軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

収拾つかず

「すまない! 待たせた!」

扉を開けるなり開口一番に謝罪をする男。

それを先頭に3人の男女が酒場へと入り、そのままジェイド達と話していたおっさんの近くへとやってくる。

「待たせすぎだ! ばかたれ! なにかあったのか?」

「帰の道で満身創痍のパーティーを見かけたんだ。それで・・・」

「面倒を見てたら今になったって?」

「すまない」

申し訳なさそうに頭を下げる男は見た目は大人だが、態度は大人らしからぬというか、少しばかり優しすぎるような気がした。

もっと言い分なりあってもいいと思うのだが・・・と、ジェイド達は身の回りの大人と比べていた。

「まぁ・・・無事ならそれでかまわんがな。3日も待たされる身にもなってほしいもんだ。こっちはてっきりなにかあったんじゃねぇかって・・・」

「本当にすまない。話を聞くと、どうやら仲間とはぐれていたみたいで、その捜索に意外と時間がかかったんだ」

なんの気なしに聞こえた言葉だったが、

「「「3日ッ⁉」」」

連絡なしに待たせる時間ではない。

確かに。なにかあったのではと考えても不思議はなく、おっさんが勘違いでジェイド達に声をかけたのも、無理からぬ話だったというわけだ。

「えっ⁉ あ・・・! いや? 誰だ・・・?」

「おめぇさんらを待ってる間に、こんな時間から酒場へ来ちまったおのぼりさんよ。あんまり暇だったんで話し相手になってもらってたってわけだ。礼ぐらい言っといたらどうだ?」

「なんでそうなるのよ‼」

後ろにいた1人の女が抗議するが、

「いや、遅れに遅れた俺達が悪い。えーっと? 君達、ありがとう。この人はこんななりで結構寂しがり屋なんだ。相手してくれて助かったよ」

それを抑えて先頭の男が冗談交じりに礼を述べる。

その後ろで。『なに適当なこと言ってやがる!』『本当のことでしょうが!』などというやり取りがなされているが、そんなことは正直どうでもよかった。

この時初めて正面から見据えた男の顔。

ジェイド達は間違いなく初対面であるはずだが、なぜか見覚えがある。そんな感覚に陥っていた。

それを知らない4人の男女は、おっさんと仲良く会話しているようだ。

内容についてはわからない。

『あの素材は―――』

『加工はすでに頼んで――』

『だったら値段が――』

『値段より期日を―――』

などと。なにか取引のようなことが行われているようだが、なんのことだかは知りようがない。

故にジェイドはリーダーとして、どうしたものかと考えていた。

聞きたいことはまだ聞けていない。

だから冒険者ギルドがどこにあるのかはわからないまま。

だが、今その話を切り出していいものか。

さっさと外へ出て、道行く人にでも声をかけるべきか。

というかこの顔どっかで・・・。

一挙に押し寄せた情報で混沌としてくる思考に悩んでいると、

「それで? 君達はなにを聞きに来たんだ?」

急に後から来たはずの、どこか見覚えのある男が質問してくる。

なんで俺達の目的がわかってるんだ? と声も出せなかったジェイドに、

「おのぼりさんって言われたから、そういうことなんじゃないかと思ったんだけど・・・違ったか?」

不安そうな顔で続けて尋ねる男。

「あ、いや・・・ギルドの場所を、聞こうかと・・・」

それがなにかいけないことのような気がして、ジェイドは咄嗟に本当のことを告げる。

「そうか。活動拠点変更の手続きか。確かに、ここはギルドの印が至る所にあるから、初めはなにがなんだかわからないよな。ちょっと待っててくれ」

パッと明るく笑って男は仲間と話す。

その表情の晴れようから、やっぱり俺達がここにいると邪魔だったか? などと邪推するジェイドに、

「よかったな、おめぇら。勇者パーティー様が直々に冒険者ギルド:サルベージ支部への道を教えてくれるってよ!」

4人の男女と茶化し合っていたおっさんが得意気な顔で耳打ちして来る。

「勇者・・・パーティー? なんかどっかで・・・?」

「なんだ? 知らねぇのか? S級パーティーのことを俗にそう呼ぶんだ。その功績とかを称える意味でな」

「S級・・・ってことは強いのか?」

「ったりめぇだろ! ”進歩の歯車”っていやぁ、ここアドレスでこの1年。最も活躍したパーティーだぞ?」

そんなことも知らないのか? といった表情のおっさん。

しかし、

「それって先生の・・・?」

聞き捨てならない言葉が。

リミアの零した呟きを聞いた瞬間。

4人の首が一斉にぐるりと回り、視線は一カ所に集まって停止した。