軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

side――ゼネス2

「で? 結局のところ。話ってのはなんだ?」

パチモン騎士に味方するみたいでなんだが、俺としても一生話が進まねぇのは困る。

こんなところに長居はしたくねぇ。

「っと! ンッンン‼ 貴様に確認しなければならないことがあったのだ」

一旦。咳払いを挟んでどうにか雰囲気を出そうとしているようだが、流石に無理があると思うぞ?

未だに調子に乗ったままのが周りをうろちょろしてるからな。

「その確認しなければならねぇことってのは?」

「とある筋から貴様が単独でワンダーゴーレムを討伐したという報告が入っている。それは本当か?」

「事実ではある」

「含みのある言い方だな?」

「実感がねぇからな。偶然の産物っつーか・・・意識を失ってる間になんか勝ってたっつーか・・・おい、そんな眼で見るんじゃねぇよ‼ 別に、そこのヴァーちゃんみてぇに調子こいてるわけじゃねぇんだからな!」

おいおいその歳でなに言ってんだよ? みたいな目で見られるのは流石に心外だ。

年甲斐もなく、真面目な話をしようとしている奴の隣でバーちゃん! バーちゃん! と騒ぎ立てる自称師匠のそうな存在じゃぁねぇんだと。指摘したつもり・・・だったんだが。

「貴様にバーちゃんなどと呼ばれるほど歳喰ってないわ‼‼‼」

思いのほか大絶叫で反論されてちょっとビビっちまった。

いや、でも年齢で言うならたぶんアンタの方が年上だぞ? そう思ったが、気にしてるのかもしれねぇしな。なんて言うべきだ?

確かに見た目は若い。20代と言っても通じるだろう。

それは嘘じゃない。

だが、個人S級ともなれば武勇伝は聞こえてくるもんで、10年前にはすでに”暴虐の螺旋”の名は知れ渡っていた。もちろんその所業も。

仮に、本当に俺より若いと想定した場合。

当時20にも満たない女があちこちで、容赦のない暴力と嗜虐を混ぜ合わせたような竜巻の魔法を振り回し、人やモンスターをボロ雑巾にして回っていたことになる。

そんな恐ろしい事案があるか?

もしあったとして、そいつを見た感想が”暴虐の螺旋”如きで収まるだろうか?

俺なら”血しぶきの悪魔女”とか”気狂い微塵切り赤竜巻”とか、そんな名前を付けると思う。

少し悩んだが、

「俺は今年で29だぞ?」

俺は自分の年齢を告げることにした。

「なっ⁉」

そして、この反応を見る限り。やっぱり年上で間違いはなかったらしい。

良かった。頭のおかしい魔女はいなかったんだな。

「おい! 貴様の弟子なのだろう⁉ 特徴こそ出てないハーフエルフとか、亜人とかじゃないのか⁉」

「僕のこと。変人かなんかだと思ってない? あの子は普通の人間だよ」

「貴様が変じゃなかった事など無いだろうが‼」

取り乱しすぎじゃねぇかと言いたくなるほどの鋭い返し。

しかし、その意見には俺も同意する。

だからこそ、俺はそれを師匠とは認められないのだしな。

認めちまったら、俺の中でなにかが終わる気がしたからだ。

「だったら尚のこと見逃せなくなった」

王座に座るギルドマスター(ヴィーちゃん)は眉間を手で押さえつつ、はぁーと深く息を吐いた後、

「ゼネス・・・いや、ゼネス・C・グラーニン。貴様を個人S級冒険者とする! これは命令だ。意義や反論は認められないものと知れ‼」

とんでもねぇことを言ってのけた。

「はぁ?」

「はぁ? ではない! ワンダーゴーレムをソロで討伐するような輩を野放しにしておけるものか‼ しかもすでに引退済みとはどういうことだ貴様‼ ややこしいことをしてくれおって‼ 貴様の身元まで調べることになっただろうが‼」

ついには立ち上がり、地団太を踏むように自身の苦労打ち明け喚くが、ちょっと待て。

「なぁヴァーちゃん。これはアンタの差し金か?」

「私は今年でまだ32だ‼ 貴様にバーちゃんと呼ばれるほど歳は離れてない‼ せめてヴィ―ちゃんと呼べ‼」

「いや、呼ばねぇよ! って、そうじゃなくて・・・」

あまりにも話が噛み合ってないな。

「俺が話しかけてんのはアンタじゃなくて、その隣にいるヴァイパー。自称師匠の方だ」

「あー‼ また自称ってつける! いい加減認めてくれてもいいじゃないか‼ ねぇ! どう思う⁉ ヴィ―ちゃん‼」

「貴様はヴィ―ちゃんと呼ぶな‼ というか、こいつはヴァイパーではなくミスティなのだが・・・?」

「そう言われたところで、俺にはヴァイパーと名乗ってたからな。そもそも、俺がわざわざヴァーちゃんっつったのは、さっきの会話でそう呼べって催促してたからだ。それを無視すると鬱陶しいからな」

どう鬱陶しいのかは説明するまでもないだろう。

「あれぇ? そうだっけ?」

「き・さ・まの、話だろうが‼」

「あぁあ⁉⁉ いたいいたい⁉ 痛いよ⁉ ヴィーちゃん‼ ヴァーちゃんの頭がパ―ちゃんだよ⁉」

「まだ余裕があるようだな? このまま頭を握りつぶしてやろうか?」

両手でヴァーちゃんの頭を鷲掴みにするヴィーちゃんと、ジタバタと暴れてヴィーちゃんの手から逃れようとするヴァーちゃん。

そんな姿を見て、

「いい加減。本気で帰るぞ・・・」

1人離れた場所に座っていたパチモン騎士が呟いた。