作品タイトル不明
ハムスターボール
「うぅ〜ん……さて、やりますか!」
温泉旅館の布団の上で、浴衣を着ながら伸びを一つ。
立ち上がり指パッチンをすれば、周りの景色が見慣れたゲーム部屋に早変わりする。
どーも私です。
私の領域で温泉旅館の景色を楽しんでおりました。
まぁね。私も領域の中でゲームばかりやってるワケじゃないのよ。
ずっとゲームやり続けるのも難しいんだコレが……。
だから気晴らしに、領域内を模様替えして気分転換したりもするよ。
でもね、ゲームやる時には、やっぱりいつもの部屋の方が落ち着いてプレイできるから戻しちゃうよね。
「今回はどうやってやるゲームを探そうかな?」
現状切羽詰まってるワケじゃないから、目的をもってゲームを探さないといけない事もない。
今回は気楽よね。
欲しい能力に限定して探すと大変なのよ。
一番楽なのは、ゲームをプレイして、そのゲームに合った能力を決めることだね。
その方がゲームに関連した能力に出来るから、エネルギーの効率もいい。
ほんじゃあまぁ、ゲームサイトをポチポチと……。
「お? 『時間を忘れてハマるゲーム特集』……なるほど、ゲーム好きがオススメするならクソゲーはないやろ」
いくつかの特集記事を流し読みして、ピンときた見出しをクリックする。
「よし、決めた! コレの一位にする! どんな変なゲームが来てもソレに決めよう」
こういうのは勢いが大事よ。
能力の縛りがないならこんな思い切った判断もできるよね。
「でも気になるから三位から順番に見ていこうかね」
いやだって気になるだろ?
軽くだよ軽く。
第三位!【オブジ エンドレスタワー】
終わりなき塔を登るダークファンタジー、ハクスラゲーム。
ハクスラ? ハクスラとは何ぞや……。
ちょっと待ってどっかで聞いたことあるけどハクスラなんだっけ?
お菓子か? ちげぇわな。
はい調べて来ました!
ハックアンドスラッシュ(hack and slash)
まぁ意味としては『切り付ける』とか……まぁスラッシュ言うとるしな……。だろうね。でも知りたいことはそう言うことじゃねぇのよ。
コレは言葉の意味であってゲーム用語としての意味は、『敵を倒して強くなる』タイプのゲームらしい。
うぅ〜ん、大抵のゲームってそうじゃない?
いやそうじゃないゲームもあるけど……。
もちょい調べてみるか。
結果、イマイチ私もハクスラの規定が分からないんだけど、フワッとした概要だけは何となく分かったかな。
まぁ多分……戦闘をこなして強くなり、さらに強い敵を倒してソレを繰り返す感じ?
あ〜うん、確かにコレはハマるゲーム多そうだな。
戦闘能力の『上限』が高くされているジャンルなんだろうね。
ストーリー重視というより、戦闘を繰り返して強い敵を倒し、さらに上の強い敵を倒すという達成感を得るゲーム。
うむうむ……。
「時間が溶けるゲームってことか、まぁそのうちハクスラと呼ばれるゲームにも手を出していいかもね。次行こか」
第二位【ミクロガーデン】
ある家族が目を覚ますと、そこは植物生い茂る森の中だった。
息を付かせぬ先の気になる展開。見上げるような巨大生物。家族と力を合わせて物語の真相に辿り着け!
ほうほう、三位のエンドレスタワーと違ってコッチはストーリーと世界観重視のゲームか。
家族の絆をテーマにしたサウンドノベルなんだね。
感動のストーリーらしい。
「ええっと……『家族と力を合わせて物語の真相に辿り着け! 周回前提のサウンドノベル。選択肢によって解放されるアイテムを、物語のプロローグで自宅の庭に設置すると、ミクロガーデンのマップが変わる。それを駆使して物語を進めよう』」
…………おい。
「あらすじでネタバレしてんじゃねぇよ……」
ミクロガーデンの真相って自宅の庭じゃねぇか!
プロローグで庭に設置ってそう言うことだろ……。
つまりミクロになったのは主人公たち家族であり、ガーデンは自宅の庭ってか……。
あらすじ書き直せ!!
「ま、まぁ。あらすじはともかくとしても、名作と呼ばれるほどの感動ストーリーではありそう」
気を取り直して!
ででんっ! 注目の一位は〜!
「【ハムスターボール 〜コスモスフィアの正体〜】? うぅ〜ん……なんぞコレ?」
う、う〜む……絵柄は可愛らしいデフォルメされたハムスターが半透明のボールの中に入って走っているね。
「ジャンルはアクション。まぁ一位をやるって決めたから、ここはあんまり調べずにプレイしてみるか」
コミカルな雰囲気だし、緩くやれそうな感じがあるよね。
つーことでレッツプレイ!
おっと主人公はやっぱりハムスターか…… DLC(ダウンロードコンテンツ) でハムスターの見た目を変えれるね。
とりあえず変えとこか。
名前はデフォルトでついてる。
『ローリン』か……見事に転がりそうな名前だこと。
ゲームスタートしてオープニング。
どうやら主人公のローリンはハムスターボールに入れられた状態のまま不思議な穴に落ちてしまったらしい。
ハムスターボールってアレね。
中にハムスターが入って転がるボール。なんとなく見たことあるんじゃないかな?
