軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

コルエン

「いいよ、やろう」

アルマークは答えて、剣を受け取った。

あまりにあっさりと受け取ったので、コルエンが拍子抜けした顔をする。

「いいのか」

「君がやろうって言ったんじゃないか」

「いや、そりゃそうだが」

コルエンが戸惑ったように頭をかく。

「俺もいろいろと考えてたんだが。お前に断られた後の展開を」

「ポロイスが戦っている間中、ずっと君が僕を意識しているのが伝わってきたからね」

アルマークはそう言って、剣を軽く振った。

「むしろ、いつそう言ってくるのかと思っていたよ」

「お見通しか」

コルエンが笑う。

「まあ確かにポロイスたちの決闘が終わった後で、あわよくばお前と戦いたいとは思ってたんだが」

そう言って、アルマークを見る。

「まさか、誰かさんが決闘自体をぶっ飛ばすとは予想してなかったもんだからさ」

「それは……悪かったよ」

アルマークがうつむく。

「だから、俺も急いで無理やりの理屈をくっつけてみたわけだ」

コルエンはそう言って笑う。

「まあ、お前がさっきガレルに言ってた理屈よりはましだけどな」

「むちゃくちゃなことを言っていたな」

ポロイスも頷く。

「殴られたくらいで忘れる方が悪いとかなんとか」

「理屈はそんなに重要じゃないからね」

アルマークは答える。

「理屈がどんなに正しくても、死ぬときは死ぬから」

その言葉に、コルエンは嬉しそうに顔を歪める。

「いいな。最高の答えだ」

そう言って、大きく頷く。

「やっぱり俺が思った通り、お前は最高だ」

それから、勢いよくポロイスに向き直る。

「ポロイス、防具を脱げ。お前が立会人だ」

ポロイスは呆れたようにコルエンを見て、ため息をついた。

「いいのか」

そう言ってアルマークを見るが、アルマークが頷くのを見て、もう一度わざとらしいため息をつく。

「よく分からないが、話がそう決まったのなら仕方ない」

諦めたように、素直に防具を脱ぎ始める。

「だがもう一つ防具が要るぞ」

ポロイスはそう付け加えるのを忘れなかった。

「ガレルが残していったのは剣だけだからな。防具は着けたままで帰ったぞ」

「心配するな」

コルエンはそう言って二人に背を向けると、近くの茂みに歩み寄る。

と、茂みの中に手を突っ込み、無造作に防具を取り出した。

「ここに隠してある」

「準備がいいな」

アルマークが驚きの声をあげる。

「なんだかんだ言って、最初からやる気まんまんだったんじゃないか」

「そりゃそうだ」

コルエンは笑って頷くと、取り出した防具を手で軽く叩いて埃を払う。

「武術大会でお前とポロイスの試合を見たときからだ。正直、お前の強さにぞくぞくしたよ」

そう言いながら、防具を片手にアルマークの方に歩み寄る。

「お前と戦ってみたかったんだ」

「それはモーゲンからも聞いたよ」

アルマークは答える。

「大会でもないのに、僕と戦ってどうするんだ」

不思議そうにコルエンを見る。

「何が目的なんだい」

「目的なんてねえよ」

コルエンは首を振る。

「俺のサガだ。強い奴を見たら戦いたくなる。勝てる勝てないじゃねえ。とにかく戦ってみたくなる」

コルエンは、まるでそこに何かがあるかのように空を睨んだ。

「心の中に何か、よく分からねえけど、ひどく渇いたものがあるんだ。それが、強い相手の前に立つと満たされる」

口の動きとはまるで関係なく、手慣れた様子で防具を身に付けていく。

その途中で、ぼそりと独り言のように呟く。

「ああ、待ちきれねえ」

アルマークも、ポロイスから手渡された防具をゆっくりと身に着けていく。

「君の気持ち、全く分からないわけじゃないな」

アルマークが言うと、コルエンは嬉しそうに目を細めた。

「一本勝負でいいんだね」

確認するように尋ねると、

「もちろん」

という答えが返ってくる。

「一本だけがいいんだ。それ以上は余計だ」

「そうか」

アルマークもそれ以上は何も言わず、防具を着けた。

ポロイスがコルエンに剣を渡し、二人の準備が整う。

「ポロイス、いいぜ」

コルエンが言う。

「よし、両者前へ」

ポロイスが声をかけ、二人は向かい合った。

アルマークの前に立つと、コルエンの背の高さがさらに際立つ。

「名乗りはどうする」

ポロイスがコルエンに尋ねる。

「いらねえ」

コルエンは顔を歪めて首を振った。

「名乗りも口上も何もいらねえ。もう理屈はここまでだ」

コルエンの顔から笑顔が消えていた。アルマークを見下ろすコルエンは、まるで獲物を目の前にした肉食獣のように見えた。

「あとは戦うだけだ」

そう答えるのすらもどかしそうに、コルエンは言った。

「分かった」

ポロイスはやや気圧されたように頷くと、アルマークを見る。

「君はどうだ」

「僕も不要だ」

アルマークは静かに答える。

「あとは剣で語る」

「分かった」

ポロイスは頷いて、それから厳かに両手を挙げる。

「剣を合わせて」

待ちきれないようにコルエンが剣を上げた。

アルマークが、それにゆっくりと自分の剣を合わせる。

一瞬の沈黙。

「はじめ!」

ポロイスが叫んだ。