軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――ダミアン7

私の子供は無事に生まれた。

娘だった。

名前はリミア。

私達の名前からつけたのだと彼女に聞いた。

それからは目まぐるしい日々が続いた。

まさか子育てがこれほどに忙しく、難しいことだなどと・・・知る由もなかったからだ。

乳母やお世話係はもちろんいたが、それでも自分の子供だ。なにかあれば、知らぬふりは出来ぬもの。

夜泣く度に目が覚めた。

彼女も同様に疲れた顔をしていたが、その笑顔は本物だった。

娘をあやす妻がこの上なく愛おしかった。

この幸せを誰かに感謝したいと思う気持ちも理解できた。

神とはこうして生まれた概念のだろう納得も。女神が多い理由さえ。

しかし、私は神を排斥した身。感謝を示すなら偶像ではなく現実の相手であるべきだろう。

この想いはリーリャへ。そしてその周囲の人間へ。

一々、祭りの如く騒ぎたくなる衝動をどうにか理性で留め置きながら、淡々と政をこなす。

気付けば数年の月日が消費されるほど。

何気ない毎日は高速の様相を呈した。

リミアが幾つかの言葉を覚えた頃、その1つが耳に入った。

曰く『かみさま』。

誰に聞いたのか、それとなくあぶり出した。

驚くことに、その概念を教えたのは妻のリーリャであった。

なぜ・・・? 真摯な心持ちで向き合う。

「私は女神さまを恨んではいませんから」

優しい笑みを携える彼女を責める気にはならない。

私との出会いさえ、彼女にとっては神の思し召しなのだという。

この感情が誰かに作られたものであるはずがないというのに―――。

宗教とは、こうまで人を歪めてしまうのかと。

自らというもののほとんどを失ってしまった彼女を見て、嘆いた。

一方その頃。望福教は地盤を形成し始めていた。

教祖という存在を私は知らないが、確かにどこかにいるらしい。

数人の領民はどこかで教祖に願いを叶えて貰ったのだそうだ。

ついでとばかりにそのどこかから、住民も引き連れてきていた。

減る一方だった領民が増えるのはいいことだ。

反発の声が予想より小さいのは喜ぶべきか。それとも危ぶむべきか。

だが、神の概念に触れた娘を引き戻すには役立つだろう。

我が子の成長よりも早く、大きくなって欲しいものだ。

たとえそれが、偽りに塗り固められた欲望の成れの果てであっても。