軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

結策1

「言われた通りにやってみたんだけどね。確かに見張りの交代時間には差があったよ。一番早かったのは西側、その次が北、その後に南、最後が東だね。旗上げで観測だなんて、普段からこんなことやってるのかい?」

検証の結果をケイが持ってくる。

見張りの交代に時差があったことにより、能動的な支配体系が敷かれていることも確定。リミアの記憶にあったこの空白は、領軍の施設と断定できる。

「旗上げは古いやり方だ。流石に軍部じゃもっと正確性のある情報を掴むために魔法や魔法道具を使うだろう。冒険者でも稀に使う程度。今回みたいに、相手を刺激したくない時か魔力の節約をしたい時ぐらいだ」

「旗の方が目立つんじゃないかって思うんだけどね?」

「よっぽどじゃなけりゃ魔力反応の方が見つかりやすい。そういう魔法道具が溢れてるからな」

「そういうもんかい? けど、ウチの連中。元漁師が多いからか、旗を上げるなんてことを楽しんでやれてたみたいで、ちょっとは大人しくなったよ。そうはいっても、近日中に動いてもらわなきゃ色々と限界なのには変わりないけどね」

敵を目と鼻の先にしての待機は神経を擦り減らす。

生死、勝敗、備蓄、功績、展望、ありとあらゆることが気になるからな。

「わかってる。最終確認みたいなもんだ」

「へぇ? 何かを待ってるって聞いてたんだけど、もういいのかい?」

「待ち望んだほどの情報じゃねぇが、なんとか使えそうな策は捻り出せた。これ以上は時間切れだ。まだ・・・なんざ言ってられねぇだろ?」

「その策ってのは、今訊いても教えてもらえるのもんなのかい?」

「役者を揃えてからならな」

そうして全員に声を掛けて策を説明した。

「僕らが―――」

「―――結婚、ですか・・・?」

まず初めに切り出したのはヨハンとリミアの偽装関係。

「振りだけでいい。領主の様子を確認しておきたい。その周辺に教祖がいるかどうかもな」

「そのためだけに結婚を偽装するんですか? 普通の帰省じゃ駄目な理由とかってあるんですかね?」

「ただの帰省じゃ俺達がリミアに帯同する理由がねぇだろ?」

「それは結婚の報告でも変わらないと思いますが・・・・・・」

「そうでもねぇよ。俺はともかく、ユノを連れていける」

「私がっ⁉ ・・・なにをすれば良いのでしょう⁉」

「落ち着け。加護教の関係者として振舞えればそれでいい。ようは不信感を持たせて相手の動きを見たいだけだ」

「父の動きを――ということは、ユノさんを見て望福教の誰を連れてくるか、あるいは、それ以外の動きを見せるか。そういうことでしょうか?」

「まぁそんなところだ。精神操作の有無だったり、親切で余計なことをする部外者にどんな対応を取るか。その正気度を確認しておきたい」

「正気度・・・父の?」

「あぁ。狂気に染まってるなら、途中じゃ止まれねぇかもしれねぇだろ?」

「・・・・・・ありがとう、ございます」

騙されていたことを知って尚、もう戻れないと進み続ける人間は多い。

そういう思考になっていないか、なっていた時の対処を考えての確認だ。

終着点がどこなのか、わかればいいんだがな。

「それはいいんですけど、先生が一緒に来る理由はどうなんです? 先生にはユノさんと違って、僕らについてくる理由がないですよね? それとも、僕らだけでそれをして、先生は別のところから見てる・・・とかですか?」

「俺は・・・ヨハン。お前の保護者として帯同する」

「僕のですか⁉⁉」

「学園が休みになってる今は実態こそねぇが、一応。俺は貴族学園の教師って立場を持ってる。それとルーヴェント領の有様。出来損ないとして勘当された事実を語り、学園の教師に相談した経緯とさせてもらう。2人ともまだ 未成年だからな。相談相手としては妥当だろう。過去を掘り返すのはヨハンには辛いかもしれないが・・・協力して欲しい」

「そんなの構いませんよ‼ でも、大丈夫ですかね? 有様って言うなら、現状は―――」

「俺達で壊滅させたが、そのことを知ってりゃぁ、お前のことを次期領主と認識してるってことだ。多少強引でも結婚のためだったと言やぁ家督の簒奪ぐらい共感を得られるだろ。なんてたって、本人もそうしたんだからな」