作品タイトル不明
きょうせい
幸運にも。イーターへの対策で強めに掛けていた融合強化のおかげもあり、損傷は軽微。直ぐにでも反撃できるはずだった。
―――見えねぇッ⁉
大地の割れ目、土竜の巣穴、再びの深淵、そしてイーターの胃袋と。
そもそもが暗い道のりだった。
そこへ強烈な閃光が唐突に飛び込んできたんだ。
闇に馴染んだ目に光が焼き付く。
当然で、原始的だが、あまりにも有効。
さらに追い打ちをかけるように、無音。
自分の声すら聞こえねぇんじゃ確認もクソもない。
しかも、足元に転がるイーターの残骸だろうものが不利に拍車をかける。
見えず、聞こえず、身動きも取れず。
なんの情報も得られねぇ状態。
とんでもなく殺意の高い組み立て。
正しく嵌め殺しといっていい。
だが、それでも。
諦める理由にはならねぇ。
なにより。
この魔力の繋がる感覚が消えねぇ内は、後悔なんざしてられねぇからな!
必要なのは時間。
仲間と共に生き残り、態勢を整えるための時間が欲しい。
時間があれば視力は戻る。
そうなりゃイーターの残骸に足を取られることもなく、状況を知ることができる。
そのためには―――、
『ダメだ‼ 落ち付きたまえっ‼』
次元をズラす魔法を! ってところでジーナの声が。
無音に慣れた耳に響く。
いや、直接の頭に届くなら別の理由か。
どちらにせよ、キーンと耳鳴りのような音を引き擦る。
束の間。
極僅か、神を揺らす程度の風圧が身体を押す。
『飛んで‼ 正面!』
高く、そして前へ飛ぶ。
遅れて、足元に風。
『上から叩け‼』
どこを? と思っても声にはならない。
取り敢えず、重力に任せて落下しながら真下を殴る。
手応えはあった・・・・・・が、カスあたりだな。
打ち込む瞬間がおかしかったんだろう。
握った拳の小指側半分が中途半端に擦る。
おかげで捻じれた手首を痛めなかったのは日頃の行いか。
それにしても、やけに硬い感触だった。
『10時から砲撃!』
左前に魔力の集束。
だがこれは・・・・・・・・・、
『待った‼ それは―――ッ‼‼』
狙い目‼
眼が見えなくとも、敵の位置が分かれば攻撃ぐらい当てられる!
俺達はそういう風に生き残ってきた。
踏み込んで、強風‼
誘われた⁉
籠手を頼りに両腕で防ぐ。
何か柔らかい袋がぶつかる感触の後、ガギンッ‼‼ と硬すぎる音と衝撃。
挟まった何かが破裂したのを感じつつ、おそらく吹き飛ばされたんだろう。
そこに在ったものを弾き飛ばしながら、地面を転がった。