軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第49話 頭に穴を開けて倒してます

「最近、街道の近くで頻繁にトロールの出現が報告されていて、依頼で周辺を調査してたがよ……まさか、これほどの群れを形成してやがったとは」

「しかも見た感じ、ドントロールまでいる」

「ええ。正直、私たちDランクの冒険者程度では到底、太刀打ちできなかったと思います」

「というか、うちの街の冒険者たちが総出で討伐隊を結成しなくちゃ無理な規模じゃん……なのにさ……」

「「「何で全滅してんの!?」」」

峡谷の底に、とある冒険者パーティの叫び声が響き渡った。

彼らの視線の先にあったのは、死屍累々と転がる多数のトロールの巨躯である。

「つーか、何で死んでるのかも分からんのだが? 見たところ傷もねぇし……」

「いや、よく見ろ。頭に穴が開いている」

「本当ですね……まさか、トロールの脳天をピンポイントで攻撃し、討伐したということですか……? 一体どうやって……?」

「ドントロールだけはいくつか穴が開いてるけど……」

とりわけ彼らを驚愕させたのは、五十体を越えるトロールが、すべて同じ倒され方をしていることだった。

「普通、パーティで戦ったらこんな画一的なやられ方はしねぇ」

「ということは、たった一人でこれだけのトロールを殲滅させたってこと!?」

メンバーたちが愕然とする中、魔法使いの青年があることに気がつく。

「わずかだが魔力の残滓が感じられる……まさかとは思うが、凝縮した魔力で撃ち抜いた……? いや、トロールの硬い頭蓋を貫けるほどの魔力をこれほど小さく凝縮させるのも、ピンポイントで頭を狙い撃つのも、不可能なはず……ましてやこの数の群れ……並みの魔法使い何十人分の魔力量が求められることか……」

結局、彼らの中では、どう考えても単独でこのような真似をするのは難しいという結論になった。

「すぐに街に戻ってギルドに報告しよう」

「ええ、もしかしたら危険な存在の仕業かもしれませんからね……」

◇ ◇ ◇

やがて街道の先に都市が見えてきた。

アーゼルほどではないけれど、割と大きな都市だ。

「せっかくだし立ち寄ってみよう。ここまでずっと野宿だったし、久しぶりに宿に泊まりたいしね」

野宿といっても、〈快眠〉のお陰で睡眠時間はたったの一時間だけど。

それでも十分に体力や魔力は回復するし、それから丸一日くらいは眠くならずに済むのだ。

「もし冒険者ギルドがあるなら、道中で倒した魔物の素材も売ってしまおう」

都市の城門を潜るとき、衛兵のおじさんに訊いてみた。

「冒険者ギルド? もちろんあるぜ。なにせここラモンは、新人冒険者の聖地と言われているほどだからな。連日この街で冒険者デビューしようと、多くの若者がやってくる。もしかして少年も冒険者志望か? にしては、ちと幼すぎる気がするが……」

「こう見えて十五歳です」

聞けば、なんとこの街には、街の中にダンジョンがあるらしい。

それが初級から中級者向けのダンジョンで、そのため駆け出しの冒険者たちが経験を積むのに適しているのだとか。

アーゼル近郊にある『岩窟迷宮』と同じくらいのレベルのダンジョンということだろう。

「道理で、それくらいの年齢の人たちが多いわけだね」

ちょうど僕以外にも、城門を潜ろうとしている同年代の少年少女の姿があった。

初々しい雰囲気からして、冒険者を志望してこの都市にやってきたばかりのようだ。

「へえ、ここにダンジョンの入り口があるんだ」

足を運んでみると、そこにあったのは要塞のような物々しい建物だ。

窓一つないそれは、外からの攻撃に対抗するためのものではなく、内側から魔物が出てくることを想定して作られているのだろう。

普通、ダンジョン内の魔物はダンジョンから外には出てこない。

ただ、原因は分かっていないものの、ごく稀に異常が発生してダンジョンの魔物が放出されることがあるらしいからね。

冒険者ギルドはその建物に併設されていた。

なるほど、これは確かにダンジョンに通いやすい。

アーゼルで一番近いダンジョンだった『岩窟迷宮』ですら街を出てから、三十分くらいは歩かないといけなかったからね。

「あら、どうしたの、僕? もしかして何か依頼かな?」

窓口に行くと、受付嬢のお姉さんに声をかけられる。

どうやらまた子供に間違えられているみたいだ。

「いえ、素材の買い取りをお願いしたくて」

「……失礼しました。見習いの冒険者さんでしたか」

「見習いじゃなくて、こう見えても正式な冒険者です」

僕は冒険者カードを提示した。

「えっ、Dランク!? 駆け出しのEランクじゃなくて!?」

「はい。つい最近、昇格したので」

実はアーゼルを発つ前にレイラさんに声をかけられて、ランクを昇格してもらったのだ。

正式な冒険者デビューから昇格まで、アーゼルの冒険者ギルドでは歴代最速クラスだったらしい。

〈小物収納〉によって亜空間に保管していた素材を出していく。

「これはホーンレオですね。角や毛皮に需要がある魔物ですけど、物凄くきれいに倒してますね? 普通はもっと傷が入ってて価値が落ちてるはずです。それにこっちはデビルスネイクじゃないですか。高級なヘビ革として高い需要があります。これもとってもきれいだし……どうやって倒しているのか不思議なくらいです」

「頭に穴を開けて倒してます」

「頭に穴を開けて!?」

他にも道中で倒した魔物の素材をまとめて査定してもらう。

残念ながら値段が付かなかったものもあるけれど、割と良い値段で買い取ってもらうことができた。

「というか、この量をどうやって保管してました!? 駆け出しの冒険者じゃ手も足も出ないような魔物を何体も倒してるし……Dランクというのも頷けますね……」