作品タイトル不明
重複
「来るぞ! ドラゴンの攻撃は、どれも土竜の比じゃないぞ‼ くれぐれもブレスには気を付けてくれ‼」
ドラゴンの様子を見ていたクライフが号令をかける。
それに呼応するように、ドラゴンは攻撃を開始した。
「ふはははは! 逃げるか‼ そうだろうな! 貴様は願いを叶えられるわけにはいかぬのだから、当然だな‼ もしそうなってしまえば、抗えぬものな‼‼」
昂ぶりを堪え切れず・・・といった風に笑いながら腕を、尻尾を振るう。
「なあゼネス! さっきから、何の話をしてるんだ?」
「気にするな。会話にはならねぇよ」
出鱈目な猛攻を避けながら、並んだクライフから問われるが、俺にも的確な答えはない。
願いを言えと宣ったくせに、それを聞く気はなく。
待つと言ったにもかかわらず、攻撃をし始める。
そして、それがまるで自然かのような言動。
あまりにも印象と違いすぎる。
コイツは長年、各地で陰謀を巡らせ、神として世を席巻しようとしていた。
言い分になぞらえるなら管理者になるつもりだったはずだ。
それだけの知性があった。
だが、目の前の姿からはそんなものは微塵も感じない。
場当たり的で、先読みどころか、口先だけ。
デカい体を効率的に使うことさえせず、ただ暴れているようにしか・・・。
その上、魔法も使ってこねぇ。
見たのはブレスのみ。
いくら精神魔法が取り柄だからって、他の魔法の1つも使えないなんてことはねぇだろう。
あの感覚を奪う魔法。アレを織り交ぜられるだけでも、絶望的な難易度に跳ね上がる。そこへ加えて、堅すぎる魔力障壁。虹の壁を展開すれば、それこそ勝負にならねぇぐらいの差になる。
なんなら、ここへ来るまでは。そういう戦闘になることを想定してた。
それをどうにかするための道具として、罠の魔法道具も用意してたんだ。
それが―――、
「近付けるものか! 神の側へなど‼ 届くと思うな! 思い上がるな‼」
自身の肉体に頼るのみの戦闘。
それでも苦労するが、それは種族の差でしかない。
魂の分割、ありは魂の収納。
それによって奴は精神を壊した。
それが欠如なのか、変質なのかはわからねぇが、間違いなく元の状態ではねぇはずだ。ついでに、戻りもしねぇんだろう。
そのことに気付いたせいか、急に虚しさに襲われた。
疲れでも出たのかもしれねぇ。
力が抜けたってのが正しいか?
俺は、コイツにどこか近いものを感じていた。
似てるわけじゃない。
むしろ逆で、違い過ぎた。
加護の力なんて全くの正反対。
俺は周囲に与え、コイツは周囲から奪う。
神と呼ばれる存在に近い能力。
それを持って。
俺にはこうして、こんなところにまで来て命を懸けてくれる仲間が居て、コイツにはどうして、魔法を使って操るしかなく、誰も居ない。
なのに辿り着いた結論は同じ。
神なんざいねぇし、出来ることなら自分の手でするべきだ。
規模こそ違うが・・・いや、この規模の違いこそが原因か。
俺には世界は重過ぎて、コイツには世界が小さかったのかもな。
届かねぇもんに執着するほど、俺は―――・・・。
『油断したな?』
耳元で囁く声を聴いた。