軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

一本道…

「それなら・・・母の、加護Lvの低下という現象は・・・」

「望福教がルーフロンス領の状況をどうやって知ったのか? ここまでの話を一貫させるわかりやすい答えがある」

「初めから意図されていた・・・つまりはそういうことでしょうか?」

「こうなると、な。他の可能性を探すより、よっぽど納得のいく話だ」

そもそも薬の開発方法が罠だったとしたら。

用意周到にも程あるが、思い付きや偶然で逃げ込んだ場所じゃねぇことになる。そう考えれば必然、警備の厳重さや情報の漏れなさにも説明がつく。

ルーフロンス領の話を出したのは元信者のマルチナだ。

不正の話はどっちが先か知ったことじゃねぇが、そういう下地があったんだろう。修道女同士のいじめみたいな、しょうもない話もあったようだしな。

「ですが、それでは⁉ 父は!」

「何も知らないまま、利用されたってことになるな。今も尚、か・・・」

「そんな・・・そんなことのために母まで・・・?」

「運悪く選ばれただけ・・・」

あるいは―――そのために送り込まれた最初の信者だったかも知れねぇが、あえて言葉にすることはない。

「けど、本当にそうなら俺様達だけじゃどうしようもねぇんじゃねぇのか? 100人ちょっとで要塞を攻めるようなもんじゃねぇかよ!」

「その上、領民まで命令通りに襲ってくるんじゃ潜入なんてのも無理よね? ここは素直に応援を呼んだ方がいいんじゃないかしら?」

「でも、どこから? 皇都も今は戦場になってるはず。時間を掛ければ皇都の守りが堅くなることはわかってての電撃戦なんだから、すぐに応援なんて出せないんじゃ・・・?」

「でしたら! 皇都の皆様に奮闘頂いて、ここから増援が出ていくのを待つというのはいかがでしょう?」

「悪くはないかもね? ここが敵地じゃなけりゃあね。ウチの部下100人は軍勢として見るなら居ないも同然だけどね。集団って意味じゃ小さな村と大差ない人数だよ? そんなのをこの都の近くで生活させ続けるなんて無謀もいいとこさ。すぐにバレちまうよ。そんな訓練もさせちゃいないしね」

「少し離れた場所ならどうですか? あんまり近いと攻勢に出た時に呼び戻されそうじゃないですか? そうならない距離で見送ってからなら、確実に戦力は減るはずですよ!」

「お待ちください。それでは移動している間に万全を期されてしまうのではありませんか? 戦闘のことはあまりわかりませんが、不意の対処と言うことでしたら私にもわかります! 予期していれば、多少の事には動じません。準備をされているのなら、結局は同じなのではないでしょうか?」

それぞれが口々に案を出す。

危機を読み取り、それを打開するための策を欲している。

その上で誰かに任せるのではなく、自発的にどうすればいいか? を考え了承を得ようとすし、意識のすり合わせを行うことで、より確かなものへ高めようという気概を持つ。

成長を実感し、深化を予感させる。

いいことだ。

いいことだが、ついていけない奴もいる。

「・・・・・・・・・」

深刻な顔で黙ったままなのはリミアに他ならない。

リミアにとっても、父の手記は大きな原動力になっていたはずだ。

教会について知りたがったのも、その内容があったから。

母の身に起きたことの真実も知りたかったに違いない。

それでも、こうも急に。

なにより予想だにしなかった方向での発覚。

全てが仕組まれていたかもしれないという、人生が懸かった疑惑。

自身の存在意義や両親の思い。淡く抱いた願いや色濃く刻まれた覚悟さえ。

少女が受け止めるには重過ぎる。

この溝を埋めることなどできるのだろうか?