作品タイトル不明
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「舐めてんのはテメェだろ? 神を気取るなら助けてやれよ‼ アレはお前が唆したんだろうが‼‼」
血が滴るナイフを握りながら、指だけ持ち上げ、指すは黒焦げの土竜だ。
コイツはクライフ達を壁の向こうで喚くだけと言ったが。それはつまり、こっちの様子を見て反応するぐらいの余裕があるってことで。
裏を返せば、立ち塞がっていた土竜に苦戦しなくなったってことだ。
つまり、土竜は死にかけている。
救いを求め、上位存在たるコイツの元へと流れついたのに。それでも尚、救われちゃいないまま。息絶えようとしている。
「上から目線で救うだなんざ言うんなら、まずは目の前にいるテメェの信者から救って見せろよ‼ ただ見てるだけの存在じゃぁねぇんだろ? 曖昧な言葉だけで神になったつもりか‼‼」
そうだ。
力があるなら示してこそだ。
形にしない理想に価値無し。
それこそ、テメェが否定した神の存在と何が違う?
「そんなもの! 貴様らが攻撃をやめれば済むだけの話だろう‼ 理由も無しに他者を虐げ、死に追いやる気狂いが‼‼ 正当なことを言ったと思っているのか⁉ 太々しい‼‼ 何も得られぬ殺しに酔う貴様らこそが害悪なのだ‼ 我はそんな貴様らさえも救ってると、そう―――」
「――そんな話はしてねぇんだよ! なんでもできる神を気取るなら、その意味のねぇ殺しぐらい、止めてみせろって言ってんだ‼ テメェができねぇ理由を誰かのせいにして、信じて縋る弱者を見捨てる・・・そんな奴のどこを信じる? 誰が、何を信じるってぇんだよ⁉」
「悪意を以って立ちはだかる輩がほざくな‼ ならば問う‼ あの土竜に何の恨みがある⁉ なんの権利があって子を殺し、誰の許しを得て番を撃った⁉ それになんの意味があったというつもりだ‼‼」
感情任せに動く身体は、互いの体を削り合う。
ただ踏み込み、ただ切り裂くと。
押し出され、弾き飛ばされを繰り返す。
致命的な状態にならずに済んでいるのは、一滴残った冷血さのせいか。
理由なく殺して何が悪いという、根源的な生存本能のおかげか。
「身勝手で闘争をやめぬ貴様が! 善良を装うな‼ 我と同様に振舞うな‼ 不逞の輩がなにを言う‼ 神の正体さえ知らぬくせに‼‼」
「責任から逃走する奴よりはマシだ! 予想だけで語って、指摘されりゃぁ動揺して、それでよく不定を利用して神になんざなろうと思ったな‼ 正対する価値もない‼‼」
「先制で殺そうとしておきながら、失敗したら矯正のつもりか? 自省など持ち合わせておらぬことなど知ってはいたが、黙止も出来ぬ! 反攻は必然、意図など不要と宣ったのは貴様だぞ‼‼」
「宣誓でもしてりゃ対応が違ったとでも? 信仰を強制することに変わりはなかったんじゃねぇのか! 自制できるなら、黙視できたなら、犯行も思い留まったはずだろ‼ 裏で糸を引いて、くだらねぇ戦争を引き起こしたのはテメェだろうが‼‼」
「戦争ではない! 掃除に過ぎぬ‼ 悲境を知らぬ浅はかな者達へ! 害意を隠さぬ愚かな者共へ‼ 凶器をくれてやったのだ‼ 戒規のために‼‼」
「相似してんのは惨めな思考だけだ! 悲しいから、哀れだから、何をやってもいいなんて卑怯な思考‼ 外囲だけで狂気を許すわけがねぇだろうが‼ 開基したつもりになって、身勝手な規律で生きてんのはテメェなんだよ‼」
売り言葉に買い言葉。なにを言ってるかも覚束ない。
怒りを吐き出すだけの行為で。
だが、何かを壊すには。そういう勢いが必要だったんだ。