軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

墜落2

空間移動はその名の通り、空間を移動する魔法だ。

瞬間的に移動することから瞬間移動ともいえるだろうが、移動先に”何か”があると移動できない。

同じように。移動できたとして、それ以上の効果はない。

「フェ、フェリシア君! 結界を! 早く‼」

「はは、はい! 直ぐに‼」

ジーナの泣き言にもフェリシアは素早く応える。

正確な現在位置はわからねぇ・・・が、ただただ寒すぎた。

ジーナが言っていた高度と共に気温は下がるという仮説が正しかったことを身に染みて理解するぐらいに、空の気温は過酷だった。

フェリシアは必要最小限の結界を自分中心に展開することで、落下しながらでも結界の効果を受けつつ、範囲を小さく止めることで、追手である4頭のドラゴンから注意を引き辛くする。

しかしそれでも、

「―――グゥルォオオオオオオオ‼‼‼」

散らばった内の1頭が嗅ぎつける。

こうなると小さい結界から出られねぇ俺達は、攻撃に対する手段が著しく少ないせいで大変困ることになるんだが。

「グォッ⁉⁉」

横に並ぼうとしていたドラゴンへ、一条の光が降り注ぐ。

それを慌ててよければ、止まることなく落ち続ける俺達との差は開く。

本来、頭上に広がるはずの空は、今は足元からその先へ続く。

そこでは1周り大きな竜の奮闘する姿が。

せめてその雄姿を見届けてやるべきかとも思ったが、諦めた。

俺達という重荷を下ろした龍王の動きは、目にも留まらぬ速さだったから。

雷かの様に空を、雲を、地上を光らせる閃きだけが存在を示し。

時折聞こえる鈍い音が、まさか心配を打ち消すとは・・・。

鈍い音は竜同士がぶつかる音。

そうして見えるのは小さな体。

段々と遠ざかっていく最中でも、俺達を乗せた背を拝むことはなかった。

いつしか自然と下を向く。

上からくる敵など居ないのだと。

「ゼネス! 気分はどうだ?」

「最悪だ! この内臓が浮き上がる感覚ってのは慣れる気がしねぇ‼」

「ははは! そうか? 俺は少し楽しいよ‼」

「そうかよ! 羨ましいこって!」

わざわざ近付いてきたクライフと会話しながら、ちょっとした問題を見る。

「それから、アレはどうする?」

「早いとこどうにかした方がいいのは間違いねぇんだが・・・魔法に頼るしかなさそうだ」

2人で眺めていたのはアンナの後ろ姿だ。

「ねぇ⁉ なんかアタシだけ速くない⁉⁉ ちょっと⁉⁉ これどうすればいいのよ‼‼ ねぇ‼‼」

言葉通り、アンナは他の全員より落下速度が格段に速い。

忘れていたが、アイツの武器は分厚い鉄板のような剣だ。

持ち前の馬鹿力で軽々振り回してたから、うっかり計算に入れてなかった。

「エリック! どうにかできないか?」

「すみません、クライフさん! この状況だとちょっと思いつきません! 炎も水も土も落下のせいで使えなくて! 闇や影は媒体がないです! 光で引き寄せたりはできないので、手の施しようがないです!」

「腕を前に出して、外套と体の間に影を作るのはどうだ?」

「やってみます!」

バサバサとたなびく裾をどうにか掴みながら、影を作って伸ばしてみるが、どうにも距離が届かない。仕方なしにエリックは反対側の腕でも同じように外套の裾を掴み、体の前で影を作ろうとすると。

「うわあああああっ⁉⁉」

両裾を掴んだことで空気の逃げ場が無くなり、外套は袋の様に膨れ上がる。するとエリックは浮力を得て、今度は1人。上に、はぐれが増えた。