軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

手の内は隠そう

どーも私です。

散歩の帰りにぶっ倒れてる副店長を発見しました。

そんな所で寝てると風邪引きますよ。

というか帰り道なんでソコ退いてもらえません?

「……これ生きてんのかな?」

足先でチョンチョンと小突いてみるが反応はない。

「ふ〜む、たぶんだけどさっきの泥棒にやられたんだよね?」

パッと見、外傷はなさそうだけど寝てるだけか?

しかし、予想が外れたなぁ。絶対に副店長が泥棒の一味だと思ってたのに。

ならなんでこのオッサンは夜中の店を徘徊しとったん?

意識のない事をいい事に、私は副店長の背中に座って考え込む。

「ん〜、もしかして泥棒を捕まえようとしてた?」

OL女の話を思い出す限り、泥棒が入ったのって一度や二度じゃなさそうなんだよね。そう考えると警備員よろしく見回りしてたと思うのが普通か? いや、この世界の普通が何かは知らんけどさ。

「……だとすると、お前ちょっと不用心過ぎませんかね?」

なに犯罪者うろつく施設を一人でさ迷っとんねん。自殺志願者か?

私は椅子にしている副店長をカカトでコンコン叩く。

あぁ、別に足が疲れたから座ってる訳じゃないからね。

生きてるかどうか確認してるのよ。

座ってると分かるけど、体が呼吸に合わせて上下してるから生きてるっぽい。どうやらこの世界の人間も呼吸はするらしい。

手を使って確認しろって? ……おっしゃる通り。

「……う……うぅ」

「おわっ、起きた」

私のカカトでコンコンが気付けになったのか、副店長が呻き声を上げる。私は四つん這いで宝石の入ったショーケースの影にバタバタと隠れ込んだ。

「……くっ……眠り薬を嗅がされたか……」

なるほど、それで倒れていたんだ。即効性のある眠り薬って怖〜。

ま、何にせよ怪我がない様でなにより。下手すりゃあ私が殺人の罪を負わされる未来もありそうだから、他人事じゃねぇわな。

もっとも、ここで見つかったら盗賊の仲間と間違われる可能性もあるから見つからんようにせんとね。

よしよし、住居に繋がる扉とは逆にいったね。

今日の散策は終わりにして部屋に戻るか……。幼女ちゃんには悪いけどお土産はナシだ。

ここから厨房に忍び込むのも面倒臭い。

――――――――――――――――――――――――

「呪いの品物を持って来たわ」

「うぃ〜ッス。お疲れ様で〜す」

次の日、OL女が部屋にやって来た。手に持ってるアタッシュケースが呪いの品物かい?

「これよ……もし呪いが解けなくても問題ないから試すだけ試して貰えないかしら?」

そういってテーブルの上でケースを開くと三つの品物が出て来た。

一つ目は黄色の宝石。

二つ目は彫刻。

三つ目は置き時計。

「この三つ何だけど……呪いが強いのがあるからふれちゃ――」

「……終わった」

「相変わらず早いねぇ……」

幼女ちゃんの赤く光る目がスッと元に戻る。早いのは良いけど了承を取ってから解こうね。

……いや、もしかして了承の言葉を聞くと同時に解除してんのか?

スイッチでも押す感覚で簡単に解呪できるとか、ちょっと幼女ちゃんの能力がオーバースペック過ぎて……マズイかも?

「…………」

ふぅ〜ん……OL女さんよぉ。随分と難しそうな顔で品物見てんじゃん。

……少し幼女ちゃんにはお勉強をしてもらおうかね。

「幼女ちゃん、今度から呪いを解く時には少し時間を掛けた方がいいッスねぇ」

「? ……なんで?」

心底不思議そうな顔で聞き返してくる。

「う〜ん、ちょいと姉ちゃんよぉ」

「なによ?」

「率直に聞くけど、幼女ちゃんの解呪の腕前……どう思う」

OL女は難しそうな顔のまま、幼女ちゃんをみて、ため息を吐く。

「そうね……控えめに言って監禁して私の物にしたいわ……」

「ぴぃ!」

百点満点の答えありがとう。

「そうそう、この姉ちゃんの言う通り、幼女ちゃんは美味しそうなんだよ。だから有事じゃない限り、少し能力を弱く見せとこうってね」

「もっとも、有用過ぎて懐に入れるのは怖いけどね」

だろうねぇ。もっとデカい権力持ってる奴が狙ってるの分かりきってるもんね。それこそ豚貴族のようなデカい権力持ってないと不安じゃない?

「ちなみに、この三個の呪いの内、一番呪いが強かったのってどれ?」

「……これ」

幼女ちゃんが指したのは置き時計。なるほどなるほど。

おい、どーしたOL女。気まずそうな顔して。

「次は?」

「……彫刻……宝石は昨日解いた宝石と同じ位の呪いだった」

「そうッスか。つまり宝石、彫刻、置き時計の順番に呪いが強い訳ッスよね?」

「……」

「……何でだと思う?」

「……分かんない。……たまたま」

「悪かったわよ……」

私の懇切丁寧な説明に、OL女が両手を挙げる。うん、幼女ちゃんのお勉強の教材は黙ってようねぇ。

「つまりこの姉ちゃんは段階の違う呪いを三つ用意して幼女ちゃんを測ってたんだよ。……このガキはどれ位の力を持ってんだろうってね」

「……ぬ」

もっとも一瞬で全部解呪しちゃったんだから、測るも何もねぇわな。

「呪いが簡単に解ける幼女ちゃんの能力は、とても有用なんだって。けど有用過ぎると要らんハエがよってくるからねぇ。時間が掛かった振りするくらいはタダだよ」

つまり、これ以上狙われたくなかったら加減しようね。

他人を疑う癖をつけよう。

幼女ちゃんにとって良くないこと教えてる自覚はあるよ。本来ならそんな事教えなくても、経験して覚えて行くんだから。

……でもね。

今はそんな余裕ねぇのよ。……私もさ。

「……分かった」

「おけおけ」

「ちょっと試しただけじゃない……そんな悪者みたいな言い方しなくても」

OL女は拗ねた様に呟く。

「あはは、別に悪いとは言ってないッスよ。そっちからしたらコッチの性能を把握しときたいでしょうし。自分の身を守る為、どれだけヤバい能力なのか知りたかったんでしょ」

ま、私に気付かれるのはどうかと思うけど。

というか私なんかに看破されるとか、商人として大丈夫?

そんなんだから不良品掴まされんだよ。