作品タイトル不明
探し出して決せよ11
「つまりは、特別こうしたいって願望がないなら、多少無理でも私達のお願いを聞いて欲しいって言ってるのよ。どう考えたって、操られてるだけの人達を犠牲にするなんて寝覚めが悪いもの」
感情的になっているジェイドとの間を取り持つように、再びエイラが会話に参加する。
「・・・・・・具体的にはどうするつもりだ?」
「あら、乗ってくれるの?」
「内容によっちゃな。俺だって、好んで殺戮をやらかしたいわけじゃねぇ。時間や安全性に問題がなけりゃぁ、他の方法を選ぶさ。重要なのは確実性だ。2つの問題を考慮しながらも、確実に実現できる案があるなら手伝うさ」
「そこは既に相談済みよ。あなた達が話し込んでいる間にね」
そういうとエイラはケイトを呼ぶ。
「どう? 大丈夫そう?」
「予想の範疇は出てないから、たぶん・・・」
「そう、じゃあ説明するわね!」
カラっとした態度で胸を張るエイラが説明を始めた。
「ゼネスさんには、あの壁にされている人達の移動をお願いするわ。だから、あの歪になってる空間にも一緒に入ってもらうし、必要なら移動もしてもらう。往復を考えると結構な距離だけど、大丈夫よね?」
「1区画分引っ張り出す度に誘導しながら歩けってことだな」
「ええ、その方が安全でしょ? それとも、自信がないかしら?」
「移動だけなら問題ねぇよ。隣り合う区画なら空間も繋がってるだろうから、誘導も出来るはずだ。だが、言った通り待機させている間の保証はできねぇ。外から連中を掌握できねぇのと同様に、中からも。外に置いた人形の制御は不可能だ。俺が誘導のためにあの中に入るなら、外の連中は勝手に動き出すかもしれねぇが、どうする?」
「そこは僕が影を縛るのはどうですかね?」
ケイトと一緒に近付いてきていたヨハンが手を上げる。
「それでも動く奴は俺様と・・・キューティーの魔法盾で無理やり抑える。それでもどうにもならなそうなら、いっそこの教会から締め出すつもりだ」
ジェイドは後方の扉を指し示しながら言う。
「ユノ。あそこは開けられるのか?」
「はい。ですけど・・・開けると今度は閉めるのが難しくなるとは思います。結界としてもそうですが、物理的にも」
結界は空間を区切る必要があるからな。
制御できない人間を締め出すために扉を通せば、また中へ押し入ろうとするのは必然。そうなれば扉は押し合いになり、境目を作り出すことが難しくなることで、結界の張り直しや維持が出来なくなると。
だがまぁ、締め出し自体は出来るなら有効な手ではある。
そのための人手は足りるだろうしな。
「中の空間を辿る方法は考えてあるのか?」
「それは私が、リミアちゃんと一緒に出来ると思う。やり方は単純だけど、リミアちゃんに魔法で全体へ水を流し込んでもらって、そこに私の雷魔法を当てれば魔法の伝わり方が違うはずだから、それで空間の先が繋がってるかを確認できる・・・と思う」
水と雷の反応で―――か。
上手くやれば視覚的にも確認できそうだな。
歪んじゃいるが全く見えてねぇわけじゃねぇからな。法則性も探せば見つかるかもしれねぇ。
「残りはあの兵隊を誰が見るか、だな」
「今のままじゃ駄目なのかしら?」
「今の統率は感覚を繋げた結果だ。連中の誘導のために中に入ればそっちも途切れるはずだな」
「そんな・・・困ったわね」
「そうでもないさ。あたしの存在。忘れてもらっちゃそっちの方が困るよ」
想定から抜けが出たエイラの困惑を塗り替えるように、名乗り出るケイ。
「これでも一応、あの連中のお目付け役やってんだよ。部隊としての運用は出来なくとも、命令を聞かせるぐらいならなんとかなるよ。やることっても、あの門を守るくらいだろ? それも押さえつけるだけなら・・・あの人数だ。なんとかさせるよ。ビビッて敵を殺せなかったアンタらのためだ! とでも言えば一発さ」
笑って答える当たりに姉後肌を感じさせる。
「それじゃあこれで―――」
「いや、駄目だな」
――決まりと、言いかけたエイラを止める。
様子のおかしい人物がいるからだ。