軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

知らぬは現在と過去

「・・・というわけで、彼が気付いた現象に”超越”という名前を付けて、それを基にした研究を始めようかと言ったところだよ。そんな場に、君達を呼んだ方がよかったのかい? そうすれば、なにか。別の視点から意見でも貰えたかな?」

事のあらましを説明し終え、自らの潔白を主張しつつ、勝手なことを言ってきた相手を窘めるような態度で聞き返すジーナ。

こうまで言われてしまっては、クライフ達からの反撃は難しい。

なぜか? などとは言うまでもなく、クライフ達が研究者ではないからだ。

その場に居合わせたとして・・・役に立つどころか、昔話に花を咲かせて時間を無駄に浪費していたことだろう。

「それでケイト? あの方の言葉に嘘はありませんの?」

誰も言葉を返せない中、キューティーがケイトに確認する。

「ええと、私はその時忘れ物を取りに行ってたから・・・」

「ああ、あの時ですの・・・いえ、あの時のことは忘れて欲しいですわ。って⁉ ちょっとお待ちなさい? あの時はド深夜ではありませんの⁉」

ふとした記憶だったが、それが間違いなく夜分遅くであったことをキューティーは覚えていた。

「いい歳をした男女が夜分遅くに2人きり・・・しかも、そのうちの片方が変態だとおっしゃるのならば、なにが起きていても不思議じゃありませんわ‼」

「だから私は変態じゃないといっているだろう⁉」

「それが証明できていないのですから仕方ありませんの‼ それに確かあの後、ケイトは暫く宿で仮眠を取っていたはずですわ‼ だから十分に時間はあったということですの‼」

「けれど、それならばケイト君が気付くはずなんじゃないのかい⁉ その後には合流しているのだからね‼」

ジーナは反射的に理論武装を試みるが―――。

言われて、ケイトはジーナ達を待たせたままの研究所に戻ったところで目の当たりにした光景を思い出し、口に出す。

「そういえば、ゼネスさんがジーナ様を押し倒してましたね」

「それみたことかあああああ‼‼ ですわ‼‼」

ケイトの言葉を聞いて。キューティーは拳を握り高らかに吠え、クライフ達は頭を抱えてそれぞれに呟く。

『あぁ・・・ゼネスさんが毒牙に・・・』

『アイツから押し倒すって・・・そんな・・・』

『いえ、ゼネスさんが自身で選んだことなら私は・・・』

『引退して身を固める気になったのか? いや、だとしても相手が・・・』

全員が全員、己が内側に語りかける姿を目にしてジーナが嘆く。

「なぜ私が押し倒されているのに、私が変態だという評価に変わりがないんだい⁉ おかしいだろう⁉ 私は襲われた側になるんじゃないのかい⁉」

「どうせそうなるように仕向けたんでしょ。そうじゃなきゃアイツから手を出したりなんかしないわよ」

「そうですね。精神系の魔法をかけられたのかも知れません。幾らゼネスさんでも、研究所を丸々使ったような仕掛けだと抵抗できないと思います」

「でしたら、ケイトさんを研究所へ連れて来たことも説明できるでしょう。意のままに操り、証人にするためだったと」

「確かに。初めから1対1だとゼネスに警戒される。それを加味して彼女を引き込み、途中で退出させることで分散していた魔法をゼネスへ集中する。不意を突かれたゼネスは対応できずに・・・」

「君達・・・私の反応を見て楽しんでいるね?」

なんとなく察しはついていたが、悪ノリを隠さなくなってきたクライフ達にジーナがチクリと刺す。

「せめてもの意趣返しさ。俺達のところへは会いに来そうにないからな」

「帰りにふらっと顔を見せに来るかもしれないだろう? それと、一応言っておくのだけれど。彼は私を押し倒そうとしたわけではないよ。私との実験で魔力を何度も回復してもらったのでね。魔力酔いで意識が保てなかったようだ。結果として私に寄りかかり・・・私は力持ちではないからね。押しつぶされていたところをケイト君に助けて貰ったんだ」

そうだろう? とジーナから視線を送られたケイトがブンブンと頭を振って頷く。

「なんだ・・・そうでしたの。つまりませんわ~・・・」

その様子を見てキューティーは一際残念そうにしていた。

「けれど、君達としては喜ばしいことだろう? 彼は君達と袂を分かった後も。自分の道を歩み、そして強くなろうとしている。それこそが、君達の望みだったはずだ」

「そう、だな。例え今さらでも。そうなってくれれば・・・・・・」

正直、色恋の話になど微塵も興味のないジェイドは、ほとんど話を聞いておらず、ジーナの問いかけにクライフ達がなぜ遠い目をして答えているかも理解は出来ていない。

だが、

「アイツが強くなったら嬉しいのかよ?」

耳に引っ掛かった言葉が気になって聞き直す。

「ああ、嬉しいよ」

そう答えるクライフ表情に偽りはないように思えた。

だから、

「アイツのレベル上がってたぞ。100になってた」

隠さず、ただ本当のことを教えた。