作品タイトル不明
妹が告げる
俺には妹が居る。俺と同じで黒髪黒目で、妹は成長するにつれてその才能が露わになっていった。まず最初に両親を驚かせたのが、瞬く間に言葉を覚え喋り出した事。だが、それはそんな子も中には居るだろうと両親は特に気にした様子はなかったのだが、もの凄く賢い事もすぐに分かる事が起きた。王国立の学園に通いだしたと思えば、様々な知識を吸収し、その上魔法にも精通しだすと、1年も経たない内に学園の教師陣は誰も妹に勝てる者は居なくなった。まさに天才児であったそんな妹に両親はたっぷりと愛情を注いだ。俺を蔑ろにするくらい……でも俺はそれで妹を嫌いになろうとは思わなかった。両親に煙たがれながらも俺は妹に兄としてきちんと愛情を注いだ。妹もそんな俺によくくっついてきてたし、兄妹の仲は悪くなかったと思う。まぁ、一時アリアの事で不機嫌な顔にはなっていたが……
そんな妹にそっくりな人物が「アマソン商会」の「会長」として今目の前に居る。俺の呟きにちゃんと俺を見て、お兄ちゃんと返したのでまず間違いないだろう。目の前に居る妹・カガネに会うのは俺が山に籠ってからになるので、約2年と数カ月といった所だろうか。どうやらカガネは離れていた時間の間に随分と成長していた。元々誰もが魅了されそうな可愛い顔立ちだったのだが、今はその可愛さの中に美しさが混じり、更に魅了度が増していた。まぁ先程まで怒鳴り顔だったけど……髪型も長い髪を頭の両端で2つに分けており、商会の服装なのかカガネの周りに居る人達と同じく白を基調としたスカートタイプの服を着ていた。体型も今は女性らしい均整のとれた体型になっているようで、なんというか記憶の中にあるカガネと違っているため、離れていた月日の長さを実感できた。
しかも今は有名な商会の会長か……立派になったんだなぁ、と思って見ていると、カガネはどこにそんな力があるのかと思えるように、自分を抑えつけていた従業員達を撥ね退けると、こっちに向かって走って来た。
「お兄ちゃ~~~ん!!」
真っ直ぐに俺へと向かってくる。俺も久し振りの妹との再会に嬉しくなり、両手を広げて受け止めようとしたのだが、カガネはその勢いを緩める事はしなかった。そのまますぐ目の前まで来るとガシッと俺の頭を掴み
俺の唇を奪った……
「んんっ!!」
もしここで音をつけるなら「ズキュ~~~ンッ!!」であると、後々カガネがそう言っていた……
今俺達はカガネの案内でアマソン商会が現在貸し切っている宿屋へとお邪魔している。そしてその宿の大部屋に俺達とカガネが居た。フロイド、グレイブさん、デイズの3人は気を使ったのか、今は席を外している。俺達は今後の事を話し合うために、部屋の中央に置かれているテーブルを囲うように座っているのだが……
何故かカガネは俺の膝の上に座っていた。
「……カガネ……あそこの席が空いてるんだけど……」
「どの世界でも可愛い妹の席は愛おしいお兄ちゃんの膝の上と決まってます」
俺が自分の反対側の席を指し示してそう言うと、カガネは頬を膨らませてそう切り返してきた。しかも、俺の首に腕をまわしてくるという仕草付きで。俺は妹に甘えられてるようなので別に気にしてないし、先程のカガネの行動も久し振りに会って感極まった程度に思っていたのだが、どうにも気になって仕方ない人達がこの場には居るようだ。
サローナ達である。
今にも妹に掴みかかりそうな視線を向けてくる。その視線が痛い……あの時あの場では俺の妹という事を必死に伝え、一度は落ち着いてもらったのだが、それも今は無理なようだ。既に決壊しているのか隠す事なくドス黒いオーラを発し、時たま羨ましそうにカガネを見ている。まぁ、今度同じ事をやって欲しいと言われるんだろうな……
そんな事を考え、サローナ達で同じ事をやっている想像をしていると、カガネはぐるっと俺達全員を見回すと声を掛けてきた。
「……それでお兄ちゃん」
「ん?」
「随分と女性が多いみたいですけど、もしかしてこの中の誰かと結ばれてたりして~……なぁんちゃって!!」
「あ、あはは……えっと、全員です……まだ先の事だけど……」
カガネに隠し事をしてもしょうがないので正直に言うと、驚きの表情で俺を見て、サローナ達を見て、もう1度俺を見てきた。
「えぇ!!マジなの?冗談のつもりが言い当てちゃったの?つまり、この場に居る女性達皆、お兄ちゃんの奥さんって事?」
カガネの「奥さん」発言にサローナ達は嬉しそうに身をよじり「いや~」とか言いながら笑顔を浮かべていた。まだ違うからね。
「はぁ~……そっかぁ、お兄ちゃんがハーレム作るなんて……しかもこんな綺麗な人や可愛い子ばっかり……」
続くカガネの言葉にも皆嬉しそうにしている。いやいや、綺麗、可愛いの部分は認めるけど、まだハーレムじゃないから。一応まだだからね。なので、今の俺とサローナの状況を正直に全て話すと、カガネが驚きの言葉を発した。
「じゃあ、これなら私がハーレム入りしても問題ないよね?」
……ん?何か今、変な発言が聞こえたような……
「いや~、雌ぶ……あの女に取られた時はほんとどうしようかと思ったけど、ハーレムなら私の入り込む余地はあるよね?あっ、心配はいらないよ。この世界は家系の血を残すためという名目で私とも結婚出来るから!!これで問題なし!!やったね、お兄ちゃん!!」
「……」
カガネの捲し立てるような発言に俺は思考がついていかない……え?本当にカガネは何言ってんの?それじゃまるで……
「そんな言い方だと、カガネは俺の事が男性として好きって聴こえるんだけど……」
「え?もちろん好きだけど?もうお兄ちゃんにならぐっちゃぐちゃにされたいくらい好きだけど?え?もしかして私の気持ちに気付いてなかったの?」
「……いや、気付いてないとかじゃなく……え?普通、妹にそんな目は向けないし、妹も兄をそんな目で見ないでしょ?」
「え?もうだいぶ前から、ずっとそんな目で見てたけど?」
「え?」
「え?」
……え?もしかして本当なの?嘘じゃなくて?けど、冗談や嘘を言っている風には見えなかったって事は……え?本気なの?
「いやいや、けどほら……妹だし?」
「そこはもう倫理突破しようよ?それに
私は確かに妹だけど、妹じゃない……みたいな?」
「……は?」
カガネの発言に俺の脳内に駆け込むようにパニックさんが「呼んだ?呼んだよね?ね?ね?」と来たので「呼んでねぇよぉ!!」とおもいっきり殴り飛ばしておいた。