軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

子供のパート1

「ま、まってよ‼ ライザード・・・君?」

「この僕を君呼びとは不敬なんじゃないでしょうか?」

「えっ⁉ じゃ、じゃあなんて呼べば・・・」

「この僕は未来の皇王! 殿下と呼ぶのが普通だと思うのですが?」

「でも今後ずっと、教室でも殿下って呼ばれ続けるのはほら・・・仲間外れみたいじゃない?」

「この僕にとっては当たり前のこと!」

「当たり前なんだ・・・・・・」

教員室を飛び出したライザードの後を追っていたバロンは、どうにか途中の廊下で呼び止めることに成功した。

「それで? いったい何のためにこの僕の後を追ってきたのか・・・その理由、聞かせてもらいましょうか?」

「えーっと・・・その、成り行き・・・かな?」

「そんな理由で・・・」

「う、ううん! もちろんそれだけじゃないよ? 叔父様が言ってた理解の重要性だって! その、ほら! ある、から・・・・・・」

「その様子だと、本当はわかってないのでしょうね」

「それは・・・うん。本当はあんまり。そのことを叔父様に詳しく聞こうかと思って教員室に行ったんだけどね」

「ならば、この僕を追わずに質問すればよかったのでは?」

「そうなんだけどね。なんだか忙しそうだったから・・・」

「空気を読んだ・・・というとですか。浅はかですね」

「なんだか凄く馬鹿にされてる気がする」

「凄くというのは主観に過ぎませんね。あながち間違ってもいませんが」

「やっぱり馬鹿にしてるんじゃないか・・・」

バロンはまだまだ子供だ。

表情や態度から、相手がなにを考えているかの予想などわかりはしない。

だが、軍隊を率いる家に生まれたこともあり、場の緊張感くらいは見て取れる。

それは確かな経験からくる能力であり、勘違いであることはほとんどない。

しかし、ライザードはそれを無駄な気遣いだと切って捨てる。

「本当に必要なことならば誰かに遠慮などしてどうするのですか? 自らの成長こそを尊重せず、諦めた先にあるのは後悔と敗北だけですよ」

「言ってることはわかるけど、僕の話は別に今日じゃなくても・・・」

「そうやって、後から取り戻そうとするから余計な労力を必要とするんです。時間は貴重な資源なんですよ? 誰かと取り合っても手に入れなければ」

「そういう君も。こうやって僕と時間を無駄にしてるんじゃない?」

バロンの些細な逆襲も、はぁ・・・とため息交じりの呆れ声で返される。

「これは教育ですよ。この僕が通う教室で、この僕ほどではないにしても、爵位の高い貴方は、なんの因果か。この僕を受け持つ教師の血縁でもある。そんな貴方に、この僕との接し方をキチンと教えておけば、今後教室で同じような手間を省けるでしょう? 貴方に倣えというだけでいいのですから」

「僕がみんなに教えるってこと⁉」

「習えではなく倣えです。貴方の言動を見て真似をしろという意味ですよ。貴方は本当に貴族としての教えを家で受けてから学園へ来たのですか?」

「実はあんまり・・・」

「確かグラーニン辺境伯家でしたね? 教育係は居なかったのですか?」

「居たよ! 居たけど・・・それどころじゃなかったって言うか・・・」

「教養よりも優先すべきことなど、この僕からすればないように思うのですが、一応聞いておいても?」

「人を殺す方法というか、その意味や意義かな? ま、まぁ今でも正直よくわからないんだけどね・・・!」

「なぜそんなことを・・・と思いましたが、そうでしたね。貴方はあの辺境伯領の跡継ぎ。であれば、あの祭りに参加したのですね」

「よく知ってるね? 叔父様なんかは子供が見るもんじゃねぇって言ってたのに」

「この僕は未来の皇王! 国のことはなんでも知っていて当然でしょう!」

胸を張り、鼻高々に自慢するライザード。

けれど、瞬く間にその顔は曇る。

「良かったら君の・・・殿下のことも教えて欲しいな。どうしてそんなに皇王様になりたいのか、とか」

「皇族に生れたのならば、皇王になりたいと思うのは何もおかしくないでしょう! 特別な理由などありませんよ」

「でも、殿下のお父様はそうじゃないんでしょ? だったら理由だってあるんじゃないかな? って僕は思うんだけど・・・違う?」

バロンの台詞にライザードは、ほんの一瞬歯噛みをし、

「・・・どうしてそんなことだけ―――」

小さく、聞き取れないように呻いた。