作品タイトル不明
らくがきスケッチブック‼︎
『アクションアドベンチャー』とは、どんなゲームジャンルなのか? アクションはもう分かるね。
「じゃあもぅ半分のアドベンチャーだ」
アドベンチャーゲームというジャンルの定義は、例の如くフワッとしている。
それでもあえて言語化するとしたら……『謎解き』だろうか?
この謎解きってのは、別にクイズゲームの事を言っているワケじゃない。
ゲームの主人公を通じて探索を行ったり、情報を集めてギミックを解き明かしたりするタイプのゲームの事を指す……らしい。
「ごめん、調べたけどぶっちゃけ良く分からんかったわ」
まぁごたくはいい! やってみりゃフワッと分かるやろフワッとね!
でも『謎解き』かぁ……。
もしかして頭使います?
「……」
あかん、最悪詰むやもしれん……。
ええい! 舐めるな!!
私は今まで沢山のゲームをクリアまで導いてきたゲーミング幼女だぞッ! どんな難問がやってきても乗り切れるはずさ!
「……最悪ネットで調べりゃえぇねん」
うん……どーしても分かんなかったら調べます。
仕方ねぇだろ。そこで詰んじまうよりマシだろが……。
まぁアレよ。なるべく頼らんように頑張るけど最悪ね。
「んじゃ早速始めて行きましょ!」
【らくがきスケッチブック‼︎ 〜奪われたカラーパレット〜】
ほい、いでよゲーム機!
私の目の前に、青色のハードが現れる。
この『らくがきスケッチブック‼︎』ってゲームね。
数世代前のハードで発売されたゲームなんだよね。レトロってほどじゃないけど、最新ゲームというワケでもない。
今回は雰囲気重視でハードも用意してみました!
はい、ソフトをセットしてスタート!
「ほほ〜う、なかなかセンスあるタイトル画面じゃん」
タイトル画面は、かなり独特で 趣(おもむき) がある。
まず白黒だ。
鉛筆で下書きしたようなグラフィックで、森の中で壁に向かって筆を持って立っている少年。……たぶん少年。
というのも、ちょっとコロコロとデフォルメされたキャラクターだから男女が分かりづらい。可愛らしいキャラクターだけど、たぶん少年なんじゃないかな?
そして驚きなのが、このタイトル画面ね。鉛筆描きの一枚絵ってワケじゃなくて、常に動いている。
風に揺れる木々や草花。
森の奥からやってきて、少年の持ち物であろうリュックサックに乗るリス。
常に画面に息遣いが感じられる。
つまり、ワザと色をなくした映像で作られたタイトル画面なんだ。
そして何よりもセンス高けぇ〜な〜と思わせるのは、そんな白黒のタイトル画面で唯一、少年が持っている筆だけが『色』を持っている。というより、筆に付けられた絵の具だ。
スタスタと筆から垂れる絵の具は青く、床に落ちた雫も青く描写されている。
白黒の画面に、その青色は異質に目立っていた。
「BGMも綺麗でいいねぇ」
悲しげなオルゴールのBGMが、白黒のタイトル画面に合ってる。
「んふふ、期待を煽ってくれるじゃない」
ほい、んじゃゲームスタート!
私がボタンを押したら、モノクロ少年のキャラクターが壁に筆で何かを描き始める。
その描いた部分からブワリと色が広がり、世界が彩られる。
濃い緑の葉、茶色の煤けた壁、飛び立つ鳥。
うぉおおハイセンス! いいねいいね。
そして始まるオープニングムービー。
平和で何処か牧歌的な世界に突如、地震が起こる。そして世界から『色』が失われて白黒になっちゃったって感じ?
