作品タイトル不明
はなし変わり
「想像に過ぎねぇけどな」
「妄想と言わない所に自負を感じるね? 男子3日会わざれば――だよ?」
「否定はしねぇよ。3日なんて短い期間でもねぇし、人のことも言えねぇからな。だからこそ、詳しく聞いておきたいだろ?」
「他人からの評価を気にするような質だったかな?」
「それこそ、男子3日会わざれば・・・ってやつだ」
「ははは、面白いことを言うね? 君ほど頑固な人物など、私でも知らないというのに」
尚も続く掛け合いを不思議に感じながらも、職員は俺からの要望に従って話を続けてくれた。
「その後、皆様は反省会を開き、根本からの改善を目指します。まずは原因の究明から・・・1番は既に御2人が指摘されたように連携の不全。欠員による役割や戦況の変化を予想しきれなかったことが原因であることは、皆様も承知していたようで、合図の仕方や時間、連携の内容と瞬間に至るまで。その多くを見つめ直し、念入りに修正したそうです。そこから、1つの答えとして”逃走厳禁”を課したのだと聞きました」
「連携を見直した結果が逃走の禁止とはね・・・君はどう思うんだい?」
「傲慢か馬鹿かの2択だな」
「手厳しいね。その心は?」
「逃げる必要がないほどの自信があるか、全員で上手く逃げる方法を知らないから、半端だと危険だし全員で戦おうっつー初心者丸出しの浅慮だな」
「わかりやすいね! それで、どっちだと思う?」
「・・・傲慢な方がまだマシだな」
「くっくっく! そうであって欲しい・・・が答えだなんてね。甘くはないのかい?」
「厳しいって言ったのはお前だろ」
適当なことを言って煙に巻く。
どれが答えにしろ、俺が撒いた種だからな。
絡まれても面倒だ。
「まあ、そうですね。自信があったのかもしれませんし、戦闘を始めてから全員で安全に逃げるには慣れが必要なのはよく言われます。そのどちらを選ばれたのかは私にもわかりませんが、失敗を認め自分達を見つめ直したことで、『進歩する歯車』の皆様は少しずつですが活躍を大きくしていきます」
職員こそ俺達の態度にも慣れたのか、流れを止めることなく続きを話す。
「火口は狭く、見つめ直した連携が出来ないと踏んだのか、勇者パーティー『進歩する歯車』は次に山頂側の攻略へ着手します。とはいっても、上りではなく下りの道だったようですが」
「下り?」
「はい。下りです。お客様はご存じかわかりませんが、このアドレスには幾つもの道があり、どれが山頂に続いているのかは未だにわかっていません。下りの道に関しましても、開始地点が下っているからそう言われているに過ぎず、攻略を通じて先に進まなければ、どこへ繋がっているのかわからないままなんです」
職員の言う通り、特定の地点から上り下りで別れる道は数多く存在してる。
ただ、山頂を目指す都合上、下りの道はあまり人気がない。
そう思ったところで、あぁだからか・・・と腑に落ちた。
人気がない。
それはそのまま”ひとけ”がないとも言う。
周りを気にせず、試そうと思ったことを試せる環境が欲しかったんだろう。
「皆様が選んだ下り道の先は、稜線の連なる尾根となっていて、歩き辛く、休憩も取り難い環境だったのだとか。しかしそれも、人間にとっては・・・という話で。体の大きなモンスター達にとっては、その程度の傾斜は生活に丁度よく、戦闘の邪魔にもならないことがあります」
体格や骨格の違いによって生息地は変わる。
自然の理だ。
「その尾根は――バフォメットの生息地となっていました」
「人型だな⁉」
前置きとは相反するような状況に、つい突っ込んでしまう。