作品タイトル不明
side――キューティー
失敗してしまいましたわ。
目が回るような吐き気を必死に押さえつけながら反省します。
そう。あそこでジェイド様と同じ行動を取ろうと思ってしまったのが、最大にして一番の過ちでした!
私はジェイド様を支える存在でなければならなかったのですわ!
ですのに、この醜態・・・穴があったら入りたいですわ。
ほとんど丸一日の馬車移動。
頭がガンガンしてますわ~。
ジェイド様は途中、馬車を降りた時に何度か物陰で吐いて体調を戻したようですけれど、私には真似など出来ません。
恋焦がれる男性の前でそのような、はしたない姿などはお見せ出来ないに決まっています。
うぅ・・・あの場で『冒険者の癖に酒すら飲めねぇのか⁉』と言った下賤の方。許しませんわよ!
ジェイド様の恥は私の恥。その逆もまた然り。
あの瞬間あそこで芋を引いていてはジェイド様に恥をかかせてしまう。と考えた私も愚かでしたわ~。
そうはいっても絶対に許しませんけれど。
途中、モンスターとの戦闘もありましたが、やはり役に立ちませんでした。
なにせ私は耐えるのに必死。仕方ありませんわ~。
ですが、その甲斐もあってか。どうにか麓の町まで持ちこたえられましたわ。
まさか移動が夜までかかるとは・・・。
いえ、野営じゃなかっただけマシだと考えるべきですわね。
なぜなら町にはトイレがあるのですから!
ですので早速失礼いたしまして―――。
あぁ~・・・スッキリしましたわ~!
なにが? とはお聞きにならないでくださいな。
私も乙女なのですから。
しかし、疲れましたわね。
えぇ、本当に。
他のことなど考えられないほどに身体から力が抜けていきますわ・・・。
この後は2~3日この町に滞在するんでしたよね?
でしたら、1日目くらいはこのまま寝ても許されますわよね?
私は早くもお酒の怖さを知りましたわ。
意識が酩酊したり、記憶が飛んだりしないだけ、私はお酒に強いのかもしれませんが、今後はあまり摂取するのはやめておきます。と、ここに誓いをたてますわ!
翌日。
朝からケイトが騒がしいですわ。
目元のクマがひどいですわよ?
なにをそんなに興奮して・・・・・・。
昨日?
私は早めに部屋で休みましたわ。
だからそのように言われても――あら、そうなんですの?
憧れの方に?
名前を呼んでもらえた?
よかったではありませんか。
私も。ジェイド様に名前を呼ばれる度に幸せな気持ちになります。
それはいいとして。
あなたはなにをしていますの?
今は朝ですが、早朝。まだ空が暗いですわよ?
こんな時間から騒ぐのは迷惑にですわ! 気を付けなさい。
ええと、なにを言っているのかわかりませんが・・・要は本を取りに来たと?
えぇ。なにを言っているのかわかりませんわ。
内容が、ではなく。
発言が、ですわ。
意味・・・わかります?
言葉が聞き取れないのですわ。
もっとゆっくり、丁寧にしゃべるべきではありませんの?
その程度の判断も認識も出来ないのであれば、1度寝るべきじゃありませんこと?
時間がもったいない?
そうかもしれませんわね。
私も。ジェイド様と長い時間離れることに耐えられそうになかったので冒険者になったわけですし、その気持ちはわかりますわ。
ただ、迷惑に思われて嫌われてしまってもいいと?
酔っ払いもそうですが、なにを言っているのかわからない興奮している人物を好きになる人など居ませんわよ。
冷静になるべきですわ。
冷静になって、自らの行動を振り返って、そして―――。
ああ! 自己嫌悪ですわ‼