軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

中継解説

「報告内容が要領を得ん故、多少前後するかもしれぬが・・・北大陸にある人間の国は全て、自然に生活をしていないようだ」

「その根拠は?」

「物資の輸送だ。人間は交易を行うだろう? 国という枠組みの内外問わず、生産と消費が同じ場所で完結するのは稀なはずだ」

「まぁそうだな。全部を1箇所でってなると、必要な物が多くなりすぎる。資材、技術、人手。よっぽどの大都市でもねぇ限りは各町や村で傾向を絞る。多くは農業か林業、水辺に近けりゃ漁業や製造になることもある」

「それらを運搬し、代わりの不足品を補填するという日常が目撃できんのだ。それどころか、一切の無駄が感じられぬらしい」

「無駄って言うと・・・」

「子供の声などだな。子供ならば遊んでいても不思議はないが・・・それも見かけられぬ。子供が居らぬわけではないぞ? 文句の1つも言わず、機械の様に働き続けているようだ」

異様な光景――ドラゴンから見ても、そう映るか。

「働くってのは?」

「食料の確保だな。近くの林などへ分け入っては木の実や野草を集めている。それと浄化・・・水浴びというべきか。それもおかしいようだ」

「北大陸の気候から、水をそのまま使うのが変だとか、そういう話か?」

「いや、頻度とやり方だ。人間は汚れを自覚した段階で洗浄をすることが多いだろう? 我々から見れば潔癖なほどに。しかし、その片鱗がないのだ。汚れたままでも構わず活動をしている。そういう場合や状況もあるにはあるだろうが、緊急時くらいではないか? だが現状にそのような雰囲気はないはずだ」

「あまりにも食料が不足してりゃ、あり得るだろうが・・・」

「であれば、着替えもせず。水を服の上から浴びることもあるのか?」

「極限状況ならあり得るかもしれねぇな。それこそ最前線の戦場で敵と睨み合ってる時だとかな」

「さっきも言ったが、そのような緊張感や悲壮感はない。ただ黙々と、あるいは漫然と時間を垂れ流しているようにしか見えぬ。言葉にするのであれば、そう野生的だ。食料についても、保存などは考えておらぬようで、必要な分を必要になった時のみ採取しているそうだ」

野生・・・人間に当てはめるには遠い言葉だな。それも1人や2人。集落の1つならまだ文化で話が付いたかもしれねが、大陸全土ともなれば異常という他ない。

そういった病がねぇとも言い切れねぇんだが、それで説明がつくかって言われるとな。

効果範囲が大陸全域――ともなりゃぁ、もっと早い段階で俺達の耳にまで届いてなきゃおかしい。

それぐらいの情報交換は大陸間でも出来ていた。

「ドラゴンから見て、行動自体に疑問はあるか?」

「無いと思っておれば、このような報告自体が上がってこんだろう。人間について詳しくはないが、これが異変だということを認識できるぐらいには―――」

「そうじゃねぇよ。ドラゴンの行動として見た時に、おかしな点はあるか? って訊いてんだよ」

「ドラゴンとして、か? なくはないが・・・あくまで個人的なものだ」

「私的な時間がねぇってことか」

「いってしまうならば、そうだ。我々は人間よりも賢く、強靭で理性的だ。そして、大きく能力に優れている。汝の言った農業などの生産を行わずとも、欲しいものがあれば得られる場所へ行き、困難や大概の問題も得意の魔法で対処できる。住処を持つのは子育てのためか、趣味で物を集める場合が多く、そういった私欲を切り捨てて考えれば・・・ドラゴンとしてなら、それほどおかしな行動は取っておらんと言えるだろう」

だが、なぜそんなことを? そう言いたそうな声色だ。

人間はドラゴンじゃねぇ。

そんなことは当たり前だ。分かり切っている。

それでも類似した行動を取るなら、そうさせている理由がある。

「精神を支配したはいいが、管理が出来なかったんだ。それか、そんな余裕がなくなったか・・・」

理性的に物を考えられなくなったらどうなるか?

本能に従うのが生物ってもんだろう。

その本能が反映されているなら、人が人でなくなっていても不思議はねぇ。

そういうことだ。