うむ、かいつまんで説明すると……そんな感じ。
「お、操作出来るようになったけど、主人公は喋んないタイプのゲームか」
一昔前のゲームの主人公って喋んないことあるよね。
主人公は喋んないけど、ナレーションが細かく入ってるから進行に不便はないね。
どうやら部屋の中からスタートのようだ。
画面の周りはスケッチブックの枠になっていて、見下ろす形のプレイ画面は、そのスケッチブックに描かれているような表現になっている。
そして操作する少年は、背中にリュックサックを背負って筆を持った少年。
ふむ、クレヨンで書かれたテキストの説明によると、主人公君は名前を『ケント』というらしい。
「これってアレかな? ケント紙から取ってるよね」
スケッチブックに使われている紙って、ケント紙とか言わんかったっけ? こんだけイラスト推しのゲームだからあり得そうよね。
白黒の部屋の中で少年を操作して、入り口の扉を調べると、クレヨンで書かれたメッセージが出てくる。
【失われた色を取り戻すために、冒険へ出かけますか?】
『はい』と『いいえ』ね。
こんなん『はい』一択やろ。じゃなきゃゲームが進まん。
まぁええわ。
ボタンを押すと、マーカーでキュッと『はい』に丸が書かれる。
そしてスケッチブックを捲るような演出のあと画面が切り替わった。凝ってんねぇ。
「部屋の外は森か……つかワンルームのお家だったのね」
森はやはり白黒だ。
ケント君を操作して進むと、黒いスライムみたいな存在がいた。どうやら敵のようで、クレヨンテキストによると、色を奪った敵がはなったモンスターらしい。
まぁチュートリアルだね。クレヨンテキストの指示に従って黒スライムを倒すことになった。
ケント君に出来るのは、空中にイラストを描いて実体化させる事。
「今ケント君が描けるイラストは『ハト』しかないみたいだね」
ケント君が目の前でハトのイラストを描くと、実体化したカラーのハトが一直線に飛んでスライムに命中する。
「なるほど、ケント君自体は攻撃できないけどイラストで攻撃するワケか……」
ちと描くのに時間が掛かるから隙を見て書かなきゃね。攻撃を避けつつだ。
なるほどアクションゲームって感じだわ。
ほ? クレヨンテキストが、森の怪しいキノコの説明をしてくる。
ケント君の第二のアクション説明だ。
どうやらケント君の出来ることは、イラストの実体化だけじゃないらしい。
指示に従って、キノコに筆を振る。
するとキノコに色が付き、光を放ちながら膨張する。
「ちょっ! これ爆弾じゃねぇか!」
ドンッと爆発のエフェクトを撒き散らす。それに巻き込まれた黒スライムは消滅した。
「あ〜ビックリした……けど、ふむ面白いな」
つまりフィールドの物に筆を振ると色が付いて、ギミックが発動すると……。
おあつらえ向きに、岩で閉ざされた道の前にキノコが分かりやすく設置してある。
「なるほどー、このキノコに筆を振れば……」
キノコに色が付き爆発。岩が破壊されて通れるようになった。
「ははぁ〜ん、『アドベンチャー』ってこう言うことかぁ」
これが『謎解き』なんだ。
こうやってギミックを解いて進むのがアドベンチャーなんだね。
森を探索して進む。
道中、寄り道をしてイラストをゲットすると、描けるイラストが増えるようだ。
そして森の最深部に待っていたのは――
「犬のバケモノね」
獰猛そうなデフォルメされた犬。
ボスのHPゲージを削れば森ステージクリアってところかな?
「あれ? ハト攻撃が効かない」
じゃさっき拾った新しいイラストの『壁』。これを犬の突進に合わせて……。
「ダメだ! 壊された!」
なんだコレ? なんで攻撃が喰らわないの?
