作品タイトル不明
がいい
ドロリと溶けた鱗と溢れ出た血が混じる胸元。
荒い息を怒りと共に吐きだす姿は追い詰められているように見える。
だってのに、
「不意打ちでなければ効かぬことなど承知のはずだろう‼ 痴れ者が‼‼」
追撃は当たり前に防いでくるのが質の悪いところだ。
2発目のマナバーストは魔力障壁によって掻き消され、徒労に終わる。
その間も傷の修復が止まることはなく、更には軽い反撃まで飛んでくれば、やはり生物としての格の違いを見せつけられるようだ。
ただ他に、おかしな部分も目に付く。
身に覚えのない傷だ。
足や胴体、翼どころか頭にまで。
大小新古様々な傷で覆われていた。
「しかし哀れだな! 矮小なる信者よ‼ いくら神から加護を得られようと、自らの望みすら満足に叶えられぬとは‼‼」
覗き込むように顔を寄せたかと思えば、勝ち誇るように天を仰ぐ。
どれだけ見上げたところで、広がるは黒。ここが地の底であることは語るまでもねぇってのにな。
まるで無理をしているような挙動だ。
ふと、そんな感想が思い浮かぶことに違和感を覚えた。
蓋が――・・・!
視界を埋めていた赤緑の幻影が、いつの間にか外れていたことに気付く。
ドラゴンの動き不審に思ったわけじゃなく、その姿が見えることに慣れてなかったんだ。
それがわかれば! っと振り向く。
「気になるか?」
あったのはドラゴンの顔。
身体、首、頭でコの字に塞がれ、反射的に飛び退き距離を取る。
その過程どうにか仲間の姿を盗み見ることができた。
分かっていたが、戦っている相手は土竜。
しかも体表が黒く焼け焦げた個体だ。
なぜそんな動きができるのかと思うほどの暴れっぷりで、言い方は悪いが放っておけば死にそうなぐらいの激しさを有していた。
「そこまで気にするならば、助けれやればいいだろう」
「そこを邪魔するつもりか?」
「邪魔などせんわ。愛する家族を失ったモノへの手助けにすぎん」
「同じだろうが」
「違うな。明確に、明白に、確実に――違うッ‼ 貴様らのような、私欲に溺れた蛮行と同じにするなッ‼‼ 悪行を誅するは神の務めたるぞ‼」
真に迫る咆哮。
余りの迫力に気圧されそうになる。
「・・・そうだ! そうだッ‼ 神が救わぬならば‼ いったい誰がッ‼」
一変して、思い付きのような声と態度で言う。
情緒がおかしい。
二重人格だとか、そういうのとも違う。
「貴様らにはわからぬか⁉ 神の愚かさが‼‼ あんなものが、なにを救うというのか‼‼」
なにが聞こえて、誰が囁く?
「我らは! 救われなければ‼ 他の誰にもできぬなら! 自らの手で為す他あるまい‼‼ なればこそ、我が名は――」
それは本当に。
「――・・・神であろう‼‼」
偽らざる心なのだろうか?