作品タイトル不明
side――クライフ2
ガシャンッ! と痺れた左腕から滑り落ちたのは罠の魔道具。
そういえば受け取ってそのまま掴んでたっけ・・・・・・。
幸い、起動するように投げてはいないから、誤作動をさせずに済んだ。
それと腕が痺れた原因にも気付けた。
盾の取っ手だと思って、この魔道具を掴んでたからだ。
固定が甘かったせいで衝撃を受け切れなかったんだな。
今度こそ取っ手を握りこむ。腕は痺れたままだけど。
足を開き、腰を落として魔道具を回収し、腰元へ収納しようとした辺りで、ふと閃く。
『位置取りに注意しろ‼』
確か、俺達で正面を抑えてる間に敵の背後でこの魔道具を起動する想定。そうすると挟撃になって戦いやすくなるって寸法だったけれど。
現状が既に挟み撃ちの格好ならば、これを起動してもいいんじゃないか?
挟撃にするのは逃げられないため。
ここで止めを刺せないと後々の脅威になるかもしれないからだ。
だとするなら、必要なのはどっちだ?
俺とアンナを一緒に行動させたいのは攻防の比重を考えてのはず。
でも、どっちかしか居ない時、より戦力が必要なのは―――・・・。
「ギュオオオォォォォッ‼‼」
さっきまでより怒気に満ちた叫び声。
アンナは何をしたんだか、我慢ならないというような感情が動きにも。
身体ごと頭を振って舌の勢いを増すと共に、鞭のように薙いで攻撃範囲を広げている。
「しつっこいわねっ! いい加減、切れなさいよ‼ この舌ッ‼‼」
その口振りから被弾していないことがわかると同時に、どうやら舌を切り付けるなんて芸当も行っていたらしい。
それは怒るのも無理ないかな。
攻撃は当たらない上に舌まで切られてるんだから。
ただ、どうしても避けながらの反撃だからか切断にまで至らないみたいで、重さを使えてないんだろう。そうしようとすると足が止まるし仕方ないさ。
なんて、言おうものなら怒られそうだから胸の中にしまっておく。
絶対に誰のせいだと思ってんのよ‼‼ とか言われるから。
まあ、その通りなんだけど・・・。
「アンナ! これを‼」
振り上げた右手から物を投げる。
「――ッ‼‼」
先に振り向いたのは土竜の方だった。
まるで言葉がわかるみたいだ。
土竜は空中にあるソレを尻尾で器用に叩き落し、地面へ突き刺す。
その隙に脇を抜けてアンナとの合流を図るが・・・駄目。
「ぐぅッ‼」
さっきと同じように、振り下ろした後の尻尾がバネ仕掛けのような速さで横に動く。
痺れた腕では芯を捉えられず、またも押し出されるけど・・・、
「コレって地面に刺せばいいのよね⁉」
目的は達成した。
「そうだ! そうすればゼネス達が来る‼」
地面に突き刺さった愛剣を掴んで答える。
投げたのは囮。俺自身の動きも囮。
本命の魔道具は尻尾を盾で受ける瞬間に上から通した。
愛剣を引き抜き、魔力を流し込む。
この氷点下に潜む土の竜を相手にするなら、属性は何がいいか?
俺がここを通さないだけの圧を放てれば、挟み撃ちは成功するはずだ。
なぜって?
ようやく土竜の顔がこっちを向いたからさ‼