あぁいや……なるほど『謎解き』か。ギミックがあんのね。
突進を避けると、犬が木にぶつかって毛虫が落ちてくる。その毛虫に筆を振ると、毛虫に色が付いてハリを飛ばしてきた。
そのハリに当たった犬がノックバックする。そしてHPがゴッソリと減った。
「ふふふふ、面白いぞコレ! まさしく『謎解き』だ!」
ギミックを見極めるんだね。このゲームの楽しみ方が分かった気がするわ。
そしてようやく犬のHPを全部削るとクリア。
【森に色を取り戻しますか?】
『はい』『いいえ』
はいを押すと、キュッとマジックで丸が描かれてムービー開始。
ブワリとケント君を中心に色が広がり、森は色とりどりの綺麗な森へと姿を変えた。
そしてフィールドマップに画面が移り、白黒のワールドマップの森に色が付いた。
「なるほど、これで一面クリアってことか!」
これステージクリア型のゲームだ。
どんどん次のステージに進んでエンディングを目指すワケだね。
おっと、倒れた犬が光ってケント君に吸い込まれる。
【カラーパレット『青』を手に入れました】
カラーパレット青……色を手に入れたってこと?
おっとクレヨンテキストがチュートリアルを始めたぞ。どうやら物体に特定の色を付ける能力らしい。
青は『物体を軽くする』らしい。
試しに、森で段差があって進めなかった所に戻ってきた。
そして、段差の前にある石にカラーパレット青を使用すると石が浮いて空中に停止する。そしてしばらくすると青色に染まった石から色が抜け、ボトリと落下する。
「つまりぃ〜こう言うことね!」
石を青く染めて素早く上に乗る。
するとケント君を乗せたまま浮かび上がるので、崖の上に飛び乗ることが出来た。
「ギミック用の能力ってことか……」
いや、ちょっとやべぇな……。
これ、森のボスを倒したらカラーパレット青だったワケでしょ?
つまり、ステージを進むごとにカラーパレットは増えるワケだ。そしてギミックの幅も増える……と。
「こ、これは大変だぞ〜……」
場所ごとに、何の行動で進めるかの選択肢が増えるんだ。下手したら総当たりで色を試す事になりそう……。
――――――――――――――――――――――
「ようやくラストのステージかぁ〜……ちかれた」
いや苦労したぜぇ〜……。
何度も進み方や倒し方が分からなくて詰まったよね。
「でも良く出来てる……」
いや面白えよこのゲーム。
試行錯誤してギミックを解いた時の、納得感や謎が解けた感が気持ちいい。
そして、その謎も絶対に解けないってワケじゃないんだ。試行錯誤すれば解けるようになってる。
苦戦したけど結局ネットで調べずに来れたからね! だから最悪ネットを使用する発言は忘れろッ!
「道中のボスも苦戦したな〜」
ボスごとに倒し方のレパートリーが豊富で飽きなかったよ。
そしてやってきましたラスボス戦。
ラスボスは巨大な『目玉』のバケモノ。
「ラスボスが目玉って変わってんね」
ラスボス戦は今までの冒険の総集編というか、様々なギミックを駆使して戦う感じだね。
いや、難しいけど『これはあの時の!』ってなる。
でも流石はラスボスというか……手強い!
この目玉、もたもたしてるとギミックの為に付けた色やイラストを消し去ってくる。
そしてHPを減らすごとに、戦い方もコロコロ変わるから厄介だ。
「まぁそれでも……私の勝ちだ!」
最後のHPゲージを削った瞬間……目玉が絶叫を上げる。目を×にした目玉のバケモノの前でケント君がガッツポーズのように筆を振り上げた。
そしてクレヨンテキストが表示される。
【世界に色を取り戻しますか?】
『はい』『いいえ』
「そりゃ取り戻すでしょ〜、『はい』っと」
キュッと『はい』に丸が付けられ、目玉のバケモノがキラキラと光る。
そして……色が爆発した。
ワールドマップに色が広がり、文字通り世界が色づく。今まで冒険してきた場所にも色がもどりエンディング。
最後に主人公の部屋が映し出され、壁に掛けられたイラストに画面が寄る。真ん中に主人公、そして今まで関わってきたキャラクター達の集合イラストで締め括られた。
「いや〜楽しかったー! アクションアドベンチャーって面白いじゃん。ステージの謎解きとか凝ってて新鮮だったわ」
その後はセーブしてタイトル画面、もしかして引き継ぎ周回プレイでもあるのかな? 一応データは分けておきましょうね。
そして、タイトル画面に戻ってきて私は笑った。
「おお〜、いい演出だね。白黒だったタイトル画面に色が付いてる! 世界に色が戻ったってことだね」
私はうんうんと頷いてクリア後の余韻に包まれる。
「……」
「…………」
「………………」
…………………………………………チッ、わかったよ。
「だぁああああ!! 絶対ワザとだろ!!」
気にしないフリしてたけど、流石に無理だわ!
