軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

やってみて

一番不満そうにしていたのはリミアだった。

思ったように出来なかったからか、単純に俺を殴れなかったからかはわからない。

すっ転んだキューティーとエイラを引っ張り起こしているうちに、全員が集まる。

「どうだった? やってみて」

「まだまだでした。もっと出来ると思ってたんですけど、僕らは2人でしか動けてないんだなって・・・」

「そうですね。なにかを思いついたとしても、それを実行するところまでとなると、簡単ではありませんね」

ヨハンとリミアはそれぞれ、装備を外しながら的確に模擬戦を分析していた。

「それだけわかってんなら、とりあえずは十分だろ。もっというなら、1人での動きも考えておくことだ。いつも一緒ってわけじゃないんだからな」

「1人で、ですか・・・」

「お前らは元々ソロ希望だっただろ? 逆に、パーティーを組むんなら、そいつらを想定した動きも必要になる・・・っつーか、想定した動きを出来るパーティーメンバーを探すことになるんだけどな」

「普通は、そういうものなのでしょうか?」

「俺達の時はメンバー在りきだっから、それに合わせてフォーメーションを組んだが、ソロ冒険者がパーティーを組もうってんなら、その方が自然だろうな。お互いに利害を求めるわけだし・・・だからこそ、ソロで出来ることを増やしておけば、合同依頼なんかの時にあぶれずに済む」

なるほど。と、それを聞いて2人は自分達でどうするべきかを考え始めた。

最初の印象からは考えられないほど、冒険者らしくなった。

これなら、そう遠くないうちに皇都を離れて旅に出ることになるだろう。それまでに、俺が教えられることにはなにがあったか・・・よく考えておく必要があるな。

「・・・それで、俺様たちはどうなんだよ・・・?」

顔を背けながらジェイドが聞く。

「そうだな・・・」

ここでいう”どう”とは、冒険者として”どう”なのか、っつーことでいいんだよな?

それとも、今ので冒険者として認めろって言ってんのか・・・?

それは流石にねぇと思う・・・が、だからってあやふやに答えて、言外に伝えたつもりになるのは傲慢だよな。蟻の件にはその節がある。

あれは俺の過ちだ。

だったら、ハッキリ言ってやるしかねぇよな。

「冒険者としては話にならねぇな。1人じゃなんにも出来ねぇ。パーティーのリーダーとしても、まともに指示すら出せてなかった。そんな奴を冒険者と認めるわけにはいかねぇってのは・・・わかるよな?」

パーティーとしてみれば、そこまで出来は悪くないだろう。特別バランスが悪いってこともない。

だが、個々を見た時に感じるのは頼りなさだ。

ジェイドだけでなく、キューティー、ケイト、エイラ、全員に言える。出来ることが少なすぎる。

「・・・そうかよ」

背を向け、立ち去ろうとするジェイド。

「だが、素質だけなら認めてやるよ」

「え⁉」

驚いた表情で振り返る。

これは決して嘘や慰めなんかじゃない。

「冒険者に必要なのは、どんな敵だろうと倒せる強さでも、どんな時にも儲けを出す逞しさでもねぇ。現実を受け止めて、どんな状況だろう生還するっつー覚悟だ。言ったよな? 危険を冒すから冒険者じゃねぇ、きっちり帰って来れるから冒険者なんだって」

現実はいつだって厳しい。

その現実を見据え、乗り越えるのが冒険者だ。

「お前は蟻に囲まれても、仲間を捨てて逃げなかった。諦めて命を投げ出さなかった。それが結果として、お前と仲間を助けることになった。そいつはれっきとした才能だ。それだけは誇っていいぞ」

「認めるのか? 俺様を・・・?」

「そこだけな。残りも認めてほしいっつーんなら、認めさせてみろよ」

当然ですわ! と喜び合っているジェイド達をよそに、

「てっきり諦めさせるのかと思ったが・・・」

「わざわざA級パーティーリーダー様にご足労頂いたんだ。むげには出来ねぇだろ?」

「よく言うよ・・・。強化魔法すら使ってない相手に一発もまともに当てられないなんて、言葉が出ない」

「それほど仕掛けてなんざなかっただろうが・・・つーか、一発もらったら焼け死んでたのがあったと思うんだがな? アレは狙ってたのか?」

「思い付きさ。いいところに煙突があったような気がしただけさ」

「ふざけやがって・・・」

柱に隠れた時。先にケイトの魔法で天井を貫き、斬りかからずに剣を突き刺してきたのは即興か。

しかも、雷を2発撃ちこむことで確実性を上げて来てやがった。

1発目は天井が、2発目はその下に用意しておいた魔力障壁が防いだが、剣が突き立てられた瞬間は肝が冷えた。

狭い空間に火を放つことで、俺をこんがり焼きあげるつもりだったんだからな。

壁の厚みと空気の逃げ道まで考えてる辺り、かなり本気だっただろ。

すっとぼけた態度を取るサンになんて言ってやろうか、と思っていたんだが・・・、

「ああ! やはりゼネス様は素晴らしいお方なのですね‼」

バッチリ存在を忘れていたユノの発作が始まり、今日の目的を思い出していた。

調子に乗って弱い者いじめのようなことをしたせいか? 面倒な誤解を解く手間がまた増えた。

本当に神様って奴は見てて、俺で遊んでたりしてんじゃねぇのか?