軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第34話 正気でいられる自信がありませんし

「〈草刈り〉!」

「「「~~~~~~ッ!?」」」

その生活魔法を発動した瞬間、数体のトレントがまとめて両断された。

どんどんどん、と一斉に倒れ込んでいく。

よし、効果があるぞ!

さらにどんどん〈草刈り〉を使っていこうとしたところで、

「「「一体何をした!?」」」

リーゼさんたちがそろって叫んだ。

「え? あの、〈草刈り〉っていう、生活魔法を使いました!」

「「「トレントは雑草じゃないだろう!?」」」

「確かにその通りですけど……もちろん、ただの雑草を駆除するときと違って、かなり多めに魔力を込める必要はありますよ」

簡単に説明しつつ、僕は〈草刈り〉を連発していく。

そのたびにトレントが倒伏していった。

――〈食材切り〉を習得しました。

途中で新しい魔法も覚えた。

「がはははっ! 何にしても、これは強力なサポートだ!」

「サポートというより完全にアタッカーでござらぬか!?」

「私たちも負けてられませんね!」

連係しながらこちらを追い込もうとしていたトレントが、僕の〈草刈り〉を受け、一気に瓦解していく。

やがてすべてのトレントを駆除するまで、そう時間はかからなかった。

「あれだけいたトレントを、しかも完全に包囲された状態から、この短期間で殲滅することができるなんて……」

「がはははっ! それもこれも、少年のお陰であるな! まさか、そんな強力な魔法を隠し持っていたとはのう!」

「さ、さすがに拙者の斬撃には敵わないでござるがなっ」

「……後輩相手に対抗してどうする?」

「いえ、あくまで雑草とか、植物系の魔物にしか効果がない魔法なので……」

すべての魔物に効くならいいけれど、残念ながらそんな都合のいい話はない。

ともあれ、これでようやく戦闘でもみんなに貢献できたね!

「そういえば今さらですけど、トレントの素材って売れたりしないんですか?」

「トレントの素材は高級木材として利用されていますよ。持ち帰れば、それなりの儲けになりますが……問題はその手間です。見ての通り非常に重たくてかさ張るため、持ち帰ろうと試みるのはダンジョンの上層で討伐した場合くらいでしょう」

「なるほど。でも、僕の〈小物収納〉ならまだまだ入りますよ」

そう言って、僕はトレントの素材を丸ごと亜空間に放り込んだ。

「「「どんだけ入るの!?」」」

「そうですね……なんとなくですけど、全部入るような気がします」

「「「全部!?」」」

唖然とするリーゼさんたちを余所に、僕はトレント素材をどんどん亜空間に収納していく。

「本当に入っていきますね……」

「小物とは何でござったか……」

順調にトレント素材が消えていく中、ピンファさんが何かに気づいたように僕たちの注目を集めた。

「……これを見ろ。他のトレントより、明らかに幹が太く、背が高い。恐らくトレントの上位種、エルダートレントだ」

「なるほど、これが他のトレントに指令を出していたわけですか。道理で連携が取れていると思いました」

得心がいったというふうに頷くリーゼさん。

トレントの上位種であるエルダートレントは、強さこそ通常のトレントと大差ないけれど、高い知能で仲間のトレントを統率する能力を持つらしい。

その点では、フェリオネアを占拠していたオークの最上位種、オークキングと似ている。

「はい、これで全部ですかね」

そのエルダートレントの素材も含め、売れそうなものはすべて亜空間に仕舞うことができた。

「本当に入ってしまったでござる……」

「がはははっ! あれだけの高級木材を売れば、相当な金額になりそうだな!」

「貢献できたみたいでよかったです」

「もはや貢献どころではない気がしますが……」

それからは植物系の魔物に遭遇しても、僕は〈草刈り〉を駆使して戦闘をサポートできるようになった。

お陰でさらに攻略が捗り、気づけば地下15階に辿り着く。

「来ましたね。地下15階。……前回は確か、ここまで丸一日はかかった気がしますが、今回はせいぜいまだ五時間くらいです」

「前回は休憩なしのぶっ通しで、大変だったでござるなぁ……」

「がはははっ! 生活魔法使いがこれほど役立つのであれば、もっと早くパーティに加えればよかったであるな!」

「……どう考えてもこの少年が例外中の例外だろう」

そして地下15階には、このダンジョンで唯一の安全地帯が存在していた。

高レベルのダンジョンだからか、『岩窟迷宮』のときと違って、僕たち以外のパーティの姿は見当たらない。

「いったんここで休憩を取るとしましょう。ここから先は、私たちにとって未踏の領域ですからね。万全の態勢で挑みましょう」

テントを張り、しばらく休息することに。

僕はみんなに聞いた。

「お風呂はどうされますか?」

「「「お風呂!?」」」

なぜか驚かれてしまう。

「あれ? 男性陣はともかく、女性陣はダンジョンでも入るのかなって……」

「さすがに入りませんよ。そもそもどこにお湯を溜めるのですか?」

「布製のバスタブが売ってるみたいです。特注かもしれませんけど」

「布製と言っても荷物になりますよね? わざわざそんなものを持ち運ぶなんて、あり得ない話です」

「なるほど……」

どうやらメーテアが例外中の例外だったみたいだ。

「(確かにライル君と一緒にお風呂に入れるんだったら喜んで入りますけどハァハァさすがにそんなことをしたら正気でいられる自信がありませんしハァハァああでも生まれたままの姿のライル君を想像するだけでも鼻血が出てきそうですハァハァやばいこれは早く別のことを考えて落ち着かなければハァハァ)」

「……リーゼさん?」