クリア後の余韻? ねぇよんなもん!
気になるよなぁ!? 明らかにおかしい部分あったろ!?
ラスボスの目玉を倒した後だよ!
【世界に色を取り戻しますか?】
『はい』『いいえ』
「な ぜ 聞 い た し」
普通スッと行くだろ! サクっとエンディングに移行するべきだろ!
「いや何となく分かるんだよ! アレだろ! 『いいえ』を選んだらバッドエンドに行くんだろ!? 半分こすんだよなぁ!?」
あ〜もう、気になるじゃん! グッドエンド見た後だけど、あっちも気になるじゃん。
「クッソッ! 面白かっただけに見ないと気がすまねぇ……」
分かるよね? この気持ち。
私は続きからを選択してゲームを再開する。
「…………ん?」
気のせいかな……いま……続きからを選択したら、タイトル画面のケント君が……こっち見た?
「あ、セーブデータはラスボスの手前からか……」
また目玉のラスボス倒さなきゃ……。
まぁでも、大丈夫。一回倒し方分かっちゃえば簡単なゲームだからね。
「はい、サクーっとね。謎解きって一度分かっちゃえばねぇ〜」
そしてやってきました。選択肢。
【世界に色を取り戻しますか?】
『はい』『いいえ』
『いいえ』っと……、
キュッとマジックで丸が書かれる。
「……ん、あれ? 押したよね?」
画面沈黙……もしかして『いいえ』を押す想定とかされてなかった? もしくはバッドエンドを作り忘れた……とか?
いやまさかぁ……。
……と、疑問に首を捻った瞬間だった……。
ビリィイイイイー!!
「ヒィッ!!」
突然の画面から流れる引き裂く音に、私は思わず口から悲鳴をあげる。流れていたBGMも不気味に停止している。
「え! え! なにごとッスか?」
異変はゲーム画面にあった。
【世界に色を
『はい』
文字が半分無くなってる?
いや、良く見ると文字の切れている部分に、薄い雷のような模様が見える。
「あ……これ、スケッチブックを半分に破られたんだ……」
そして補完するように同じ文字が浮かび上がる。
【世界に色を取り戻しますか?】
『はい』『いいえ』
……こわ。
これ……『いいえ』の選択を無かったことにされたんだ。
そしてもう一度『いいえ』を選択すると、今度は間伐入れずに『いいえ』を破られる。
私は『いいえ』を選択し続ける……。
ビリィイイイイー!!
ビリィイイイイー!!
ビリィイイイイー!!
ビリィイイイイー!!
『いいえ』を拒否される……。
やべ、なんかドキドキしてきた……。
やがて選択肢は表示されなくなり、クレヨンで乱雑に書き殴ったようなテキストが叩きつけられた。
【世界に色を取り戻せ世界に色を取り戻せ……モドセ! もどせもどせもどせモドセもどせモドセモドセモドセ……】
【イロヲモドセ】
「こえぇよ!! いきなりホラーゲーム始めんじゃねぇ!!」
説明テキストが意識持つの怖いって!
お前とは仕事だけのドライな関係じゃなかったのかよ!