んでその穴の中は不思議な世界が広がっていて帰れない。
『忘れ去られた存在』とやらに力を与えられたローリンはソレを使って自宅に帰るというのが物語のプロローグなワケだね。
その能力ってのが……ハムスターボールに物を吸着させる能力……と。
あ〜、これどっかで見たことある絵柄だと思ったら、むかしテレビのCMで見たことあるな。
音楽が特徴的だったから覚えてるわ。
ゴロゴロとハムスターボールを転がして、物をボールにくっ付けてドンドン球を大きくさせていくゲームだ。
ほむほむ、面白そうなゲームじゃねぇのよ。
こういうの好きよ。
さっそく一面のスタート。
規定時間内にハムスターボールの大きさを三十センチにすればいいのね。
『ゴーロゴロッゴロ グールグルグルッグル』
声入りの軽快な音楽が鳴り始める。
これこれ、CMで流れてた音楽だ。
「ゴーロゴロッゴロ グールグルグルッグル……頭に残るなこれ!」
いつの間にか口遊さんしゃうわ……。
アナログスティックを倒すとその方向にハムスターボールが動き出す。
すると、中に入ったローリンも忙しそうにチョコチョコ走り出した。
「おお、コミカルな動きするなぁ〜」
断裂世界と呼ばれるフィールドを転がり、目の前にあったピーナツにぶつかると、ピーナツがボールにくっ付く。
そして連続で落ちている小ちゃい物体をボールにくっつけていくと、ボールは一回り大きくなった。
「なるほど、こうやってハムスターボールを大きくしていくワケか〜楽勝楽勝!」
お、あれは空き缶か?
アレもくっ付けてボールの糧としてやろう……あれ、くっつかない。
あ〜、球の大きさが足りなくて空き缶レベルは無理なのか……。
仕方ないからもっと小さな物でボールを大きくするか。ええっとペットボトルのキャップはイケるな。
「お、空き缶もイケるようになった……」
いや、確かにこのポコポコボールにくっ付けて大きくしていく感じ……妙な爽快感あるな。
ボールが大きくなるにつれてゲーム画面が遠くなっていく。
まぁ、ボールも大きくなっているから感覚的には視界が広くなっている感じだけどね。
そうすると見えてくるフィールドの全景。
「ははぁ……妙に生活感のある物体が多いと思ったら、ここは部屋だったのか」
よく見たらテーブルの上だったのね。
そして大きくなったことで障害物の乗り越えることができるようになったボールは、テーブルの外へ……さらなる大きな物体になるために飛び出す。
「すげぇ……このゲーム面白いぞ! どんどんボールを育てるだけなのに妙に面白い!」
とりあえず簡単に一面クリア。
クリア後も、もっとくっ付けて大きくしたい衝動に駆られる。
二面はクリア条件が『ボスを倒せ』となっていた。
え? このゲーム、ボスとかいんの?
ゲームが開始して、目の前にはハムスターボールの五倍はありそうなアルマジロが鎮座していた。
「アレがボスかぁ〜、ええっとチュートリアルによるとこのままでは倒せないからボールを大きくしろ……と」
なるほど然り。
そういう感じね!
さっそくフィールドをゴロゴロと転がり、ボールを大きくしていく。
「いざ決戦!」
ボールを転がしてアルマジロに体当たり。
接触と同時に弾け飛ぶボールの破片。
「やべ! 変な感じに砕けた! 転がりづらいわ!」
歪に歪んだボールのせいでグワングワンと真っ直ぐ走れなくなるボール塊。
「これ、くっつける順番によって脆さがでてくるんだ……考えてくっ付けないといけないのかな?」
でもまぁアルマジロは撃破。
倒れたアルマジロをボールに取り込んで勝利!
その後、どんどん面をクリアしていくが、五面で躓いた。
「ん、ん〜……ボスが倒せない……。いや倒すだけなら時間をかければ行けそうなんだけど、時間制限がネック……」
いや、コミカルでボールを大きくするだけの簡単そうなゲームだと思うでしょ?
とんでもない……意外に難易度の高いゲームだわ。
まず操作性が悪い。
いや、悪いと言うよりはワザと悪くしてるんだろうね。ボールの転がる慣性が強いというか……。
ボールらしい動きするんだよ。
そして操作性が悪くなる要因の一つに、変にくっ付いた物体のせいで上手く方向転換出来なくなる。
無理に鉛筆を巻き込んだ日には曲がれなくなったわ……。
そして単純にスキルが足りない。
このゲーム、スキルをフィールドで拾ってくるんだけど、割とランダムだったりする。
私はストーリーを連続でやって来たから、つまっちゃったんだね。
フリークエストで条件を達成するか、断裂世界とやらのランダムマップで拾ってくるしかない。
そして断裂世界のランダムマップはクリア条件も様々……その代わり有用なスキルは手に入りやすい。
「断裂世界でスキル拾ってくるか……」
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「チャージ ラン! シュート!」
普段はボールの中にいる主人公のローリンが、ボール塊の上に飛び乗り、必死の形相で走り出す。
ギュインギュインとその場で赤く光り、高速回転し始めるボール塊は『シュート』の掛け声で敵にぶつかり、勝利を収めた。
「ふははは! 爽っ快! ために貯めたエネルギーでぶっ飛ばす快感はたまらねぇぜ!」
なおこの技、見た目は派手だが、エネルギー消費に見合わないものとする……。