作品タイトル不明
side―――アンナ
眩しい―――そう思った。
さっきまでは薄暗かったはず。
そんなのは当たり前、だって洞窟の中なんだから。
でも、今は眩しい。
原因は崩れて高くなった天井の奥。
なにかが太陽みたいに光ってる。
アタシはそれを見てイラっとした。
理由はわかってる。
アタシはその光に殺されかけたからだ。
ズドン! という音と振動、そして風圧。
尻尾が真横から迫る。
けど、これじゃない。
こんな攻撃には当たらない。
軽やかに飛び上がって、オマケとばかりに顎を剣でぶっ叩く・・・つもりだったのに、顎が遠い。
このドラゴン。攻撃してきた癖に、光なんかで注意をそっちに向けてんじゃないわよ‼
仕方がないから、お尻に剣を食い込ませる。
残念ながら、尖ってはないから刺さらないのよね。
そのまま着地。
空を警戒。
さっきはあの光が散らばって、岩が降ってきたのよね。
下敷きになってたら死んでるわよ! ならないけど!
憎たらしい光を睨みつつ、元凶の方を見る。
ジーナは・・・なんというか、楽しそうね。
ワクワクしてるのかしら、目を輝かせてる気がするわ。
光を直視してるから、それが反射してるだけかもしれないけど。
それでエリックの方は・・・半透明のままね。
ゼネスも相変わらずだし、なにを考えてるのかしら。
アタシがそんなこと気にしたって無駄だからいいんだけど、何かするなら合図くらい出しなさいよね!
なんて思ってた矢先。
視界が歪む。
何事かと思ったけど、これってエリックの魔法よね?
パッと見渡しても他にないような青い炎の壁・・・にしてはスカスカね。
門? 塔? どっちにしても、なんで? と思ったけど、
「次から次へと‼ 鬱陶しい‼‼」
ドラゴンが文句を言うんなら、たぶん意味があるんでしょ。
偶然なのかは知らないけど、手が届きそうなところに1個あったからには、手を出してみる。
熱かったら困るしね。
でも、大丈夫みたい。
熱くもないし、違和感もない。火傷もしてないから、見掛け倒しね。
目くらましにしては間が空き過ぎだし、半透明だから向こう側は丸見え。
なんなら視界が歪む分、邪魔だわ。
とはいえ、意味はあるのよ。
あのエリックが、ゼネスと一緒になにかをやってるんだから。
それに、さっきの光線みたいな炎。
アレだってあの2人の差し金でしょ。
ドラゴンはそれも避けてた。
だとすれば、あの炎はドラゴンにだけ当たるのかもしれないわね。
試してみようかしら?
でも変ね?
それならアタシ達の周りじゃなくて、敵を囲むように出さない?
それともなにかの符合かしら?
位置的にアタシ達のいるところが重要で、ここへドラゴンを追い込んで欲しいとか?
一応ゼネスの方も見てみるけど、目は合わない。
なら・・・ま、いっか!
ドラゴンの近くにはないけど、周りや奥に全くないわけでもないんだし、適当に突っ込んで押し込んでみれば、わかることもあるでしょ!
攻撃は避けるか防げればいいんだし! 最悪、両方できなくても、誰かがなんとかしてくれるでしょ‼
アタシは自信を持って前に出る。
それが役目になったんだから。
火力を出して、囮にもなる! できないことは仲間に任せる! 良くないのは迷うこと‼
アタシの頭で判断できることは多くないんだから、目の前のことに絞った方が余計なものを背負わない‼
だってそうしないと、アタシのことを背負う奴がもっと重くなるじゃない。