軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

手練・修練・試練1

軌跡を辿り空へと近づくことしばらく。

岩肌が内側に大きく削れ、開けた台地が顔を出す。

迫ったはずの青は未だ天高く。しかして、揺蕩う白が寄り添いを見せる頃。

2つの間に割り込む影がただ1つ。

「なんだ? アレ・・・」

誰が最初に気付いたか。

黒を指差すジェイドへ答えるのは俺じゃなく御者だ。

「馬車を寄せます‼ 先生方は対応をお願いします‼」

緊急事態と判断したのだろう。

その言葉通り、俺達を運んでいた馬車とそれに連なる荷車は、開けた台地の内壁へ張り付くように移動し停車。

そのまま全員で降りて飛来する黒い影を迎え撃つ。

バッサバッサと羽ばたきながら、身体を揺らして台地へと降り立ち、

「ギィョワァアアアアアアア‼‼‼」

背を逸らし、頭を振りながらの一鳴きに、どこか強いこだわりを感じる。

「「「ワイバーン⁉⁉」」」

蒼穹を破り、姿を見せしは翼竜。

全長にして8Mを超える大型種。

だが、その肉体には数多くの傷を持ち、片目は潰れた隻眼だ。

にもかかわらず悲壮感はなく、隆起する筋肉こそが歴戦の猛者だと物語る。

俺と事情を知る数人を除いた全員に緊張が走る。

特に、ジェイド達は格別だ。

武器を構え、陣形を整え、隙を窺う。

一昔前では考えられなかった迅速で完璧な対応。

無理に突っ込まず、なにがあってもいいようにという心構えが見て取れる。

嬉しいと思うと同時に、もう本当に俺は必要ないんだなとも思わされた。

それほど見事な反応に対して、突如現れた翼竜は咆哮の後、構えもしない。

平然とした態度で、周りを眺める。

そんな舐めた態度を隙と見て攻撃を仕掛けてもおかしくはない状況だが、誰も動かず状況は膠着したまま。

やはり、そこに成長を感じる。

どうする⁉ と漏れ聞こえる心の声を聞きながら、俺は満たされた気持ちで前へ出る。

ジェイド達の反応を見るために最後列を陣取ったせいで、嫌にもったいぶった演出みたいになっちまったが、流石にそれは不可抗力だ。

集まる視線を引き受けながら、馴染みの顔に挨拶する。

「久しぶりだな」

「クルルルルゥ」

近付いて手を差し出すと翼竜が頭を寄せて頬を撫でさせる。

「1年ぶりか。元気ではあったんだろうが・・・また傷が増えたんじゃねぇか?」

「グギャオゥ‼」

俺の言葉に心外だ! と、胸を張って健在であることを主張する翼竜。

「えっと・・・その・・・」

それを見ていた全員を代表して、ヨハンが困ったように聞いてくる。

「知り合い、ですか・・・?」

「今日からはお前らもな」

力んで損したとばかりにガックリとするジェイド達。

その隣では隊商長が、なぜ事前に説明してくれなかったのかと詰め寄られており、それを同じく黙っていた先輩が宥めていた。