作品タイトル不明
伝播3
息を吸う。
眺めるに足りない景色を内側へ取り込むように。
そして、吐く。
それら全てを吹き飛ばすように。
目に見える光景と、浮かび上がる感覚を縫い合わせる。
それが魔力の導線。
次元のズレをも貫く境界線。
場所も、動きも、あるいは感情も。
汲み上げ、受け取り、掌握する。
人も、人ならざるモノも、総て。
「これって⁉⁉ ゼネスさんッ‼ いいんですか⁉⁉」
戸惑うエリックの声。
原因は炎だ。
エリックの目の前に熱く荒ぶる火種が湧いた。
「悪いな! なにかあったら、あとで考える‼」
高ぶる思いが適性を弾き出す。
不慣れは苦手を好まない。
そこへ臆病風が吹き込むほど、火種は熱く大きく燃え上がる。
蜃気楼が広がっていく。
何もかもを燃やし尽くす。そんな懸念――恐れさえをも飲み込んで。
予想を超えた事態があるとすれば、
「僕は‼ ただの道具じゃないですよ‼‼」
そんな言葉と共に、更に炎へ薪をくべる術者がいたことだろう。
『なにかあったらどうすんだ⁉⁉』なんつー台詞は、『そこはどうにかしてくれますよね‼‼』なんて軽口の前に敗退した。
炎の色は赤から青へ。
それすら歪める透明な壁が、2つの次元を溶かし、混ぜ合わせて見える。
これが当たれば、それがドラゴンであっても、跡形が変わるだろう一撃。
もちろん、ただ見ていたわけじゃぁねぇが。
そこはクライフ達が頑張ってくれた。
半透明のまま、しばらく言い合いになって尚、これほどまでに無事なのは。仲間の尽力に他ならない。
感謝も込めて。
「いくぞ!」
「はいッ‼」
大きく育った青い火種が、果実の様に2つに裂ける。
間から子供が生まれるわけじゃねぇ。
それはまるで、人が飛びあがるために身を屈めるみたいな準備動作で。
一瞬小さく、消えたかと思った次の瞬間。
「イフリートドライブ‼‼」
1点から炎が光に喰らい付く速さで照射される。
僅かに遅れて燃え広がる青は、周囲を捻じ曲げる熱で撫でまわし、鮮やかに狂い咲く。
それは空間を破裂させるような予感を抱いて突き進み、闇が溜まった天井を駆け抜けた。
結論から言えば、当たることはなかった。
ドラゴンもこれでもかってぐらいには逃げてたからな。
まぁこれだけわかりやすい直線攻撃を、目の前で目立ったままに準備したんだ。避けるなって方が無理な話―――・・・・・・。
ではあるんだが。
「僕はまだ大丈夫ですッ‼‼ もう一回、やりますか‼⁉」
「いや、このまま当てるのは流石に無理だ。連携に組み込むぐらいはしねぇとな」
意気込むエリックには悪いが魔力の回復を促しつつ、合流の意思を伝える。
一見無意味に終わったかのように見える一連の流れ。
だが、俺は見逃さなかった。
ドラゴンは避けた。
それも必死に、だ。
これは案外・・・凄いことなんだ。