軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新たになる約束

「俺様達との約束はどうするつもりだよ・・・」

大人同士のくだらないやり取りが終わり、解放された俺にジェイドが話しかけてきた。

「約束?」

「もう忘れやがったのか⁉ 皇都で待ってるっつってたじゃねぇか‼」

そう責めたてるように言われて思い出す。

「ああ、なにか別の仕事でも探さねぇとな?」

皇都のギルドマスターをやっているブロンソン教官には悪いが、職員としての立場を追われた俺はギルドでの仕事は出来ねぇ。

皇都に残るならなにか別の仕事でもして金を稼がねぇと・・・。

そんなことを考えながら適当に返す。

「そんなもん納得できるかよ‼ 俺様達となんの関係もなくなった後じゃ、認められたって意味ねぇんだよ‼」

それに対して、ジェイドは怒りを隠さない。

「勝手に辞めて、それでもいいだろだなんて! 認められる分けねぇだろうが‼ そんなやつに認められたって! 納得なんかできる分けねぇだろ‼ 目標だなんだ言って、手本みたいに振舞っておいて‼ それで面倒になったからやめますなんて! なに言ってんだよ‼ 最後まで格好よく居ろよ‼ 憧れで在れよ‼ 指標に成れよ‼ 勝手すぎんだろうが・・・辞めるなんて、言うなよ‼」

その言葉は酷く正しい。

俺は勝手だ。

自分勝手だ。

だが、

「その考えもお前の勝手だ。違うか?」

引き返す道はねぇ。

なぜなら、それも格好が悪いからだ。

格好よく在れというのなら、最早俺に道はなく、立場さえもありはしねぇ。

「それのなにが悪いんだよ‼」

俺は俺の考えで行動をした。それを非難するのは構わねぇ。その権利は誰にだってあるからだ。

しかし、誰かの行動が自分の考えと違ったからと言って、自分の考えを押し付けていいことにはならねぇ。

例え、その言い分がどれだけ正しかったとしても、だ。

これは爵位の高い貴族にありがちな問題だ。正しければなにを言ってもいいと。そうすることで、自然と自分に都合の良い結果になってきた。

ただそれは、爵位が力になる世界だけの話だと・・・そんなことは初めに教えておいたはずだな。

「悪くはねぇよ。俺には関係がねぇってだけでな。お前が駄々をこねたところで、なにもかわりゃしねぇだけだ」

「そういうところが気に食わねぇんだよ・・・っ‼」

「だから、新しい約束をしようじゃねぇか」

「は・・・? なんだよ、それ」

すねたような態度を取っていたジェイドが急な提案に呆然とした後に返す。

「こっから帰った後も。俺は皇都で、お前が認めさせたくなるような存在で在り続けてやるよ」

「・・・・・・―――なんだよ、それッ!」

同じ台詞でも表情が違う。

随分、馬鹿を見るような顔で笑ってくれるじゃねぇか。

「さぁな? 俺がどんな存在になってるか・・・期待して待ってろ。そんで、気が向いたら帰って来い」

「そんときには俺様の方が有名になってるぜ‼」

「だといいがな?」

「うるせぇ! そっちこそ期待して待ってやがれ‼」

言いたいことだけ言って、ジェイドは颯爽と背を向けて歩き出す。

その行く先には5人の仲間達が。

ジェイドは振り返らず、5人は一礼してその後ろへ続く。

もうすっかり馴染んだアイツらは、この山でどんな冒険をするんだろうな。

けど今は、人のことより自分のことだ。

取り敢えず継続的な収入が必要になる上、住む場所も探さねぇと。

などと考えて、

「そういえば、建て替えた金の残りだが・・・」

「返すつもりはない―――などと、野暮なことは言わん。が、優遇もできん。全額までにはまだ時間がかかるぞ」

何事もなかったかのようにヴィーちゃんが応答するが、やっぱ聞こえてやがったか。

っつーことは、さっきまでのジェイドとのやり取りも筒抜けだったわけだが・・・まぁ、あんだけ叫んでりゃ仕方ねぇか。

「いや、その金はもういい。ここの復興にでも回してくれ」

「なに? こちらとしては助かるが・・・どういうつもりだ?」

「別に。立つ鳥跡を濁さずだ。もう金に困ってるわけでもねぇからな」

この霊峰から離れて1年。

もうすぐ新たな春が来る。