軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

かいき

自然と湧き出た言葉だった。

「何故だ? 何故そうまでして加護などという曖昧なものに縋る⁉ それは神などではないのだぞ‼ 力も持たぬ、なにも救いなどしない幻想だ‼‼ それが何故わからんッ⁉⁉」

「・・・最初っから信じてねぇんだよ。神様なんておためごかしは」

「なん、だとッ⁉ ならば何のため、このような場所まで――いいや、我が下までまでやってきた⁉ 龍王などという、人の理外である存在にまで力を借りて、なんのために‼‼」

「言ってんだろ。おためごかしじゃねぇんだよ・・・てめぇのために決まってる‼ テメェが気に入らねぇから殺しに来たんだ‼‼」

魔力が己の中になかろうと、そんなことは関係がない。

そんな力を俺は手に入れていたじゃねぇかと、いつの間にか握り込んでた丸薬に気付かされる。

熱く立ち昇るような魔力の気配が、俺の中に流れ込むように。

だが、そうじゃない。

握る拳に力を込めて、丸薬を砕く頃には魔法が発動した後だ。

最盛の魔法。誰かに言わせりゃ回想再現だったか。

身体の時間を戻す魔法だ。

丸薬の魔力じゃ戻せる時間は僅かだが、動かなかった身体が嘘みたいに。

ナイフを引き抜き走り出す。

硬さ比べなら勝てるはずだ。

少しでもいい。このクソ野郎に痛みってやつを感じさせてやりたかった。

「舐めるなあッ‼‼」

叩き潰すように振り下ろされる腕。

そして、その後の隙を潰そうっつー逆手の振り上げ。

やっぱりドラゴンってのは直接的な戦闘の経験が薄いんだろうな。

その連携はついさっき見たぞ。

脇をすり抜けると、倒れ込むんだろ?

だったら止まるさ! 叩き付けた腕の裏で。

手だか足だか知らねぇが、その付け根に。

ナイフを差し込む。

逆手に持って、持ち手をも上から押さえて、全体重を載せて。

突き刺す‼‼

パキッ! という薄氷を砕くような感触。

焦り過ぎたか、付け根を外した。

鱗が割れる。

グサッ――っていうには肉厚が強い。

硬いゴムでも刺したみたいに、刺さるってよりは切れるって感触が強く。

滑るように抉る。

「んぐぅおぉ! 貴様あぁあ‼‼」

ナイフは深々と突き刺さり、小指の外側がドラゴンの皮膚に触れていた。

ギギ・・・と伝わるこの手ごたえは、取り返しのつかない内側へまで到達したような。背筋にじっとり汗をかく怪我だ。

悠長に突き刺したままでも良かったが、無理やりに動かれると傷を広げるより、この身が一大事になっちまう。

それでも恨みを込めて、刃を回して別の切り口を増やして引き抜く。

流れ出る血は確かに赤く。

けれど。

だからって。

同じだけの重さや価値があるとは思わなかった。