作品タイトル不明
伝播1
「考えすぎって・・・冒険者に、もしはねぇんだぞ?」
「逆だってあるんですよ! しなければよかったじゃなくて、していればよかったっていう後悔があるんです‼」
「そんなもん、生きてりゃいくらでも――・・・」
「例え生きてても一緒に居られなくなることはある‼ 僕は今だって、貴方と・・・貴方達と冒険がしていたかった‼ でも! 出来なくなったじゃないですか‼」
なんで今なのか。
ドラゴンと戦いながらも、こちらの様子を窺うクライフと目が合う。
別に気まずくなったりはしねぇが、加勢する・しないに関わらず、見るべきことは多い。
仲間の様子も、ドラゴンの動きも、繋がってる感覚のおかげである程度はわかるが・・・それでも、それらを後回しにやるような話だとは思わねぇ。
考え方の違いなんざ、ここでするべきことじゃ―――・・・。
「僕は昔から・・・会話が苦手です。それはゼネスさんも知ってますよね? 学園で上手く馴染めなかったのは、出自の問題だけじゃなかったと思ってて。だから正直に聞きますけど、勝算があったから僕達を連れて来たはずです! そうでしょ⁉」
「・・・・・・もちろんそうだ」
「僕はそれが嬉しかった。そのことはもう伝えましたよね? 必要とされて嫌なはずがないんです! なのに、今になってまた迷ってる‼ 安全は大切ですよ⁉ その確率だって‼ でもっ! 思い切りだって大事なんです‼ 勝算や勝率だって、上がり続けるわけじゃない‼ 下がることもあって当然じゃないですか‼」
「そりゃそうだがな。不確定要素はできるだけ排除しねぇと、失敗したら次はねぇんだよ」
「わかってます‼ わかってますよ‼‼ でも! そうじゃなくて‼‼」
両手で頭を掴んで掻き毟るみたいに。
エリックがここまで感情的になるのは珍しい。
それこそ、出会ってすぐ。学園でいじめの標的にされ、どうすればいいかわからなくなっていた時以来か?
「~~~~ッ‼‼ 勝ちの目は、どこに行ったんです⁉⁉」
「そのことなんだがな。魔法道具を使うつもりだったんだ。それを俺の失態で破壊されちまった。だから今、別の方法を考えてる。そのために――」
「その方法は‼ もう、気が付いてるんじゃないですかッ⁉ そうですよ! これが言いたかったんです‼ 僕は! 僕らは‼ 見てたんですよ‼‼」
「何を見てたってんだ?」
期待されてるところ悪いが、別の方法とやらには覚えがねぇ。
本当に。
一体、何を・・・?
「砲竜に囲まれながら戦っていたところを!」
砲竜? 確かに、土竜と連携されると厄介だと思ったから分断したが。
「あの時、ゼネスさんは砲竜の魔力を使って、砲竜から魔法を発動していた瞬間を‼ 皆、全部‼ 見てたんですよ‼」
魔法の遠隔発動。
この繋がっている感覚は魔力を共有しているらしく、それを応用することで他者の魔力を使って、他者から魔法を発動できる。
そのことに気付いたのはエリックの言う通り、砲竜に囲まれていた時だが――それがどうしたんだ?
土竜は死に、砲竜もほとんどが絶命か、それに近しい状態。
利用できるとは到底思えねぇが・・・。
「それってつまり、罠の魔法道具と同じように任意で、しかも他人の魔力で魔法を使えるってことですよね⁉ ゼネスさんの負担にならずに‼」
「俺の魔力も多少は消費するが・・・まぁそうだ。けど、そんな便利に使える相手は―――」
「―――僕らがいるじゃないですか‼‼」
は? ・・・恐らく、声に出ていたはずだ。
コイツは一体、何を言ってるんだ? っつー、そんな声が。