!!!!!

大量の土煙を上げ、門の扉は奥にある城へと向かって飛んでいき、城の外壁へと突き刺さる。カガネが小声で「チートだ……ガチチートだ……」と呟いていた。

そして俺達は、半分無くなっている門から城へ向かって突入した。