作品タイトル不明
side――栄光ある騎士団3
「こんなに目立つ奴がいるんだぞ⁉ 他の冒険者が前を通るときに声ぐらいかけなきゃおかしいだろ⁉ どう考えても使うべき戦力だろ‼」
ジェイドに指をさされ自分が悪いのか? というようなジェスチャーをするワイバーンにエイラが気にしないでと伝える。
ついでに言葉の最後の部分が気に入ったのか、胸を張ってご満悦でもある。
「なのに、まるで俺達なんか存在してねぇみたいに・・・今だってそうだ。これだけ騒いでるのに、あのドラゴンですらこっちを見ねぇ」
その言葉に一同全員がドラゴンの方を見やる。
「確かに・・・ジェイド様のおっしゃる通りですわ」
「そういえばそうね? でも待って! 私がワイバーンを治療している途中は何度かドラゴンの視線を感じたわよ?」
少しさかのぼってエイラが思い出す。
間違いなく、あの瞬間まではドラゴンから認識されていた。
「その後であったことに・・・なにか心当たりはない?」
「その後って言ったらもう・・・」
ケイトに聞かれてエイラはヨハンへ顔を向ける。
「やっぱり僕、ですか?」
「そうね。ジェイドとキューティーが飛ばされてきた時はクライフさんから無理はするなって言われたのよね」
「でも! 確かに僕は影が薄いとか、居たんだとか、学園ではよく言われてましたけど! 冒険者になってからはそんなこともなくなってきてて・・・それに、皆さんだって僕のことちゃんと気付いてるじゃないですか! なにより僕だけならまだしも、皆さんまで影が薄くなるなんて・・・そんな!」
「それはそうなのよね。でも他に思いつかないのよ」
狼狽えるヨハンの訴えもわからなくはないが、だったらなにが原因なのかエイラにはもう他に候補がない。
「お待ちになって? 私、その瞬間のことを思い出していたのですけれど・・・ヨハンから声を掛けられるまで、あなたがそこにいることに気付いておりませんでしたわ!」
そういえばですが、なんなら少し驚いていまいたわ! と付け加えるキューティー。
「ええ⁉ いや、でも僕はなんにも・・・‼」
「なら試してみればいいでしょう?」
そう言うとリミアは、また首をかしげていたワイバーンへ突撃の指示を出す。
「グルルァ‼‼」
それを見たワイバーンが低空を滑るように飛びながらドラゴンへ仕掛ける。
《っ⁉ 愚か者め! まだどこぞに潜んで居ったか‼》
ジェイド達から――正確にはヨハンから、それなりに離れた地点でワイバーンはドラゴンに気付かれた。
その反応を見た瞬間にワイバーンは急上昇。跳ねるように顔面を目掛けて飛んでいく。
が、ドラゴンは冷静に首を反らして躱し、体を一回転。上空にいるワイバーンを尻尾で叩き落した。
「グギャゥ――ッ⁉⁉」
《ふん。瓦礫にでも埋もれて居るが良いわ》
「「「「――ッ‼‼‼」」」」
その言葉に全員が驚き、確信した。
ワイバーンは地面に叩きつけられ数メートル弾んだのち、ジェイド達の側で”地面の上に”横たわっている。
そう、瓦礫になど埋もれてはいない。
つまりドラゴンからは、ワイバーンを含めた全員が見えていない‼
「それはそれとして‼ リミアも治療手伝いなさい! ケイトもよ‼」
「私も⁉」
体を張ったワイバーンを労わる様に! とエイラはリミアを叱りつけ、ケイトはそのとばっちりを受けることとなった。
そして、治療をしながら作戦を立てる。
いざという時、ここぞという場面のために。