作品タイトル不明
ひきょう
残り7匹。
魔力の反応は随分と小さくなったが見失うことはねぇ。
処理するだけなら、どうとでもなる。
だが、考えるべきはそこじゃねぇ。
砲竜の行動が砲撃一辺倒なことから怪しむべきなんだ。
意識への介入となりゃぁ・・・十中八九、ドラゴンの仕業に違いねぇ。
そうだとした場合、この7匹をこのまま処理すると次の増援が来るだろう。
それじゃきりがねぇ。
かといって放置してりゃいいのか? ってなると、それも違うだろう。
こいつらは使い捨ての弾。切れたなら補充するだけ。
やっぱり無理か。
どう考えても現実的じゃねぇ。
ただもし、方法があるとすれば―――。
次元魔法の発動。
なにも難しくはない。
砲竜7匹をまとめてズレた次元へ送り込むだけ。
魔力もそれぞれから頂くことで、座標の指定も範囲の結合も必要なし。
同じ魔法を7匹の体から、自身を中心に発動させるのみ。
上下に揺れていた魔力の反応が一瞬凍り付き、落下する。
つっても、地面へ落ちるほどじゃない。精々が体1つ分程度。
すぐに持ち直しただろう。
これはルーフロンス領で気付いたことで、次元をズラすとこのドラゴンの支配は体から抜けるらしい。
本来の器に適合してないからか、あるいはどちらかが元からそういう性質の魔法なのか。
ま、そんな細かいことは気にしなくてもいい。俺は研究者じゃねぇからな。
知っておけばいいことは、この瞬間だけにはどうしようもないほどの隙があるってことだ!
砲竜の反応が固まると同時に。
俺は空間を飛んだ。
現実を阻む壁、虹色の緩衝地帯。
それらを潜り抜けるため、その先へと飛んだ。
そして流れるように最大火力を叩き込む。
砲竜のそれと同じ、魔力の奔流マナバーストを。
「グォォオオアアアアアアアァァァァァッ⁉⁉⁉」
しかしながら、悪い癖が出た。
1つは空へ貫けるように撃ったこと。
ここは穴倉だ。天井もある。崩落を危惧すりゃ避けるべきだった。
なにより、正確に狙っていれば・・・後遺症ぐらいあっただろう。
もう1つは思い切り過ぎたこと。
例え魔力を圧縮して撃ち出そうと、結局は魔力量の差で威力が変わる技。
いつも通りじゃ足りねぇってことはわかってたはずなのに、急ぐあまりにそのまま撃っちまった。そのせいでドラゴンが叫んでる。
不意打ちをするんなら、その時点で決着をつけるべきだ。
その努力を怠った。
魔力の奔流は確かに胸を捉えた。
貫き通せば心臓をも穿ったかもしれねぇ。
だが、ドラゴンには痛みに叫ぶ余裕があった。
つまりだ。
「どこまでも卑怯にして卑劣ッ‼‼ それが貴様ら信者のやり方だッ‼‼」
依然変わりなく、ドラゴンは健在である。