作品タイトル不明
温情に返す因果
「そんなのって・・・・・・」
「お前がここを離れて数年つっても、アイツらにとっちゃ人生の大半だ。外を知る機会もなかったなら、仕方ねぇ話さ」
「でも、なんのために⁉」
「それを調べるんだろ? つっても―――」
上から見る限り、どこを見ても警備の眼が光ってる。
「忍び込むのは難しいかもな」
「じゃあ正面から乗り込むんですか?」
「そんなわけねぇだろ。あくまでも教祖の居場所を調べるのが第一だ」
「助けないんですか⁉ あの子達を!」
「言ったろ? アイツらは自分達の境遇をおかしいなんざ思ってねぇ。命令されれば俺達を敵として認識するだろうさ。助けるなんて言うのは傲慢だ」
「だって、そんなッ⁉」
「言いたいことはわかる。けどな、助けたいって言うなら、それそこ基を断つしかねぇんだよ。この場合は――」
「望福教を・・・ですか」
「そういうこった。回り道かもしれねぇが、他に道はねぇ。問題はここにいる子供達だけじゃねぇのは来る途中にしっかり見て来ただろ? 親やその他も考え方から替えられてるんだ。こっちの価値観の方が正しいなんて一方的に押し付けたって、反発されて終わりだ。やるべきは奴らが信じてるものが間違ってたって証明すること。それを受け入れさせることだ」
「受け入れ・・・られなかったら?」
「弾圧か排斥か。いずれにせよ、隔離するしかねぇだろうな。順応できねぇ奴から消えていくんだ」
「そんなの、救われないじゃないですか・・・」
「俺達は神じゃねぇからな。全部、なんて都合よくはいかねぇよ。それに、救おうだなんて思ってもいねぇ。狂った常識を破壊するだけだ。それで勝手に救われる奴はいるかもしれねぇが、そんなのはただのおまけだろ」
「でも、先生は僕を助けてくれたじゃないですか⁉ 僕と同じように――」
「1人1人、全員の面倒を見ろって? そんな時間はねぇんだよ」
一時的に教祖を追い払ったとして、その元凶を叩かずに被害地域に尽力したところでなんになる?
教祖が力をつけて戻ってきた時、抗えるのか?
生まれながらに刷り込まれた常識を綺麗に洗い流せるのか?
そのために掛かる時間は?
その間に別の場所で被害者が増えることは許容するのか?
全ては大人の理屈なのかもしれねぇ。
目の前で起こっている間違ったことをどうにかしたい。そんな当たり前の感情さえ、切り捨ててしまえるのは汚い大人だからか。
だが、感情ではなく理屈を優先しなけりゃならないときはある。
それでも、感情を優先したいなら、
「どうしてもって言うんなら、お前自身が領主になればいい。親兄弟を蹴落として、この領の実権を手に入れれば。失敗作とされた子供達を正式に支援できる。この件は国王陛下直々の願いだ。解決できれば国からの手厚い補助も受けられるだろうさ」
自分で責任を取るしかねぇんだ。
「もし、僕がそうしたら・・・先生も力を貸してくれますか?」
「やることが終わったらな」
「そのやることっていうのは、復讐・・・ですか?」
「そうだ」
「それは他のなによりも、優先されるものなんですか? あの子達よりも」
「―――ああ、俺にとってはな」
そう、だから責任は俺が取る。
必ず・・・復讐を果たすという形で。